BOOKS 社員の健康と幸せを育むには?その道筋が見えてくる実践書 国際規格でつくるウェルビーイング −ISO 25554で考える組織・地域に合わせた設計指針− 佐藤(さとう)洋(ひろし)著/一般財団法人日本規格協会/2970円  2024(令和6)年11月、企業の社員や自治体の住民のウェルビーイング(心身の健康と幸福)の向上に役立つ国際規格「ISO25554」が発行された。組織や地域において、健康と幸福感をいかに促進すべきかを示す指針として、大きな注目を集めている。世界的に高齢化が進むなか、その先進国である日本から、日本の企業の健康経営(★)の考え方をベースにして提案し、開発、発行に至った世界共通の規格だ。  本書は、この規格を活用して、企業の健康経営や地域コミュニティのマネジメントに役立てるための推進方法を案内する一冊。本書によると「ISO25554を実務で使えるかたち≠ノ整理した地図」だという。本書の前半では、ウェルビーイング推進に必要な設計思想とプロセスを示し、後半では、それらが企業・行政・地域でどのように実装されるかを事例と物語を通じて説明していく。実践の枠組みを理解したうえで、後半の事例を読むことで、自社にあったウェルビーイングをかたちにする道筋が見えてくる、という構成になっている。  社員の心身の健康づくりや高齢者も活躍する職場づくりに取り組む企業の担当者らに、手に取ってほしい一冊である。 「時短」と「カイゼン」で仕事も人生もより楽しく!シニアにもおすすめの一冊 トヨタの時短術 原(はら)マサヒコ著/日経BP日本経済新聞出版/1100円  世界最大級の自動車メーカー「トヨタ自動車」は、その成長を支える「トヨタ生産方式」も世界的に有名だ。ムダの徹底的排除の思想と、つくり方の合理性を追求し、よいものを安くタイムリーに生産するモノづくりを示している。  本書は、かつてトヨタ自動車に勤務し、IT企業を経て、自らの会社を立ち上げた著者が、トヨタでつちかった「時短」に関する考え方や「カイゼン」の心がまえなどを解説する。製造業にかぎらず、あらゆる仕事の現場に取り入れられるようにアレンジしたという内容は、「仕事が劇的に速くなるトヨタの5つの言葉」、「1秒をバカにせず小さなことから自動化」、「ミスやムダが激減する自工程完結」など具体的で実践的。すぐに使えるノウハウなどが、ページいっぱいに詰め込まれている。しかし、本書で伝えたいのは単なる時短術ではなく、「仕事にかかる時間を短縮し、人生をよりよくするための時間を作り出すと同時に、仕事の成果を上げるため」の「時短」であると著者は綴っている。  現在の仕事にムダはないか。人生において何を優先すべきか。そんなことも考えさせてくれる。生涯現役を目ざし、仕事も人生もますます楽しみたいというシニアにもおすすめしたい。 いつまでもカッコよく!生涯現役のための食べ方、暮らし方とは? 84歳。食べて、歩いて、カッコよく生きる。 村上(むらかみ)祥子(さちこ)著/プレジデント社/1870円  著者は、転勤族の夫と3人の子どもを育てながら、新聞、雑誌、テレビなどのメディアを通じて、短時間でできる数々のおいしい料理を提案してきた。電子レンジ調理を研究・開発し、その第一人者として、現在も多くのレシピを提案している。  本書は、料理研究家人生60年となった84歳の著者が、料理との歩みをふり返りつつ、いまも毎日よく歩くという元気の秘訣や、80歳を過ぎてから経験した大腿骨の骨折から回復するまでのこと、夫を亡くして十数年前から一人暮らしをしているシンプルな暮らし方などの近況を紹介しながら、一人でも、いくつになっても栄養をしっかり摂ることの大切さを伝える。  「足腰丈夫でピンシャン」と生きるためには、「たんぱく質」が大切であることを強調し、たんぱく質を手間なく摂るための方法も公開。巻末のレシピ集では、手軽に栄養が摂れて気分も上がる「ひとりごはん」の27のレシピをカラー写真つきで紹介。冷凍した野菜やコンビニエンスストアの総菜の活用法、電子レンジだけで仕上げる料理など簡単でありながら、食欲をそそられるものばかり。食べることを大切にして楽しみ、元気に生きるためのコツが満載だ。 クレームは未然に防げる! 起きる理由と対策を徹底解説 社員を理不尽から守り抜く カスハラ・クレーム予防の教科書 高萩(たかはぎ)徳宗(のりとし)著/生産性出版/2200円  カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)が社会問題化し、カスハラ防止条例を施行する自治体や、組織として対策に取り組む企業が増えている。2026(令和8)年10月1日には、カスハラ防止対策を講じることを企業に義務づける、改正労働施策総合推進法が施行される。  本書は、理不尽なカスハラ・クレームから社員や現場のスタッフを守るために、現実に即した実効性ある対策を、現場視点で提示する実務書。著者自身も、鉄道会社の現場で受けた暴言などがトラウマとなり、その後も旅行会社や創業した会社での現場運営責任者として、数多くのカスハラやクレームを経験したという。そのなかでつかんだ「理不尽を未然に防ぐ」ための考え方と工夫、社員やスタッフが「守られている」と実感できる組織づくり、組織として理不尽な要求に毅然と対応する体制構築などを説いている。  近年のカスハラやクレームは、企業が受けるダメージを計算して過度な要求を通そうとするようなものが少なくないそうだ。現場を守るためには、「明確な戦略」と「実効性のある対策」が必要であるとして、予防のポイントや対処法をまとめている。人事労務担当者が知っておきたい考え方や知識が得られる良書である。 本誌でもおなじみの脳科学者が贈る、最新ドリル!! もの忘れ・認知症を防ぐ! 脳活ドリル オール新作!たっぷり1000問 篠原(しのはら)菊紀(きくのり)監修/宝島社/1400円  認知症のリスクを下げるためには、体と頭を使うことが大切だ。脳は使うことで活性化し、使えば使うほど元気になるといわれている。  監修者の篠原菊紀さんは、著名な脳科学者で、本誌でも「イキイキ働くための脳力アップトレーニング!」(64ページ)を長期連載中である。  篠原さんは、体を動かすことが脳のハードウェアを守り、問題を解いていく脳トレは、脳のソフトウェアを鍛える役割を果たす、と説く。ルールを記憶し、そのルールに基づく作業は脳の機能「ワーキングメモリ」を重点的に使うそうだ。ワーキングメモリの力は年齢とともに落ちやすいが、鍛えれば伸びやすい機能だという。本書は、漢字の読み書きといった親しみのある問題から、「流行語思い出し問題」、「足し算ピラミッド」などユニークな問題までバラエティに富んだ内容で、飽きずに進められるドリルになっている。自分の脳年齢がわかる「脳年齢チェックテスト」、折り紙や健康に生きるための知恵を紹介するページもあり、問題を解きながら楽しむこともできる。  なかなか解けない問題に「あがく」ことが、脳の活動を高め、ネットワークを強化するという。「そろそろかな」と思ったら、ぜひ。 ★「健康経営○R」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。 ※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します