【表紙】 令和8年8月1日発行(毎月1回1日発行)第48巻第8号通巻561号 Monthly Elder 高齢者雇用の総合誌 8 2026 特集 仕事と介護の両立支援に向けて リーダーズトーク 65歳定年、70歳までの再雇用制度を導入 “社員の幸せ”を起点に制度を設計 大同メタル工業株式会社 執行役員 人事企画ユニット人事企画センターチーフ 藤井賢一 読者アンケートにご協力をお願いします! 【前頁】 助成金のご案内 〜65歳超雇用推進助成金のご案内〜 65歳超継続雇用促進コース 65歳以上への定年の引上げ、定年の定めの廃止、66歳以上への継続雇用制度の導入、他社による継続雇用制度の導入のいずれかの措置を実施する事業主の皆様を支援します。 主な支給要件 @労働協約または就業規則で定めている定年年齢等を、過去最高を上回る年齢に引き上げること A改正前後の就業規則を労働基準監督署等へ届け出ること B1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること C高年齢者雇用等推進者の選任及び高年齢者雇用管理に関する措置(※)の実施 支給額 ●定年の引上げ等の措置の内容、60歳以上の対象被保険者数、定年の引上げ年数に応じて最大240万円まで支給 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース 高年齢者の雇用管理制度を整備するための措置(賃金制度、健康管理制度等)を実施した事業主の皆様を支援します。 支給対象となる主な措置(注)の内容 @高年齢者に係る賃金、人事処遇制度の導入・改善 A労働時間制度・在宅勤務制度・研修制度・健康管理制度の導入・改善 (注)措置は、55歳以上の高年齢者を対象として労働協約または就業規則に規定し、1人以上の支給対象被保険者に実施・適用することが必要 支給額 ●措置の内容に応じて最大60万円(中小企業事業主以外は45万円)を支給 ●措置の実施に必要な機器等の導入経費(上限50万円)に60%(中小企業事業主以外は45%)を乗じた額を支給 高年齢者無期雇用転換コース 50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換した事業主の皆様を支援します。 主な支給要件 @高年齢者雇用等推進者の選任及び高年齢者雇用管理に関する措置(※)を1つ以上実施し、無期雇用転換制度を就業規則等に規定していること A無期雇用転換計画に基づき、無期雇用労働者に転換していること B無期雇用に転換した労働者に転換後6カ月分(勤務した日数が11日未満の場合は除く)の賃金を支給していること C雇用保険被保険者を事業主都合で離職させていないこと 支給額 ●対象労働者1人につき40万円を支給(中小企業事業主以外は30万円) (※)高年齢者雇用管理に関する措置とは、55歳以上の高年齢者を対象とした、次のいずれかに該当するもの(a)職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等、(b)作業施設・方法の改善、(c)健康管理、安全衛生の配慮、(d)職域の拡大、(e)知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進、(f)賃金体系の見直し、(g)勤務時間制度の弾力化 JEEDホームページ「助成金」 https://www.jeed.go.jp/elderly/subsidy/index.html 〜障害者雇用納付金関係助成金〜 障害者作業施設設置等助成金 雇入れ、雇用の継続に必要な障害特性による就労上の課題(加齢に伴う課題を含む)を克服し、作業を容易にするために配慮された施設等の設置・整備を行う場合に支給します。 助成対象となる措置 @障害者用トイレや手すりを設置または整備 A拡大読書器を購入 等 助成額 支給対象費用の2/3 障害者雇用相談援助助成金 対象障害者の雇入れおよび雇用継続を図るための一連の雇用管理に関する援助の事業(障害者雇用相談援助事業)を実施する事業者(※)に支給します。※事前に労働局の認定が必要です。 助成対象となる措置 @利用事業主に障害者雇用相談援助事業を行った場合 A@を行った後に利用事業主が対象障害者を雇い入れ、かつ6カ月以上の雇用継続をした場合 助成額 @60万円 ほか A1人7万5千円 ほか 障害者介助等助成金 適切な雇用管理のために必要な介助等の措置や、加齢に伴う課題の解消のために必要な介助等の各種措置を行う場合に支給します。 助成対象となる措置 @職場復帰支援 A中途障害者等や中高年齢等障害者の技能習得支援 B職場介助者の配置または委嘱(継続措置および中高年齢等措置あり) C手話通訳・要約筆記等担当者の配置または委嘱(継続措置および中高年齢等措置あり) D職場支援員の配置または委嘱(中高年齢等措置あり) E健康相談医の委嘱 F職業生活相談支援専門員の配置または委嘱 G職業能力開発向上支援専門員の配置または委嘱 H介助者等の資質向上措置 I重度障害者の業務遂行のために必要な支援を重度訪問介護等サービス事業者に委託 助成額 @月4万5千円 ほか ABCEFGH支給対象費用の3/4 ほか D月3万円 ほか I支給対象費用の4/5 ほか 職場適応援助者助成金 職場への適応を容易にするために職場適応援助者による支援を行う場合に支給します。 助成対象となる措置 @訪問型職場適応援助者による支援 A企業在籍型職場適応援助者による支援 (@Aとも中高年齢等措置あり) 助成額 @1日3万6千円まで ほか A月9万円 ほか 重度障害者等通勤対策助成金 障害の特性に応じた通勤を容易にするための措置を行う場合に支給します。 助成対象となる措置 @住宅の賃借 A住宅手当の支払い B駐車場の賃借 C通勤用自動車の購入 D重度障害者の通勤援助のために必要な支援を重度訪問介護等サービス事業者に委託 (ほかにも対象となる措置がありますのでホームページでご確認ください) 助成額 @〜C支給対象費用の3/4 D支給対象費用の4/5 ほか ほかにも助成金がありますので、ホームページでご確認ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/index.html 説明動画はこちら https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/news/setsumeidouga_of_01.html e-Gov電子申請を利用して申請できます 24時間365日いつでも手続きできます! ※お問合せや申請は、当機構(JEED)各都道府県支部高齢・障害者業務課(65ページ、東京・大阪支部は高齢・障害者窓口サービス課)までお願いします 【P1-4】 Leaders Talk No.135 65歳定年、70歳までの再雇用制度を導入 “社員の幸せ”を起点に制度を設計 大同メタル工業株式会社 執行役員 人事企画ユニット人事企画センターチーフ 藤井賢一さん ふじい・けんいち 1994(平成6)年に大同メタル工業株式会社に入社。工場、営業、労務担当を経て2016年より現職。  自動車に欠かせない部品である「自動車用エンジン軸受(じくうけ)」で世界シェア1位(2025年暦年ベース/同社推定)を誇る大同メタル工業株式会社。同社では、2025(令和7)年に策定した中期経営計画に基づく取組みの一環として、2026年4月より、定年を65歳、再雇用の年齢上限を70歳とする新たな高齢者雇用制度を導入しました。今回は、同社執行役員の藤井賢一さんにご登場いただき、高齢者雇用制度改定のねらいや新制度の概要についてうかがいました。 少子高齢化社会における人手不足の解消と会社の持続的発展にはベテラン社員の活性化が不可欠 ―2026(令和8)年4月から定年年齢を65歳に延長し、70歳までの再雇用制度を導入されました。制度改定に至った背景と目的について教えてください。 藤井 もちろん70歳までの就業機会の確保という法律の動きも意識していますが、当社の事情もありました。人材の採用が非常に厳しい状況にあり、将来にわたって労働力の確保がむずかしくなるなかで、人材確保の方法としてはベテラン社員の活用がもっとも確実であり、同時に会社が持続的に発展するためには、その人たちの経験やスキルをもっと活かしていくべきだと考えました。  検討を始めた2021年時点の当社の従業員に占める60歳以上の比率は2%台でしたが、10年後には10%を超えることもわかっていました。また当社の従業員の定年後の再雇用率はほぼ100%ですし、将来的に従業員構成においてこの年齢層が大きなウエイトを占めることを考えると、会社が持続的に発展するためにはベテラン社員の活性化が不可欠です。  当社は企業理念として、「社員の幸せをはかり、地球社会に貢献する」ことを掲げています。会社の持続的成長と生産性向上のために、従業員一人ひとりの働きがいを高め、その能力を最大限発揮できる機会と環境を提供しようという、会社としての思いもありました。 ―従来の60歳以降の再雇用制度にはどんな課題があったのでしょうか。それに対してどのような議論を重ねてきたのでしょうか。 藤井 従来の再雇用制度では、賃金は59歳時点の55%程度に下がります。再雇用となった社員のなかには、賃金の減少に加え、60歳定年という節目を迎え、体力的なことも考えて「無理せずほどほどに働けばいいかな」と、モチベーションが下がる人もいました。仕事を与える側も、「再雇用だから、あまり無理な仕事は与えられない」といった、よくいえば“やさしい対応”になりがちで、せっかく経験や知識があっても十分に活かされていない実態もありました。  2021年の秋に労働組合と一緒に再雇用制度の見直しの委員会を立ち上げ、勤務形態を含めていろいろな課題について調査をし、おのずと定年延長を行うことで意見が一致しました。ただし具体的な制度設計をどうするか、特に処遇制度については大きく悩みました。検討段階では、賃金制度をいったん60歳でリセットし、60歳以降はジョブ型に近い賃金制度に変え、賃金を59歳時点の7〜8割の水準とする案もあがりました。しかし経営陣から、「社員がやりがいを持って積極的に働いてもらうためには賃金を維持することが重要」という指摘があり、最終的には2024年10月の経営会議で新制度が承認され、2026年4月から定年延長をスタートすることになりました。 ―賃金は維持されるということですが、60歳以降の具体的な処遇制度について教えてください。 藤井 一般従業員の賃金制度は事務系と技能系に分かれ、等級数の違いなどはありますが、同じ資格等級制度で運用しており、資格等級にひもづいた基本給と成果を反映した賞与があります。従来の再雇用制度では、基本給は一律に半分程度に下がり、賞与についてもそれほど評価差がつかない仕組みでした。新制度では60歳以降も等級が維持され、賞与も60歳以前と同じように成果評価に基づいて支給されるので、基本的に給与は変わりません。59歳まであった昇給はなくなりますが、もともと同じ等級に長期にとどまる場合は昇給率が低くなるという仕組みがあり、それほどの変化はありません。また、退職金については60歳時に支給し、60歳以降はありません。  管理職層についてですが、当社は役職定年制を設けておらず、60歳定年まで役職を継続できましたが、新制度では60 歳で役職を降り、「エキスパート職」という職群に転換してもらいます。処遇面では一部の手当はなくなりますが、資格等級はそのまま維持されます。役職定年で処遇が大きく下がり、再雇用でさらに下がるという会社もあるので、一定の処遇を保証することで管理職を外れてもがんばってほしいという会社の期待の表れでもあります。 65歳の定年まで給与の等級を維持し成果評価に基づいた賞与を支給 ―すでに再雇用で働いている既存の再雇用社員の処遇はどうなりますか。 藤井 現在再雇用で働いている人たちはそのまま65歳まで再雇用を継続します。ただし、給与は2026年4月からの定年延長者と同じように59歳時の水準に引き上げました。これも人的投資として経営陣が前向きに判断したもので、いままで以上に高いパフォーマンスを発揮していただきたいという期待が込められています。 ―65歳への定年延長と同時に、70歳までの再雇用制度も導入されています。再雇用社員の処遇などについても教えてください。 藤井 じつはいままでも仕事の引継ぎが間に合わない、あるいはこの人でなければむずかしいという場合は65歳以降でも例外的に雇用延長を認めるケースなどがありました。新制度は希望者全員を再雇用するのではなく、一定の基準を設定し、会社が指名し、本人が希望すれば再雇用する形になります。具体的には部門長の推薦に基づいて人事部が人事評価などを見て承認し、本人の意思を確認するという手続きになります。  処遇については、現時点では従来の60歳から65歳までと同じようにいままでの賃金の6割程度の水準を設定しています。やはり65歳以降は体力や気力も含めた個人差が広がることも考慮したものです。ただし、処遇も含め、今後労使で議論していくことになるだろうと思います。 ―60歳以降の働き方について、一般従業員の方はいままでの仕事を継続していくことになると思いますが、元管理職の方の働き方はどうなるのでしょうか。 藤井 一般従業員には、いままでの仕事で引き続きスキルや経験を活かして働いてもらうことを期待しています。管理職については、60歳でポストオフとなりますが、実務をこなしながら、いままでの管理職でつちかった経験を活かしつつ、後輩の育成もになってほしいと考えています。  理想的には映画の『マイ・インターン』で俳優のロバート・デ・ニーロが演じたベンのような、次世代の成長を支えるメンターの役割も期待しています。また、全社的あるいは部門のプロジェクトなどの特命事項を与えて、その役割をになってもらうことなども考えています。 大切なのは社員の「モチベーション」や「働きがい」処遇を含む“社員の幸せ”を第一に ―65歳までの定年延長により、最長で70歳まで働くことになります。意欲を持って活躍してもらうための研修などの取組みを行っていますか。 藤井 定年延長に合わせて、これまでは行っていなかったキャリア研修を初めて実施する予定です。50代前半の社員を対象に、自身のスキルの棚卸しや、今後のキャリアを自ら描き、それに向けたマインドセットなどの内容を含めた研修を予定しています。  また、社員の健康や安全衛生面では、全社的に健康経営○R(★)を推進しているほか、厚生労働省が策定したエイジフレンドリーガイドライン(現:高年齢者の労働災害防止のための指針※)に沿った労働安全衛生活動にも取り組んでいます。  そのほか、58歳時に実施しているライフプランセミナーでは、昨年から「ロコモチェック」(骨や関節、筋肉などの衰えによる移動機能が低下していないかを調べる簡易テスト)を実施しています。今後はベテラン社員を対象にした安全衛生対策にさらに取り組んでいく予定です。 ―これから定年延長や70歳までの再雇用制度の導入に取り組む企業へのアドバイスをお願いします。 藤井 冒頭にもお話ししましたが、当初の想定以上に人手不足が深刻化しつつあり、ベテラン社員の活用は不可欠だと思います。そのためには経営陣ともよく話し合いながらベテラン社員の活用について準備を進めることが重要だと思います。  また、制度設計においては、人事はコスト面も含めて他社の事例を調べるなど、とかくテクニックに走りがちですが、大事なことは“どうやれば社員のモチベーションが上がるのか”、“会社で楽しく働けるのか”を重視することだと思います。会社に来ることが楽しければ私生活も楽しくなるでしょうし、その相乗効果が結果的に生産性の向上にも寄与すると思います。処遇も含めて社員の幸せを第一に考えることが制度設計の大きなポイントではないでしょうか。 (聞き手・文/溝上憲文、撮影/中岡泰博) ★「健康経営○R」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。 ※「高年齢者の労働災害防止のための指針」については、厚生労働省ホームページをご覧ください。  https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/newpage_00010.html 【もくじ】 エルダー(elder)は、英語のoldの比較級で、“年長の人、目上の人、尊敬される人”などの意味がある。1979(昭和54)年、本誌発刊に際し、(財)高年齢者雇用開発協会初代会長・花村仁八郎氏により命名された。 ●表紙のイラスト:水穂真善/アフロ 2026 August No.561 特集 6 仕事と介護の両立支援に向けて 7 総論 介護離職を防止できる両立支援制度の使い方 大正大学 人間学部人間科学科 教授 池田心豪 11 解説1 両立支援制度の整備と運用のポイント 社会保険労務士法人グラース 代表 特定社会保険労務士 新田香織 15 解説2 両立支援において上司・同僚に求められる対応と配慮 社会保険労務士法人グラース 代表 特定社会保険労務士 新田香織 18 事例1 株式会社日立ソリューションズ(東京都品川区) 介護を「社員個人の問題」から「私たちの話題」へ 風土から変えたボトムアップの全社プロジェクト 22 事例2 株式会社白川プロ(東京都渋谷区) 「仕事と介護の両立支援宣言」を社長名で発信 相談体制の充実や独自の制度整備で支援 1 リーダーズトーク No.135 大同メタル工業株式会社 執行役員 人事企画ユニット人事企画センターチーフ 藤井賢一さん 65歳定年、70歳までの再雇用制度を導入“社員の幸せ”を起点に制度を設計 26 集中連載 マンガで学ぶ高齢者雇用 安心!頼れる専門家 ―70歳雇用推進プランナー活用術― 【第4回】 70歳雇用推進プランナーの提案 32 江戸時代にもあった「仕事と介護の両立問題」 〜目からウロコの高齢者介護史〜 【第3回】 江戸時代は男性が率先して介護をになっていた! ―介護負担の割合は女性より男性が高かったとのデータも― ア井将之 34 高齢者の職場探訪 北から、南から 第168回 兵庫県 社会福祉法人和田福祉会 38 高齢者に聞く 生涯現役で働くとは 第118回 ケア帽子作家 酒井ひろみさん(67歳) 40 新連載 AIと歩む人生100年時代 【第1回】 AIとは何か―仕事を奪う機械ではなく、仕事の組合せを変える技術― 山崎 憲 44 知っておきたい労働法Q&A 《第97回》 高年齢労働者の労働災害防止、労働条件変更拒否に起因する雇止め 家永 勲/木勝瑛 48 サステナビリティを高めるシニア人材活用戦略 【第2回】 企業のサステナビリティを高める シニア人材の価値とは 塚原亮子/宮下太陽 50 いまさら聞けない人事用語辞典 第70回 「ハローワーク」 吉岡利之 52 立川談慶の人生100年時代の歩き方 【第7回】 名前、それは燃える生命 53 高年齢者活躍企業フォーラムのご案内 54 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウムのご案内 55 地域ワークショップのご案内 56 BOOKS 58 ニュース ファイル 60 次号予告・編集後記 61 技を支える vol.366 育てた弟子たちとともに地元にバーの文化を築く バーテンダー 西方 明さん 64 イキイキ働くための脳力アップトレーニング! [第110回] カタカナ合わせ 篠原菊紀 【P6】 特集 仕事と介護の両立支援に向けて  少子高齢化の進行にともない、家族の介護をしながら働く人は今後ますます増えることが見込まれています。こうしたなかで、介護が理由の離職を防ぐ“仕事と介護の両立支援”の取組みは、企業の持続的な人材確保の視点からも欠かせません。  企業においては、家族の介護を必要とする社員が、介護離職の選択をせず、働き続けられるよう各種制度の整備が求められるほか、介護休業・介護休暇を取得する際にその影響を受ける上司や同僚の理解も必要となります。そこで本企画では、仕事と介護の両立支援について、制度整備の視点のほか、制度利用者だけではなく、ともに働く管理職や同僚の理解促進の観点も交え、企業に求められる取組みについて事例を交えて解説します。 【P7-10】 総論 介護離職を防止できる両立支援制度の使い方 大正大学 人間学部人間科学科 教授 池田(いけだ)心豪(しんごう) 1 改正育児・介護休業法への対応を  2025(令和7)年4月に改正育児・介護休業法が施行され、企業から社員に自社の仕事と介護の両立支援制度を周知することが義務づけられました。  具体的には、介護に直面する前の早期の情報提供と、介護に直面した後の個別の制度周知と利用意向確認が義務づけられました。  介護に直面する前の早期とは40歳前後をさします。育児・介護休業法の介護は高齢者介護に限定されませんが、実際は老親など、高齢者の介護に直面して両立支援が必要になるケースが多いです。40歳という年齢は社員自身が介護保険の第2号被保険者になる歳でもあります。介護保険料は給与から天引きされますので、介護について意識し始めるのによいタイミングといえます。  また、図表1(8ページ)に家族の介護をする雇用者数を示していますが、その数は45歳から増えていきます。45歳という年齢に30歳足すと75歳になります。75歳になると後期高齢者になりますが、このころから要介護状態になる高齢者が増えます。介護に直面する前の40歳前後から、将来の介護に備えて予備知識を身につけておこうという趣旨です。  図表1では2012(平成24)年と2022年の比較もしていますが、この10年間に44歳以下は大きく変化していません。介護に直面する雇用者は多いとはいえず増えてもいない。そのため、事前の情報提供をしても、その必要性を社員自身は実感していないかもしれません。しかし、45歳以上になるとその人数は増えます。10年間の比較でも2012年に比べて2022年は増えています。つまり、40歳時点では自分が介護をすることについて現実感がなくても5年経ったら介護に直面するということがあり得ます。そのリスクを認識するという意味で、事前の情報提供は重要なのです。  しかし、いざ介護が始まったときに、事前の情報提供の内容を覚えていない社員もいるでしょう。企業の制度の規定も変わっていることがあるかもしれません。そこで、あらためて当事者一人ひとりに制度を周知し、どのような制度を利用して両立を図るのか意向を確認する必要があります。 2 すれ違い離職を防ぐ  図表2(8ページ)に、家族の介護をしている雇用者に占める両立支援制度利用者の割合を示していますが、じつはどの制度についてもその割合は低いです。  家族が要介護状態になったら、介護休業が必要になるのかというと、必ずしもそうでなく、多くはまず年休(年次有給休暇)を取って介護に対応しています。したがって、図表2の結果が、もし制度を利用する必要がないということの結果であるなら、それはあまり大きな問題ではありません。社員の立場で考えれば、介護に直面しても、必要のない両立支援制度を無理に利用することはありません。  しかし、実際は制度が必要なのに制度の存在を知らないがゆえに利用していないとしたら、それは問題です。例えば、年休を使い切った後、なお仕事を休む必要が生じたとき介護休業や介護休暇の存在を知らなければ、離職せざるを得ないと思うでしょう。  企業からみると介護はその実態がみえにくいライフイベントです。介護が始まっても初期には通常勤務で介護に対応しているケースが少なくありません。そのため、「わが社には介護休業取得者がいないから、家族の介護をしている社員はいない」と思っている企業は少なくありません。  社員は両立支援制度の存在を知らず、企業は両立支援制度を必要としている社員がいることを知らないという、すれ違いによる介護離職を防ぐために、改正育児・介護休業法は企業と社員にコミュニケーションをうながしているのです。 3 制度の想定と介護の現実  ただし、介護休業や介護休暇という制度があることだけを知っていても介護離職を回避できません。両立支援制度が介護離職の回避に役立つためには、制度の趣旨を正しく理解しておく必要があります。  例えば、法定の介護休業は通算93日を3回に分けて取ることができます。何年も続くことがある介護期間の長さを考えると、93日という日数はあまりに短いと思うでしょう。実際、この93日を介護に専念するために使ってしまうと、復職できなくなってしまうことが多いです。  この93日という介護休業期間は、介護の緊急事態に対応し、その後に仕事と介護を両立するための体制を構築することを想定しています。緊急事態というのは脳血管疾患のような原因疾患の発症にともなう入院や手術の手続き、医師との面談といった家族以外が代替できないことに対応することを意味します。また体制構築は、介護保険サービスの手続きや家族との介護分担の話合いのように、介護をしながら働くために必要な準備をするということです。  いまでは要介護状態の発生から介護保険サービスの利用開始まで1カ月もあれば十分ですが、介護が長期化した場合には、再び緊急事態に直面することがあります。そうしたときに、介護保険サービスのケアプランを見直したり、在宅介護から施設介護に移行したりといった体制の再構築が必要になるという想定で、1回31日の介護休業を3回取得できる設計になっています(実際は31日ずつでなくても可)。  また、高齢者介護においては、企業の両立支援制度だけでなく、介護保険制度についても一緒に伝えておきましょう。自分で介護をするのではなく、介護保険サービスを利用しながら働くという心構えをもっておくことが大切です。  ただし、実際に介護に直面してみると、なかなか想定通りにはいきません。介護休業は緊急事態や体制構築、介護休暇は通院のつき添いやケアマネジャーとの面談、介護保険サービスの利用時間と勤務時間が合わないときには短時間勤務やフレックスタイムで勤務時間を調整する、そのような想定通りに制度を利用しようと思っていても、じつは意外と両立支援制度を利用しないで介護に対応できることが多々あります。特に働き方改革に取り組み、残業削減や休暇を取りやすい職場づくりに取り組んでいた場合、通常の働き方・休み方で介護に対応できることが多いです。  しかし、個々の社員が直面する介護の事情は多様ですから、想定外の問題が仕事と介護の両立をむずかしくすることがあります。典型は(要介護者ではなく)介護をしている社員の健康問題です。  法定の仕事と介護の両立支援制度は勤務時間中に介護の用事が入ることを想定しています。その介護の用事に対応するために、休業や休暇、勤務時間短縮などの措置が必要になるという考え方です。しかし、勤務時間中に介護の用事が入ることなく通常勤務ができる場合でも、帰宅後や休日に毎日介護をする生活が続くと、疲労やストレスが蓄積していきます。特に、認知症などによって要介護者の生活が昼夜逆転している場合、同居する家族も睡眠不足になることがあります。  そうして心身に蓄積した疲労やストレスを解消するために介護休業を取る人がいます。介護休業を取り、一時的に仕事から解放されることで、例えば要介護者がデイサービスに行っている日中に休息を取ることができます。仕事と介護で毎日の予定が埋まっていた生活に時間的ゆとりができることで、心身にもゆとりが生まれます。  しかし、そのような制度の利用方法を育児・介護休業法は想定していません。そこで、制度の趣旨と違う使い方をしてはいけないと企業が社員を指導するのは早計です。育児・介護休業法は健康管理のために介護休業を取ることを想定していませんが、禁止してもいません。じつは前述のように介護に専念することも禁止していません。例えば、終末期に要介護者と過ごす残り少ない時間を大切にしたい。そのような目的で介護休業を取ってもよいのです。  介護の事情は多様ですから、介護に直面した後の個別周知と意向確認においては制度の想定に固執しない柔軟な対応が求められます。仕事を続けるためという目的を見失わず、その手段として両立支援制度を利用するのであれば、制度の想定に縛られる必要はないのです。 4 個人の自由と集団的合意  このようにいうと、事前の情報提供において制度の趣旨を説明することの意義がわかりづらくなると思います。そこで、両立支援制度は住宅の間取りのようなものだと考えるとわかりやすいと思います。  住宅には、リビング、ダイニング、寝室、物置部屋といった目的別に設計された部屋があります。賃貸住宅を借りるとき、事前に間取りの説明を受けます。しかし、住人が実際に各部屋をどのように使うかは自由です。物置部屋を寝室に使ってもよいし、寝室より広いリビングで寝たければそのようにしてもよいでしょう。それは本人の自由です。世帯構成や住人の好み、体質など、個々の事情に応じて自由に使ってよいのです。  介護も同じです。両立支援制度というのは、間取りと同じです。事前の情報提供のときには、間取りを説明するように制度設計の趣旨を社員に伝える。しかし、実際の介護には、家族構成や家族関係など、さまざまな事情があり、それに応じて介護離職を回避するために必要な対応も変わってきます。制度設計の趣旨と違う両立支援制度の使い方をしたとしても、それは個人の自由であり、企業が社員の私生活に干渉してとやかくいう問題ではありません。  介護の事情はさまざまですから、ときにはいまある制度では物足りないということもあるでしょう。しかし、企業が個々の事情に寄り添い過ぎてふり回されるのは望ましいことではありません。  介護の事情がさまざまだからといって、際限なく個人の事情に企業がつき合うことはできません。そこで、「ここまではつき合いますよ」という線引きをするのが制度です。それは、みんなが守るべき約束、つまり集団的な合意の産物です。その線引きの内側であれば、どのように介護をしようと個人の自由です。しかし、制度が引いている線を越える個人の事情を許容すると企業は人事労務管理の秩序を保てません。  住宅の例でいえば、物置部屋を寝室にしてもよいですが、その部屋の日あたりが悪いと文句をいうのは筋が違うという話です。住宅の間取りは、特定の住人でなく、不特定多数、つまりみんなが住みやすいように設計されています。一人のわがままで改築すると、その人は便利になりますが、別の人はもっと不便になる可能性があります。仕事と介護の両立支援制度にも同じことがいえます。  したがって、一人ひとりの個別事情にとっては不便なところがさまざまにあったとしても納得して制度を利用してもらうために、どのような趣旨で制度が設計されているかを事前に説明して理解を得ておく必要があるのです。  この個人の自由と集団的合意の区別ができていない企業がときどきあります。社員向けの介護セミナーにおいて制度設計の趣旨と正しい利用方法を混同しているようなケースはその典型です。そこには「仕事と両立するためには、このように介護をすべき」という決めつけがあります。企業は社員に指揮・命令する癖がありますので、このような「教育」に違和感を持たなかったとしても無理はありません。しかし、そのように決めつけてしまうと多様な介護の事情に対応できませんから、介護離職はなくならないと思います。 5 大切なのは仕事についての合意  社員が介護に直面したとき、企業と社員が合意すべきは、どのように介護をするかではなく、どのように仕事をするかです。介護のために仕事を休むことや残業できないことがあっても業務に支障が生じなければ、介護の仕方を企業が心配することはないと思います。 図表1 家族の介護をする雇用者数の推移 男性:2012 男性:2022 女性:2012 女性:2022 29歳以下 30−39 40−44 45−49 50−54 55−59 60−64 65−69(歳) 出典:総務省「平成24年・令和4年就業構造基本調査」(2012年、2022年)をもとに筆者作成 図表2 家族の介護をしている雇用者に占める制度利用者の割合 雇用者計 正規雇用者計 合計 男性 女性 合計 男性 女性 介護休業 1.6% 1.6% 1.6% 2.1% 2.0% 2.3% 介護休暇 4.5% 4.7% 4.3% 6.8% 6.2% 7.5% 残業免除 0.8% 0.9% 0.6% 0.8% 1.0% 0.7% 短時間勤務 2.3% 1.8% 2.7% 2.1% 1.7% 2.6% フレックスタイム 2.3% 3.0% 1.8% 3.5% 3.7% 3.2% その他 2.1% 2.3% 1.9% 2.4% 2.2% 2.6% 制度利用者(全体) 11.6% 12.3% 11.0% 15.0% 14.3% 15.8% 出典:総務省「令和4年就業構造基本調査」(2022年)をもとに筆者作成 【P11-14】 解説1 両立支援制度の整備と運用のポイント 社会保険労務士法人グラース 代表 特定社会保険労務士 新田(にった)香織(かおり) 1 「介護休業」と「介護休暇」の違い  育児・介護休業法には、仕事と介護の両立を助けるための制度が規定されていますが、そのなかでも「介護休業」については、本来の目的が正しく理解されていないケースが散見されます。介護休業は法律の趣旨としては、例えばヘルパーやデイサービスのような介護サービスなどを利用することで、自身がいなくても介護ができる「体制づくり」に充てるための期間として想定されているのですが、多くの方が「自らが介護をする期間」と誤解されているようです。  介護の平均期間は約5年といわれており、介護休業の法定上限である「対象家族1人につき通算93日」だけでは、到底すべての期間をカバーすることはできません。もし、休業期間中にすべての介護を自分で行おうとすると、休業が明けた途端に立ち行かなくなり、結果的に離職を選択せざるを得ないリスクが高まります。したがって、親の介護が必要な状態になった際は、まず地域包括支援センターや市区町村の担当窓口で介護保険の認定手続きを行い、その後はケアマネジャーに相談しながら訪問介護やデイサービスの利用、福祉用具のリース、かかりつけ医との連携、さらには自宅のリフォームなど、プロの力を借りて生活を安定させるための準備を集中的に行う必要が出てきますので、その際に介護休業を利用するとよいでしょう。また、自宅での介護から施設への入所へと生活環境が大きく変化するタイミングや、看取りの時期など、集中的に時間を割く必要がある場面でも介護休業は有効です。  一方で「介護休暇」は毎年リセットして付与される休暇です。時間単位でも利用が可能なので、例えば病院の付き添いや福祉用具の入れ替え時など、介護をするうえでのちょっとした用事があるときに使うのに適しています。ある程度まとまった期間を休む介護休業と比較して利用する心理的ハードルは低いかもしれませんが、それでも「令和6年度雇用均等基本調査」によると過去1年間に介護休暇を利用した従業員がいた事業所は全体の3.6%に過ぎません。法定では無給でもよいこととなっているため、実際は年次有給休暇を利用している人が多いと思われますが、今後介護に直面する従業員が増えていきますので、有給にする会社が増えれば、取得率は増えていくでしょう。  このように、従業員は介護休業と介護休暇の違い(12ページ図表1)を認識したうえで各制度を利用すると、メリハリをつけて介護していくことができます。 2 柔軟な働き方のできる制度を上手に利用する  従業員が仕事と介護の両立を長期的に継続していくためには、会社は、日常的な介護ニーズに対応できる「柔軟な働き方」の選択肢を整備することが不可欠です。介護が軌道に乗った後も、ケアマネジャーとの定期的な打合せや、病院の付き添い、想定外の事態への対応など、細切れに時間を確保しなければならない場面が多々発生します。  このような日々の両立において特に有効なのが、「テレワーク」です。テレワークを利用すれば、通勤にかかる時間をそのまま生活や介護の時間に充てることができ、時間的なゆとりが生まれます。例えば、遠方に住む親の介護においても、週末に実家に帰り、月曜日は実家でテレワークをしてから自宅へ戻るといった働き方ができれば、主たる介護者となっているほかの家族の負担を大きく軽減することもできます。また、同居している場合でも、テレワークや短時間勤務の日であればデイサービスの送迎に立ち会うことが可能になります。  このほか、従業員がその日の始業・終業時刻を決定できる「フレックスタイム制度」、所定労働時間は変えずに始業・終業時刻を従業員の都合で変更できる「時差勤務制度」、さらには1日の労働時間のなかでいったん業務を離れることができる「中抜け制度」や「時間・半日単位の年次有給休暇」などを組み合わせることで、従業員は状況に応じた最適な働き方を選択できるようになります(13ページ図表2)。柔軟な働き方をする従業員が増えることは、労働時間管理が煩雑になり手間はかかりますが、これらの柔軟な勤務制度を整備し、日ごろから利用しやすい風土を整えておくことが、結果として優秀な人材の流出を防ぐことにつながります。  また、これらの制度の対象を、介護をしている従業員に限定すると、周りの人に気を遣って利用しにくくなりますので、介護にフォーカスするよりは、会社で働くすべての従業員が私生活を大切にして働けるという視点でとらえて、できるだけ多くの従業員を対象とすることが、制度理解と利用しやすさにつながると考えます。 3 2025年施行の改正育児・介護休業法と企業の対応  介護に直面する従業員が増加するなか、制度の利用をうながし、介護離職を防ぐことを目的として、2025(令和7)年4月に改正育児・介護休業法が施行されました(図表3)。これまで、就業規則に両立支援制度を定めてはいるものの、従業員に十分に周知されておらず、「制度が利用しにくい雰囲気がある」といった理由で退職に至るケースが多いことが課題となっていました。法改正では、こうした労使の認識のズレを解消するための具体的な措置が事業主に義務づけられました。  第一に、「個別の周知・意向確認」の義務化です。従業員から介護に直面している旨の申し出があった場合、会社は個別の面談などを通じて、介護休業や介護休暇などの両立支援制度、および介護休業給付金に関する情報を提供し、制度利用の意向を確認しなければならなくなりました。  第二に、「40歳到達時等の労働者への早期情報提供」です。従業員が介護保険の第2号被保険者となる40 歳に達するタイミングで、仕事と介護の両立に関する制度の情報提供を行うことが義務化されました。介護は突然始まることも多いため、いざというときに備えて、早い段階から制度の存在を知っておいてもらうことが初動の遅れを防ぐ鍵となります。  第三に、「両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備」として、介護に関する社内研修の実施や、専用の相談窓口の設置などの措置を講じることも義務づけられました。  さらに、努力義務として「介護をしている従業員がテレワークを利用できるように環境整備をする」ことや、これまでは労使協定で介護休暇の対象外とされていた「継続雇用6カ月未満の者も対象とする」ことが法改正に含まれています。  また、法改正ではないのですが、これまで制度の「対象家族」としてあまり知られていなかった障害児・者や医療的ケア児・者にも利用しやすいように、国がこれまで示していた「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」の表を整理したこともお伝えいたします。  つまり、会社は規定を見直すことに加え、従業員が制度を利用しやすいような職場環境を整えることが、いまは必須となっているのです。 4 非正規雇用の従業員の権利  「介護休業や労働時間の短縮措置などの制度は、『正社員だけ』のもの」と思い込んでいないでしょうか?  育児・介護休業法で定められているさまざまな制度は、介護による離職を防ぐためのものですので、基本的には、休業から復帰した後も同じ職場で働き続けることや、制度の利用をしながら両立していくことを前提に設計されています。そのため、日々雇用者や、休業後に契約が終了することが決まっている一部の有期契約社員などは、制度の対象外となります。  これら法律で対象外と定められている者に加えて、さらに会社と従業員代表等との間で書面による約束(労使協定)を交わしておくことで、例えば「勤続1年未満の者」や「1週間の所定労働日数が2日以下の者」を、介護休業などの対象から外すことができる仕組みになっています(図表4)。  しかし、これらにあてはまらない人、つまり、有期の雇用契約を反復継続して働いていたり、1年以上かつ週3日以上働いていたりするような多くのパートタイム社員やアルバイト社員、契約社員には、当然に制度を利用する権利があります。  事業主や人事担当者のみなさまに知っておいていただきたいのは、法律は非正規雇用で働く従業員にも寄り添った内容になっているということです。パートタイム社員やアルバイト社員であっても、会社にとってはなくてはならない大切な従業員の一人です。いざというときに「この会社で働き続けたい」と思ってもらえるよう、まずは自社のルール(労使協定)がどうなっているかを確認し、すべての従業員が安心して介護と両立できる職場づくりを目ざしていきましょう。 図表1 「介護休業」と「介護休暇」― 目的と使い方の違い ― 比較項目 介護休業 介護休暇 制度の目的長期の休業 仕事と両立するための体制構築・環境整備 短期の休暇 その日に発生する直接的なサポート 取得できる日数 対象家族※1人につき通算93日 対象家族1人年5日(2人以上は年10日) 取得の単位・回数 分割して最大3回まで取得可能 1日・半日・1時間単位で柔軟に取得可能 給与・給付金 介護休業給付金を支給(賃金の67%相当・非課税) (社会保険料の免除はなし) 法定では無給 (会社の判断で有給とすることは可能) 具体的な活用シーン 本格的に介護を始める状況になって集中的に体制を整えるとき、看取りのとき、病院からの退院前後など 介護関係の契約や手続き、通院の付き添い、突発的な日常介護など ※対象家族とは2週間以上の常時介護を要する配偶者、親、配偶者の親、子、孫、兄弟姉妹です ○C grasse-sr 無断で転載することを禁止いたします 図表2 制度は状況に応じて使い分ける 介護が軌道に乗るまで ある程度介護に費やす時間が確保できる制度を利用する。 例) ・介護休業 ・短時間(短日数)勤務 ・テレワーク勤務 ○手続き、手配 ○ケアマネとの打合せ、連絡 ○病院付添い ○デイサービス/デイケア対応 ○想定外の事態発生時 etc. 細切れで介護に携われる制度を利用する。 例) ・介護休暇 ・時間・半日単位の年次有給休暇 ・時差勤務 ・短時間(短日数)勤務 ・テレワーク勤務 ○C grasse-sr 無断で転載することを禁止いたします 図表3 2025年4月施行 改正育児・介護休業法の概要 項目 概要 区分 個別の周知・意向確認 介護に直面した労働者へ制度説明・意向確認 義務 40歳到達時等の早期情報提供 介護休業・介護保険制度の基本情報を提供 義務 両立支援制度を利用しやすい雇用環境整備 研修・相談窓口・事例提供・方針周知から1つ以上 義務 介護のためのテレワーク 介護者がテレワークを選択できる環境整備 努力義務 介護休暇の除外要件から「継続雇用6カ月未満の者」を撤廃 介護休暇の対象外とする労使協定から継続雇用6カ月未満の者を削除 − ○C grasse-sr 無断で転載することを禁止いたします 図表4 介護に関わる制度利用の対象者・非対象者 法律で対象外とされている者 労使協定があれば対象外になる者 介護休業 ・日々雇用者 ・介護休業取得予定日から起算して93日経過する日から6カ月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかな有期契約労働者 ・勤続1年未満の労働者 ・申出の日から93 日以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者 ・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 労働時間の短縮措置等 ・日々雇用者 ・勤続1年未満の労働者 ・週の所定労働日数が2日以下の労働者 介護休暇 ・日々雇用者 ・週の所定労働日数が2日以下の労働者 所定外労働の制限 ・日々雇用者 ・勤続1年未満の労働者 ・週の所定労働日数が2日以下の労働者 時間外労働の制限 ・日々雇用者 ・勤続1年未満の労働者 ・週の所定労働日数が2日以下の労働者 − 深夜業の制限 ・日々雇用者 ・勤続1年未満の労働者 ・介護ができる同居の家族がいる労働者 ※介護ができる同居の家族とは、16歳以上であって次のいずれに も該当する者をいう イ 深夜に就労していないこと(深夜の就労日数が1カ月につき3日以下の者を含む) ロ 負傷・疾病または心身の障害により介護が困難でないこと ハ 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定であるか、または産後8週間を経過しない者でない ・週の所定労働日数が2日以下の労働者 ・所定労働時間の全部が深夜にある労働者 − ○C grasse-sr 無断で転載することを禁止いたします 【P15-17】 解説2 両立支援において上司・同僚に求められる対応と配慮 社会保険労務士法人グラース 代表 特定社会保険労務士 新田香織 1 介護離職を防ぐには  仕事と介護の両立支援制度を整えるだけでは、介護離職を完全に防ぐことはできません。現場で制度が実際に機能するためには、上司や同僚の理解と配慮が不可欠です。  まず、介護離職が起きやすい職場の特徴を把握して、改善していく必要があります(16ページ図表1)。「長時間労働が常態化し休めない」、「両立のための制度が知られていない」、「上司やメンバーの理解がない」、「『お互いさま』の精神がない」などの職場では、従業員は介護の悩みを一人で抱え込みやすく、離職のリスクが高まります。  また、離職しやすい従業員個人の傾向もあります。「代替の利かない業務を抱えているため休めない」人や、「職場、介護チーム、家族といったそれぞれの場所で相談・交渉・自己開示をするのが苦手」、「人に頼らず何でも自分でやろうとする」人などは、限界を迎えるまで一人で無理をしてしまう危険性があります。特に後者は個人特性といってしまえばそれまでですが、会社としては、マインドセットと行動変容への働きかけが必要です。 2 仕事と介護の両立をわかりやすくまとめた両立支援マニュアルの作成・配付  仕事と介護を両立させるには、「会社の制度」と「介護保険のサービス」の利用がポイントとなりますが、介護経験者と労務管理の担当者以外では、どちらも知らない人がほとんどではないでしょうか。だからこそ、「両立支援マニュアル」をつくることはとても重要です。  2025(令和7)年に施行された改正育児・介護休業法で、介護をしていることを申し出た従業員と40歳等になる従業員に対して会社の制度を情報提供することが会社の義務となったため、なんらかの書面を準備した会社は多いと思われますが、努力義務となっている介護保険のサービスまでマニュアルに盛り込むことはしていないかもしれません。  しかし従業員にとって、介護に直面する前から介護保険の利用手順、サービス内容、相談先などを自ら調べる人はほとんどいないと思われますので、マニュアルにはぜひ盛り込んでおきたいところです。マニュアルにはできるだけ具体的な制度の内容や、サービスの利用をしながらの両立事例なども書かれていると、読み手の興味を引きます。 3 仕事と介護の両立をイメージできる研修の実施  筆者は2012(平成24)年から事業主、労働組合、従業員などを対象に、仕事と介護の両立研修を行ってきました。当初は、制度説明と両立事例を伝えることが急務でしたが、最近は、それらに加えて、両立をしている人のリアルな日常を知って、自分にあてはめて考えることで、職場内での支え合いの大切さに気づくような内容も求められていると感じています。  介護はプライベートなことなので、職場で自己開示しない人が多いかもしれません。そのため、介護を経験していない人は、仕事と介護の両立をしている人の悩みやたいへんさがリアルに想像できず、どういう配慮が必要なのかがわかりません。そこで、仕事と介護の両立をテーマとする研修を実施するときは、管理職全員に参加してもらうことが望ましいです。また、管理職は部下の介護の相談を直接受ける可能性が高いことに加え、管理職自身が親の介護が身近になってくる世代であることから、研修の効果は高いといえるでしょう。  また、「仕事と介護の両立」をしている人を一括りにできないということも知っておきたい点です。例えば、介護を必要としている人が親の場合、親と同居か別居か、近距離か遠距離か、親の要介護状態の程度、認知症かそうでないのか、その従業員が介護のキーパーソン(医療・介護従事者との連絡や手続きの窓口となるおもな意思決定者)なのか否かなど、多くの要素によって、両立の困難さは違ってくるからです。もしキーパーソンであれば、親のことで多くの時間を割いたり、お金や契約などの煩雑な管理をしたり、理解力の低下している親との会話などで、心身ともに負荷がかかっている可能性もあります。認知症の進んだ親と同居している場合も、日常生活での苦労が絶えません。こうしたさまざまな介護の形と、両立している人の悩みについて、職場メンバーが少しでも理解することが、仕事と介護の両立がしやすい風土醸成につながると考えています。そのため、研修のなかで介護経験者に自身の両立体験や配慮してほしいことを語ってもらう、座談会を実施して悩みや情報を共有するといった取組みも非常に有効です。 4 職場の理解を得るために重要なこと  特定の従業員が介護で休んだり柔軟な働き方をしたりすることで、一部の職場メンバーに業務のしわ寄せがいき、不満が溜まるようでは、真の両立支援とはいえません。職場の理解を得るためには、介護をしている人にかぎらず、多様な人材がそれぞれの事情を抱えながらも能力を発揮し合える「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」の考え方を浸透させることが基盤となります(図表2)。  介護は育児とは異なり、いつ始まりいつ終わるのか予測がつきにくく、だれでも直面する可能性のある「お互いさま」の課題です。これを組織全体の問題としてとらえ、だれかが休んでも業務が滞らないよう、日ごろから業務の属人化を排除し、情報共有や多能工化を進める「働き方改革」をセットで推進していかなければなりません。そこで改革の要となるのは、「会社の方針」と「管理職のマネジメント」であると考えます。  まず、会社は方針としてDE&Iを進めていくことを強く発信することが必須となります。この発信がないと、何のために介護をしている人を支援するのか、働き方改革を進めるのかが管理職をはじめ職場に伝わらず、うまくいかないからです。特に業務の効率化は、働く現場の人の努力でかなう部分もありますが、経営上の判断がなければ実現しないことも多いため、会社の方針はとても重要です。  また、管理職は仕事と介護の両立をしている部下への配慮に加え、介護で休みがちな部下の仕事を引き受けて負荷がかかっている部下に対しても、気にかけて労いの言葉をかけたり、業務の一部をほかの部下に割りあてたり、省略できる業務を指示するなどして不公平感が生じないようにマネジメントする必要があります。  職場全体としてとらえると、概して人は変化より安定を求めがちなため、「働き方改革」は遅々として進まない傾向がありますが、「仕事と介護の両立」を自分ごととして考える人が一人でも増えていくことで、業務の効率化・生産性の向上は主体的に進むのではないかと期待しています。  最後になりますが、筆者も両親の介護をしています。いまは施設での生活にも慣れてきたため、負担は減りましたが、入退院、施設探し、引越しなどのときは時間がいくらあっても足りないと感じました。しかし、ふだんから業務進捗の前倒し、権限移譲、自己開示をしていたことに加え、介護従事者への相談と交渉によって、一人で抱えるつらい状況には至りませんでした。むしろ、親不孝だった筆者ですが、介護にたずさわる機会を得たことで、後々、自分自身が悔やむことがないように、やれるだけのことはしたいと思っています。  介護が「つらい経験」だけで終わるのではなく、「感謝」や「納得感」に変わる機会になることを望みます。「仕事と介護の両立」は、だれもが直面する「あたりまえ」の課題として、ともに支い合える社会をつくっていきましょう。 図表1 介護離職しやすい傾向 【職場の傾向】 ・長時間労働、休めない、余裕のない業務体制 ・コミュニケーション不足で互いに干渉しない ・両立のための制度が知られていない ・両立に対して、職場メンバー(特に上司)の理解がない ・「お互いさま」精神がない 【介護をしている従業員の傾向】 ・代替が利かない業務を抱えている ・コミュニケーション(相談、交渉、自己開示)が下手 ・両立のための制度を知らない ・介護になった時の対応について考えて来なかった ・身内に頼れる人がいない ・人に頼らず自分で何でもやろうとする ○C grasse-sr 無断で転載することを禁止いたします 図表2 柔軟な働き方と周囲の支えが必要 特に・・ ・認知症家族を介護している場合 ・在宅で要介護度が高い家族を介護している場合 慢性的な疲労感 昼夜逆転→寝不足 心身の回復をはかることが大切 介護にかかる時間の縛り 通院付添い、突発的な事態への対応、デイサービス送迎への対応 etc. 時間の自由度が高い働き方が求められる 一緒に働く人たちの両立への理解が鍵 ○C grasse-sr 無断で転載することを禁止いたします 【P18-21】 事例1 介護を「社員個人の問題」から「私たちの話題」へ風土から変えたボトムアップの全社プロジェクト 株式会社日立ソリューションズ(東京都品川区) 社員5000人超のIT企業が介護課題に正面から向き合う  1970(昭和45)年9月に設立された株式会社日立ソリューションズは、ソフトウェア・サービス事業、および情報処理機器販売事業を展開するIT企業である。2026(令和8)年3月末時点の従業員数は、単独で5129人、グループ連結で1万4630人。定年は60歳、定年後は一定要件のもと、最長で70歳近くまで働ける制度を整えており、60歳以上の従業員数は418人(2026年6月1日現在、雇用区分:シニア社員のみ)となっている。同社では近年、従業員の多様な働き方を支援する施策に積極的に取り組んでおり、在宅勤務率71.7%(2024年12月時点)、女性管理職比率8.9%、男性育児休暇取得率98.3%(2024年度)という実績を残している。  現在、社員の平均年齢が45歳前後に達しており、これから介護に直面する世代が増えていくことが予測されることから、同社では仕事と介護の両立を、社員の「個人の事情」ではなく、会社の「経営課題」と位置づけ、2023年7月に全従業員を対象とする「仕事と介護の両立」プロジェクトを立ち上げた。 社内アイデアソンから生まれた「両立支援」への本気  プロジェクトのきっかけは2022年度に実施した社内アイデアソン※1だった。サステナビリティをテーマにしたCSR活動というテーマで従業員からアイデアを募り、ゴミの自動分別、林業振興、病院のコンシェルジュなど、多彩な提案が並ぶなかで最優秀賞に選ばれたのが「仕事と介護の両立支援」をテーマにしたアイデアだった。  このアイデアは、発案者となった従業員の中学生の息子の「これからは介護でしょ。いつかは自分たちがやるようになるんだよね、介護を」という一言だったという。介護をネガティブにとらえがちな大人とは対照的に、いまの子どもたちはSDGsについて教育を受けており社会課題への意識が育まれている。その言葉を機に介護を前向きにとらえ直したとき、アイデアのイメージが膨らんでいったそうだ。  そして、このプロジェクトのリーダーを任されたのが、2015(平成27)年から同社の働き方改革プロジェクトにたずさわってきた、経営戦略統括本部エグゼクティブエバンジェリスト兼サステナビリティ推進本部の伊藤(いとう)直子(なおこ)本部長だ。当時をこうふり返る。  「アイデアソンでテーマは決まったものの、当初は具体的に何をするかはぼんやりしていました。そんなときに現場の課長クラスのある社員が『親の介護がはじまり、退職も考えている』という状況であることがわかり、介護をしている社員をみんなでサポートしようというムードが生まれました。そこであらためて議論した結果、介護作業を手伝うことではなく、仕事と介護を両立できる会社風土を醸成することが本質ではないか、という結論に至りました。私自身、介護の経験も制度の知識もありませんでしたから、まずは知ること、そのうえで意識を変えるというステップで取組みを設計しました」  翌2023年度に、同社の仕事と介護の両立支援は、全社プロジェクトとして正式に始動した。当事者だけでなく、周囲の社員、さらには全社員が介護への理解を深め、介護離職や生産性の低下を抑制できる仕組みをつくるという方針が定まった。 「ありたい姿」を5段階で設定し施策へ落とし込む  仕事と介護の両立は、売上げ目標のような定量的な指標を設定しにくいことから、プロジェクトが向かうべき方向を示すために、まず「ありたい姿」を定めることから着手した。具体的には、@状況を知る、Aリテラシーの向上、B意識変革、C現状の共有、そしてゴールであるD仕事と介護の両立、という五つのカテゴリーを設定し、それぞれの目標に必要な項目を洗い出して個別の施策へと落とし込んでいった。  まず「知る」ための取組みとして、2023年8月に日立ソリューションズグループの社員を対象にして、介護にかかわる意識の実態把握調査を実施した。すると、社内に介護中の社員が5%いることが判明した一方で、両立支援制度や介護相談窓口が制度としてあるにもかかわらず、約9割の社員がその存在を知らないという事実が浮かび上がった。  「意識調査では『介護について社内で相談するとしたら誰か』という問いに、8割以上が『上司』と回答しました。業務に直結するため上司に相談するのは自然なことですが、上司が制度を十分に理解しないまま『休んで介護を優先してください』などと安易に答えてしまえば、社員の長期的な両立を妨げることになりかねません。正しい知識を持ってもらうためには、管理職向けのリテラシー研修が必要だと感じました」(伊藤本部長) 介護の知識がある・なしで仕事継続意識の差は2倍  意識調査では、介護に関する知識がある社員と、ない社員とで、「介護をしながら仕事を続けられると思う」と回答する割合に大きな差が出た。知識がある社員では65%が「仕事を続けられる」と回答したのに対し、知識がない社員では3割強にとどまった。「仕事と両立するためにも、知識は重要であるということ。知らないまま追い込まれないよう、くり返し情報を発信することを意識しています」と伊藤本部長は話す。  管理職研修において、特に重点を置いて伝えているのが「プレイヤーではなくマネージャーになる」という考え方だ。「介護を自分一人で背負い込もうとするのではなく、ケアマネジャーや地域包括支援センター、医療関係者、家族などをうまくマネジメントし、役割を分担していくことが大切です。『介護があるから仕事を減らさなければ』ではなく、自身の仕事やキャリアに対するビジョンを持ったうえで、『介護』という事情をいかに調整するかという発想の転換が重要です」(伊藤本部長)  また、育児・介護休業法で定められている介護休業などの理解の浸透にも力を入れている。  「法定で93日ある介護休業は、介護そのものをする期間ではなく、地域包括支援センターへの相談やケアマネジャーとのケアプラン策定、連絡体制の整備など、介護体制を構築するための準備期間として使うものです。介護は5〜10年にわたる場合もありますから、延べ90日程度の休業期間だけで完結するという性質のものではありません。部下から介護の話をされた際、上司に求められるのは介護そのものについてのアドバイスではなく、制度を活用し仕事との両立を図るという観点から社員と話すことなのです」(伊藤本部長)  なお、同プロジェクトは経営戦略部門と人事総務本部が連携して推進している。社外発信や全体の思想整理などは経営戦略部門がにない、制度設計や社員のサポートは人事総務本部が担当する。人事総務本部労政部労政グループの平岡(ひらおか)彩(あや)主任は、「当社では法定を超え、被介護者1人につき最大1年の介護休業を取得できる制度を設けています。ただ実態として多いのは、テレワークやフレックスタイムなどをうまく組み合わせながら、長期の休業に頼らずに仕事と両立をしているケースです。特にテレワークの効果はとても大きいと感じています。ケアマネジャーとの打合せが月に1回ある場合など、午前中は親の実家でテレワークをして、打合せが終わったらまた仕事に戻る、といった働き方があたり前にできます。これは遠方に実家がある場合でも可能です。仕事と介護を両立するうえでは、柔軟に働ける仕組みは欠かせません」と説明する。 リテラシーと意識変革をうながす介護イベントとトークライブ  仕事と介護に関するリテラシーの向上と意識変革を促進する施策の柱は管理職研修だけではない。年1回開催する介護イベントと、オンラインのトークライブも重要な施策と位置づけている。  介護イベントでは、仕事と介護の両立支援に関する有識者を招いての講演やパネルディスカッションなどを行っている。第1回の介護イベントでは、パネラーに当時の社長が加わり、介護中の社員、その上司、若手社員とともに意見を交わした。  「若い世代の場合、両親もまだまだ元気で『いまの自分には関係ないこと』と考えがちですが、いずれ自分が当事者となるだけではなく、いま一緒に働く同僚が介護に直面する可能性もあることから、若手社員にもパネラーに加わってもらいました。毎回、さまざまな立場の社員が登壇し、参加しただれもが自分ごととして考えるきっかけになっていると思います」(伊藤本部長)  意識変革という観点でさらに効果を発揮しているのが、Microsoft Teamsを活用したオンラインのトークライブである。参加者はリアルタイムでチャット(コメント)をすることができ、初回開催時には229人が参加し、コメント数は150件を超えた。コメント時には社員の実名が表示されるが、現在の介護の状況や、「親に介護の話をしにくい」といった悩みなどの書き込みが次々と寄せられた。  「介護について話せる場がなかっただけで、じつはみんな話したいことがあったのだということを強く実感しました」(伊藤本部長)  オンラインのトークライブは2〜3カ月に1回のペースで開催しており、介護経験者が体験談を語る場へと発展した。制度の活用方法、認知症の親との向き合い方、上司への相談のタイミングなど、非常に具体的な話がオープンに語られている。ある参加者は「介護についてはネガティブな思いもあったが、話すことで少し客観的にみられるようになり、ポジティブにとらえられるようになった」とコメントしたそうだ。体験を語った社員が増えると、次回のトークライブでも「話せる人」が増えていく。そうした好循環が生まれはじめている。  そのほか、マンガを使った情報発信も行っており、取組みの初期段階では特に手応えがあったそうだ。サステナビリティ推進本部サステナビリティ経営部の伊藤(いとう)慎也(しんや)主任は「ある社員の仕事と介護の両立ストーリーをマンガ化して発信したところ、『介護』というキーワードに興味を示さなかった層にも届き、『共感できた』というコメントが多く集まりました。現在はAIを活用し、以前より手軽にマンガが制作できるようになり、マンガを使った情報発信も充実しています」と紹介する。 着実に変化している職場風土一人で悩まないための支援を  取組みを3年続けてきて、トークライブのアンケートには大きな変化が表れている。「参加者から『10年前に比べて会社が生まれ変わっている』という声が出てきました。『10年前であれば、介護を理由に休むと査定が下がるような雰囲気があった』と、当時を知る社員がはっきりと書いてくれています。仕事と介護の両立の取組みを続けることで風土が確実に変わってきています」と伊藤主任は力を込めた。  相談窓口への相談件数にも変化が表れている。プロジェクト発足前は年間1桁だった相談件数が、取組みをはじめてからは40〜50件程度まで増加した。介護イベントに窓口の担当者が登壇し、「『遠方に住んでいる両親はまだ元気だが、80歳を超えており不安もある』程度の相談も大歓迎です」とアピールしたことも、相談のハードルを下げる効果を生んだそうだ。  平岡主任は「社員の平均年齢が40代半ばを迎えており、介護と向き合う社員がこれからどんどん増えていきます。言葉だけで『悩みを共有できる雰囲気をつくろう』と訴えるのはむずかしく、介護にかぎらずコミュニケーション施策全体に会社として力を入れていることが、相談しやすい土台になっていると思います。2026年度は人事として、アサーティブコミュニケーション※2や自己開示をキーワードに、自分のことを少し開示することで話しやすい関係性をつくる取組みを進めています。さまざまな個人の事情と仕事を両立できる仕組みを継続的に考えていくなかで、特に対象者が増えていく介護との両立には力を入れていくべきだと考えています」と方向性を語った。  そして伊藤本部長は最後にこう締めくくった。  「介護離職自体がもともと年間数件程度と非常に少なかったこともあり、当社では『離職ゼロ』を目標にするのではなく、悩みを一人で抱え込んでしまうことにより生産性の低下が生じてしまうような状態をなくすことに主眼を置いてきました。なかには、両立支援のための会社の取組みについて理解したうえで、『介護に専念したい』という選択をする社員もいます。それはその人の価値観として尊重すべきことです。ただ、知らないまま辞めていくということだけは絶対にないようにしたい。それがこのプロジェクトの根幹にある考え方です」  同社の取組みは制度の整備にとどまらず、オープンに話せる風土をつくることを一貫して重視してきた。現在、介護経験者は社員の約6%だが、これから介護に直面する世代ははるかに多い。介護を「社員個人の問題」とするのではなく、「私たちの話題」として職場で語り合える土台があることが、一人ひとりの安心感につながり、仕事と介護の両立を現実のものにしていく。 ※1 アイデアソン…… 特定のテーマに対して、さまざまな分野の人々が集まり、定められた期間でアイデアのブラッシュアップを行うこと ※2 アサーティブコミュニケーション……「自分の意見や要望を率直に伝える」ことと「相手の意見や立場を尊重する」ことを両立させるコミュニケーション手法 写真のキャプション 左から人事総務本部労政部労政グループ主任の平岡彩さん、経営戦略統括本部エグゼクティブエバンジェリスト兼サステナビリティ推進本部本部長の伊藤直子さん、サステナビリティ推進本部サステナビリティ経営部主任の伊藤慎也さん 【P22-25】 事例2 「仕事と介護の両立支援宣言」を社長名で発信相談体制の充実や独自の制度整備で支援 株式会社白川プロ(東京都渋谷区) 365日24時間体制で稼働する老舗映像制作会社  株式会社白川プロは、1962(昭和37)年に創業し、映像制作会社として、テレビの草創期からその発展とともに成長してきた。経営理念に「世界をこの目に、この耳に。私たちは『本物』を伝えるプロ集団です。」を掲げ、おもに日本放送協会(NHK)のニュースやドキュメンタリー番組などの制作にたずさわり、365日24時間体制で映像編集や音響効果に関する業務をになっている。  2026(令和8)年6月時点の従業員数は276人(男性183人、女性93人)。平均年齢は約40歳と比較的若い世代が多い。「テレビ業界の老舗で、ニュース番組を手がけている」と聞くと、昼夜関係なく仕事が舞い込み、従業員のワーク・ライフ・バランスの実現はほど遠いだろうと想像する人もいるかもしれないが、同社では「すべての従業員が安心して働き続けることのできる職場環境づくり」に注力しており、2015(平成27)年度から仕事と介護の両立支援制度の整備を進めて充実させてきた。  例えば、法律で年間5日と定められている介護休暇は、対象家族1人につき10日(2人であれば20日)までの取得を認め、基本給の8割相当額を支給するなど、法定基準を上回る制度を導入している。また、積立有給休暇制度を整え、年次有給休暇の未消化分を最大40日分まで積立可能とし、介護の際に利用できるようにしている。さらに、使いやすい制度にするため、介護相談員を任命して介護相談窓口を設置しているほか、独自冊子の作成や社内セミナーを開催するなどして、仕事と介護の両立支援に関連する制度の社員への周知に力を入れてきた。  同社は、東京都開催の「ライフ・ワーク・バランスフェスタ東京2017」において「仕事と介護の両立部門」認定企業として表彰されると、2023年には、同認定企業のなかから優秀賞として表彰された。また、2024年には、育児や介護と仕事の両立支援に積極的な企業を登録する東京都の「家庭と仕事の両立支援推進企業登録制度」において、育児、介護の両支援で三ツ星を取得。この評価を得た企業は、東京都内でまだわずか数社だという。 仕事にやりがいを感じつつプライベートも両立できる会社に  仕事と介護の両立支援に取り組む背景や経緯、ねらいについて、同社の白川(しらかわ)亜弥(あや)代表取締役社長は次のように語る。「昔は、『仕事のためにプライベートを犠牲にするのは仕方がない』という仕事中心の会社でした。転機になったのは、創業者が他界して、経営陣がいっせいに替わったときです。私も取締役に就任し、現場出身ということもあり、自分たちの働き方が世の中とかけ離れていることに疑問を感じ、時代に合った職場環境に変えていこうと役員会議で話し合いました。2014年のことです」  そこから、就業規則の見直しを行い、一段落したところで、メンタルヘルスケアの制度づくりに取り組んだ。さらに、「仕事にやりがいを感じつつ、プライベートのさまざまなこともあきらめず、両立できる会社にしたい。そう考えて取り組んだのが仕事と介護の両立支援でした」と白川社長は話す。ふと手にした雑誌に、「今後、介護離職者が激増する時代が来る」という記事を見つけたそうだ。  「そのころの社員の平均年齢は34〜35歳。介護問題はまだ先の話だと思っていたのですが、実際に社員の年齢を階層別に見ると、BS放送が開始された年(1989年)に大量採用した世代が年齢を重ねており、『あと数年すれば当社にとっても大きな問題になる』と危機感を覚え、取組みを進めることにしました」  当時、法定内の制度は整えていたが、介護支援制度を利用した社員はいなかったという。ところが、役員会議でこの話を取り上げたとき、過去に介護を理由に退職した社員がいたことがわかった。  「支援制度はあったのに、役員も社員も制度のことを意識していなかったため、だれも利用できなかったのだと思います」(白川社長)  今後に向けて介護支援制度を充実させる必要性を役員全員で認識し、本格的な取組みがスタートした。 「仕事と介護の両立宣言」を出し社員への周知に努める  2015年9月、当時の社長名で「仕事と介護の両立宣言」を社員に向けて発信した。日本で介護離職者が増えている現状を知らせ、「介護による離職は、離職した本人にとって精神的、肉体的、金銭的に、より厳しい状況に追い込まれる可能性があるだけでなく、会社にとっても貴重な人材を失うという、深刻な問題を引き起こす」ということを説明し、仕事と介護の両立支援に本腰を入れて取り組んでいくことを表明。この宣言に多くの社員が理解を示し、受けとめたという。「制度を整えてだれもが利用できるものにしていくためには、会社の姿勢を明確に表明することが大切と考えました」と白川社長はふり返る。  さらに、実態とニーズを把握するため、社員アンケートを実施した。若くても親が病気であったり、祖父母の介護をするといったケースも考えられるため、すべての社員を対象に実施。その結果、介護経験がある社員は全体の14%、今後介護をになう可能性がある社員は54%、介護をすることへの不安を感じている社員は94%にのぼった。  次に、相談窓口を設置した。介護は一人でいきなり直面することもあり、その際にワンストップで受けとめる窓口として、社内や公的制度に精通した社員を「介護相談員」に任命し、社内報などで窓口の存在と相談員の紹介にくり返し努めた。相談は対面だけでなく、電話やメールでできることも周知した。 制度を伝えるオリジナル冊子を作成会社がしっかり支えることを伝える  続いて、オリジナル冊子『仕事と介護の両立 事前の心構え』を作成した。厚生労働省が公表している情報やパンフレットなどを参考にしながら、独自の内容を工夫し、「白川プロの介護制度」と題し、どのような制度があるのかを簡潔に明記。加えて、「介護と仕事を両立するための3つのポイント」と、ポイントごとに知っておきたい情報や地域と会社などの相談窓口の連絡先を記している。  「両立するための3つのポイント」は、以下の内容である。 @介護は定年までにほぼ全員が直面する課題です。そのため事前の心構えが大切です。 A仕事と介護の両立は大変ですが、仕事を辞めて介護に専念するとさらに大変です。仕事と介護の両立は、事前の心構えと相談で乗り切ると決意することが大切です。 B介護の課題に直面したら、まずは専門家に相談しましょう。ひとりで抱え込まないことが大切です。  また、介護生活を支える仕組みとして、介護者と介護を受ける人のためのサービスや施設が地域にあることを、イラストを使ってわかりやすくまとめた「介護と仕事を両立する地域の介護支援体制図」を別刷りで1枚、冊子に添えた。別紙にしたのは、家のなかの目につくところなどに貼っておけるようにと考えたからだ。  冊子には、「『とにかくひとりで抱え込まず相談してほしい、会社がしっかり支えます』、という思いを込めました」と白川社長は強調する。この冊子は、作成時に40歳以上の社員に配付し、以降は、社員が40歳の誕生日を迎えたときに手渡ししている。また、希望があれば40歳未満の社員にも配付している。 介護支援に関する社内セミナーを毎年開催当初は管理職の参加に注力  社員をしっかり支える、使える制度にするため、社内セミナーや個別相談会を開催している。  当初は、制度に対する管理職の理解を促進するために、まずは管理職の参加に注力した。同時に、管理職に対しては、家庭内のことをいい出しにくい社員がいることを想定し、社員の様子がいつもと違って「休みが多くなる」、「疲れた様子」などを感じた場合は、管理職のほうから声かけをしてほしいと伝えた。  現在のセミナーは、40歳になった社員と新任管理職者、参加希望者を対象として実施。おもに外部の講師を招いて開催しており、コロナ禍前までは対面・集合型、コロナ禍以降はオンラインで行い、希望に応じて個別相談にも対応している。セミナーに参加できない社員もいることから、アーカイブ動画で視聴できる環境を整えている。セミナー企画は介護相談員がになっており、これまでに「親が65歳になったら考える介護のこと」、「介護をする人もされる人も疲れない介護のあり方」、「施設やサービスの案内」などを取り上げている。 親身になって対応する相談員の存在が社員の助けに  「介護支援は、転ばぬ先の杖」だと伝えるなか、当初はピンときていない社員もいたそうだが、制度の充実に努めてから10年を経て、1人、2人と制度を利用する社員が出てきたことで、社員の受けとめ方も少しずつ変わり、いまでは制度を利用することがあたり前のようになってきた。  介護相談員も務める風張(かざはり)有紀恵(ゆきえ)人事部副部長は、「制度の周知を続けるなかで、ぽつりぽつりと相談がくるようになりました。社員の上司から相談されることもあります」と相談窓口について話す。そして、制度を利用した社員から、「この制度があったから親の介護ができた」、「制度があって使える環境もあることがありがたい」という声が聞かれるようになり、社内の雰囲気が変化していったという。  風張副部長は、相談に対応しながら、そのむずかしさを実感したという。「介護は、対象の方の症状をはじめ、家族と一緒に行っているのか、遠距離なのかなど、状況が一人ひとり異なり、また、考え方の違いもあります。窓口では、まず話を聞き、どんなことに困っているのかをたずねて、利用できる制度や支援について、また、必要に応じて地域のサービスなどについて説明します」と風張副部長。相談を受けた後、折りをみて状況確認のための連絡をするなど、その後のフォローも大切にしている。  できるだけ話しやすい環境をつくるため、風張副部長はキャリアコンサルタントの資格を取得し、傾聴についても学んだ。白川社長は、「制度をつくるだけでなく、知識や情報に精通し、親身になって対応してくれる相談員の存在が、社員の助けになっています」と風張副部長の対応を称える。また、「社員の日々のがんばりに会社として何ができるのか、福利厚生としてこの制度を整えはじめましたが、取組みを進めてきて、社員がプライベートなことでも会社に相談して支えを受けることができ、安心して仕事に臨み、仕事のクオリティが上がったり、やりがいを感じられたりすることがとても大切なことだといま感じています」と続けた。 安心してパフォーマンスを発揮できる職場環境をつくる  介護支援制度を充実させ浸透するなかで、社員からは育児支援制度の拡充を望む声もあがり、仕事と育児の両立支援制度についても充実させてきた。そして、家庭と仕事の両立支援に積極的な企業として表彰されるなど、いろいろなところで同社の取組みが取り上げられるようになった。  また、育児や介護の支援制度が充実していることが、大学の就職支援センターなどからも認知され、結果として、採用面でも大きなアドバンテージになっているという。  「当社は、24時間シフト制の勤務なので、こうした支援制度やワーク・ライフ・バランスの実現は困難と思われがちですが、シフト制だからこそ実現できたという側面もあるかもしれません。スキルの標準化や、仕事を一人で抱えることなく、ベテランも中堅も日ごろから休みやすいように、ほかの人に仕事を任せることのできる職場環境づくりにも力を入れてきました。両立支援においては、最初からできないと決めつけないことが大切だと思います」と白川社長。そして、「社員にとって使いやすい制度であることが何より大切です。制度は随時見直しをしながら、また、先々のこととして、もし介護で退職をしたとしても職場に復帰することができるジョブリターン制度の導入なども検討していきたいと思います」と今後の展望を語ってくれた。会社として、社員の人生に寄り添い、社員が安心してパフォーマンスを発揮できる職場環境を、これからもつくり続けていく方針だ。 写真のキャプション 代表取締役社長の白川亜弥さん(左)、介護相談員も務める人事部副部長の風張有紀恵さん(右) オリジナル冊子『仕事と介護の両立 事前の心構え』 対面で開催していたころの、仕事と介護の両立制度を周知するための社内セミナー(写真提供:株式会社白川プロ) 【P26-30】 集中連載 マンガで学ぶ高齢者雇用 安心!頼れる専門家 ―70歳雇用推進プランナー活用術― 第4回 70歳雇用推進プランナーの提案 〈前回のあらすじ〉 社長の指示により、高齢社員が長く働ける職場づくりを推進することになったLDer金属株式会社。 プランナーの提案により、まずは「企業診断システム(雇用力評価ツール)」を使い、自社の強みや課題を把握することに…。 ★このマンガに登場する人物、会社等はすべて架空のものです ★前回(2026年7月号)は、JEED ホームページからもご覧になれます。 https://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/book/elder_202607/index.html#page=32 ※1「ベンチマーク」……指標という意味で、ここでは高齢社員活用の高パフォーマンス企業(先進企業)のスコア ※2「ポイント」……自社のスコア 次回はなんと、企画立案サービスを紹介します 【P31】 解説 集中連載 マンガで学ぶ高齢者雇用 安心!頼れる専門家 ―70歳雇用推進プランナー活用術― 第4回 70歳雇用推進プランナーの提案  JEEDでは、高齢者雇用に取り組む事業主の方へのさまざまな支援を行っています。その中心として活動をしているのが、「70歳雇用推進プランナー」です。高齢者雇用のプロフェッショナルである70歳雇用推進プランナーが、その知識や経験、実務上のノウハウを活かし、高齢者雇用に悩んでいる事業主のみなさまをサポートしています。 ◆70歳雇用推進プランナーによる「提案」とは  企業に対して行ったヒアリング結果をもとに、70歳までの就業機会の確保などに向けた、高齢者戦力化のための定年引上げや継続雇用の上限年齢延長などの制度改定に関する具体的な提案を行います。  企業が置かれている現状や課題を洗い出し、高齢者雇用に取り組むねらいなどをふまえて、当該企業に必要な取組みを、提案書にまとめてわかりやすくご説明します。 ◆提案例(具体策とメリット) ・継続雇用の見直しとして、希望者全員70 歳、さらに基準該当者を上限なしで継続雇用することを提案。 ・継続雇用対象者や基準を明確にすることで、安心して長く働き続けられるという安心感を高齢者に与えることができる。 ・基準を設けることで、事業所が必要とする人材であると認識でき、モチベーション向上につながる。 【P32-33】 文化・福祉ジャーナリスト ア井(さきい)将之(まさゆき) 江戸時代にもあった 「仕事と介護の両立問題」 〜目からウロコの高齢者介護史〜 第3回 江戸時代は男性が率先して介護をになっていた! −介護負担の割合は女性より男性が高かったとのデータも− 江戸時代は男性も積極的に老親を介護  武士も介護をになっていたという記録・事実には、江戸時代の介護事情を読み解くうえでの重要なヒントが含まれています。それは、「男性」が自ら休みを取得してまで親の介護をしていたという点です。江戸時代、幕府や藩に仕えた武士たちは原則男性であり、家督を継ぐのは男性にかぎるとされていました。ですから、武士が介護休業をとって親の介護をするとは、男性が自らの意思で介護をになっていたことを意味します。武士であれば、老親介護は妻に任せっきりにしていそう、といったイメージを持ちそうですが、実態は違ったわけです。  じつはこの男性が介護をになうというのは、武士階級のみならず一般庶民層においても同様の傾向がみられました。  江戸時代の高齢者の病気や介護の実状を知るうえで役立つ史料に『孝義録(こうぎろく)』があります。『孝義録』とは、幕府や藩が「善行者」として表彰した人々を記録したものです。現在でも警察や消防の業務に協力した人が表彰されたというニュースをよく目にしますが、当時は「善行を積んだ」と人々の間で評判になった場合、統治者である幕府や藩が表彰をしていました。領内在住の者が表彰対象となるので、町人や百姓などの一般庶民が多く表彰され、表彰者には景品として米や金品なども与えられました。  表彰対象となる「善行」は統治者によって多少違いはありますが、基本的な共通事項となっていたのが「孝行」です。つまり領内・地域で親孝行者として評判になった場合、為政者である幕府や藩がそれを表彰していたわけですが、老親への介護も表彰対象に含まれていました。要介護の老親に誠意をもって介護を行い、「あいつぁ、てえしたもんだ」なんて近隣で広く噂され、それが為政者側の目に留まるほどになると、表彰対象となったわけです。統治する側としては、そうやって善行者を褒(ほ)め称(たた)えることで、治安を乱さない領民をつくりあげるという狙いもあったでしょう。  老親介護を理由に表彰された人は多く、また表彰理由が細かく記録されていたりもするため、『孝義録』からは当時の親の介護をした人の属性や、どのような介護をしていたのかに関する貴重な情報を得られます。幕府により1801(享和(きょうわ)元)年に出版された『官刻孝義録』には、全国の表彰者の記録がまとめられているため、情報量としてはもっとも多いです。ただ各地の藩ごとでも『孝義録』は編纂(へんさん)されていて、現在研究が進められているものの一つに仙台藩による『仙台孝義録』があります。仙台藩内で孝行を理由に表彰を受けた人のうち、親の介護をして表彰を受けた人の数、さらにだれがだれに対して介護をしたのかなどのデータが、先行研究によって明らかにされています。  それによると、仙台藩内で老親の介護で表彰されている事例は373件あり、そのうち介護者として最多だったのは「男性(実子・養子・継子)」(196件)で、全体の52.5%と過半数を占めていました。二番目に多かったのが「女性(娘・養女・嫁)」(90件)の24.1%で、三番目が「息子または娘夫婦」(66件)の17.7%でした。男性の介護者が多くなっています。もっとも、これはあくまで表彰された例ですから、男性の方が目立ちやすいとか、表彰対象になりやすいなどのバイアスはあったかもしれません。それでもこれだけ割合が高いということは、男性も積極的に介護をになおうとしていた当時の状況・価値観を垣間見ることができそうです。 現代の介護は女性が中心  一方、現在の介護の実状はどうでしょうか。厚生労働省がまとめた「2022(令和4)年国民生活基礎調査」によりますと、「同居の主な介護者」のうち、介護時間が「ほとんど終日」である者は、「男」が25.5%、「女」が74.5%との結果が出ています。日本の男女の総人口はやや女性が多いもののほぼ半数ずつとみるなら、これはあきらかに女性過多の割合です。ただこの現代のデータは配偶者等の介護者も含まれているので、先の仙台藩のデータと合わせて子ども世代だけに絞ってみると……女性は「子」(18.5%)、「子の配偶者」(8.1%)で合計26.6%、男性は「子」(8.1%)、「子の配偶者」(0.2%)で合計8.3%。かなり男女間で差があります。  こうした差は、働きながら介護をするビジネスケアラーおよび介護離職者の男女比にもあらわれています。厚生労働省の委託による三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査(2021年実施、全国の企業852社から回答)によると、介護休業取得者は女性が67.9%であるのに対して、男性は32.1%。介護離職者の割合は女性70.7%であるのに対して、男性は29.3%です。もちろん家庭ごとの事情もあるとは思いますが、これほど差が出てしまうのは、やはり「介護は女性がするもの」というような一定の価値観が作用しているようにも考えられます。  女性の社会進出の必要性は、かつては「女性の地位向上」の理念や信念に基づいて提唱される側面が強かったと思います。しかし現在、日本では人口減少が続いて働き手が不足しつつあり、労働力を確保すべしという現実主義的な考え方においても、女性が社会で活躍することは重要となってきました。日本経済を維持・成長させていくという点でも、「家で介護をするのは女性の役割」と一辺倒に思う価値観は、「介護負担は男女協力」、「男女に関係なく手の空いている側が率先」といった方向へとシフトしていく必要があるといえます。そのシフトが進めば、全体の七割超を占める女性の介護離職者の減少にも、ある程度はつながるのではないでしょうか。  こうした現在の状況において……もちろん江戸時代回帰といったことまで主張するつもりはありませんけれども、親の介護に積極的に取り組んだ江戸時代の武士や庶民の男性の姿は、そのような価値観のシフトの背中を押してくれそうな感じもしますが、どうでしょう。  江戸時代と現代とでは違うことが多いので、不用意に同列に論じることはできません。それでも「武士だって介護に取り組んだ」、「江戸時代にはサムライケアラーがいたんだ」ということを知ると、「俺もかつての武士たちを見習って、親の介護を姉妹や妻に任せっきりにするのはやめようか」などと思えてきませんか? 【参考資料】 ・ア井将之 著『武士の介護休暇―日本は老いと介護にどう向き合ってきたか―』(河出書房新社)2024年 ・柳谷慶子 著『近世の女性相続と介護』(吉川弘文館)2007年 ・菅野則子 著『歴史文化ライブラリー73江戸時代の孝行者―「孝義録」の世界―』(吉川弘文館)1999年 ・厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」 ・三菱UFJリサーチ&コンサルティング「令和3年度 仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 報告書」 【P34-37】 高齢者の職場探訪 北から、南から 第168回 兵庫県 このコーナーでは、都道府県ごとに、当機構(JEED)の70歳雇用推進プランナー(以下、「プランナー」)の協力を得て、高齢者雇用に理解のある経営者や人事・労務担当者、そして活き活きと働く高齢者本人の声を紹介します。 職員と園、双方への好影響が期待 希望者全員70歳までの継続雇用を制度化 企業プロフィール 社会福祉法人和田福祉会(わだふくしかい))(兵庫県丹波(たんば)市) ▲創業 2012(平成24)年 ▲業種 幼保連携型認定こども園の運営 ▲職員数 32人 (60歳以上男女内訳) 男性(2人)、女性(5人) (年齢内訳) 60〜64歳 4人(12.5%) 65〜69歳 3人(9.4%) 70歳以上 0人(0.0%) ▲定年・継続雇用制度 定年60歳。希望者全員70歳まで継続雇用。その後も運用により継続雇用。最高年齢者は69歳  兵庫県の産業は、阪神工業地帯、播磨(はりま)臨海工業地帯において鉄鋼、造船、機械、化学工業などが発展した一方で、清酒、手延素麺(てのべそうめん)、皮革(ひかく)、かばん、線香などの地場産業も盛んです。観光では、日本で初めて世界遺産に登録された姫路(ひめじ)城を筆頭に、有馬(ありま)温泉や城崎(きのさき)温泉などが有名です。また、宝塚歌劇団の本拠地である宝塚大劇場や、淡路島(あわじしま)と本州をつなぐ日本最長の吊り橋である明石海峡大橋(あかしかいきょうおおはし)も知られています。淡路島と徳島県鳴門(なると)市を結ぶ鳴門海峡大橋により、兵庫県は近畿と四国をつないでおり、神戸港湾とともに、物流業界においても重要な地域となっています。  JEED兵庫支部の熊谷(くまがい)章太(しょうた)調査役は、「高年齢者雇用アドバイザー・プランナーへの相談では、加齢にともなう体力・気力の低下など、健康への対応に関することをはじめ、改正高年齢者雇用安定法への対応や就業規則などの改正などについて多く寄せられています。兵庫県は広大で、地域ごとに雇用環境が異なり、郡部では若年者の人手不足が顕著で高齢者が長く働ける労働環境の構築などの相談があり、製造業が多い神戸から尼崎(あまがさき)地区では技術伝承やモチベーションの維持・向上などの相談が寄せられています」と同支部の取組みなどを語ります。  兵庫支部で活躍するプランナーの一人、渡邊(わたなべ)憲司(けんじ)プランナーは、プランナー歴9年目のベテランです。社会保険労務士、2級FP技能士などの資格を有し、豊富な知識と経験を活かして訪問した事業所の高齢者雇用における課題に耳を傾け、誠実な支援を続けています。  今回は渡邊プランナーの案内で「社会福祉法人和田福祉会」を訪れました。 幼保連携型の認定こども園を運営  社会福祉法人和田福祉会は、兵庫県丹波市で幼保連携型の「認定こども園わだ」を運営しています。同法人は2012(平成24)年に設立し、認定こども園わだは2014年に開園しました。大地(おおち)常夫(つねお)理事長は、「当こども園は、私立と公立の幼稚園と保育園が統合し、丹波市や地域の支援をいただいて開園して12年になります。地域に開かれた『子育て・親育ち』のための拠点として、安心して子育て・親育ちができる共同のコミュニティーの形成に努めています」と園の方針を語ります。自分らしく生きる力の基礎を育むことを大切にし、のどかな町の一角に天井の高い明るい施設と広い園庭があり、栄養士・調理員による給食の提供や看護師による健康管理など、子どもの安全・健康に配慮した体制を整え、現在は0歳児から就学前までの子ども86人が通っています。 提案を積極的に受けとめて制度を改定  渡邊プランナーは、2025(令和7)年8月に同法人を初訪問しました。「高齢者雇用の現状や課題などについてお聞きし、状況をふまえて作成した『高齢者戦力化のご提案』を同年9月に再訪問してご説明しました」とふり返ります。  当時、同法人の定年は60歳、65歳までの継続雇用という高齢者雇用制度でしたが、実態として、本人が希望し法人が必要と認めた場合はその後も継続雇用が可能でした。しかし、保育業務は体力が必要であり、加齢にともなう体力面の個人差があることなどをふまえたうえで、渡邊プランナーは、同法人への提案内容をとりまとめたそうです。  「希望者全員70歳までの継続雇用を提案するとともに、継続雇用延長を実施する際、定年後の雇用管理制度の整備および高齢職員の能力開発を目的とした制度を新たに構築することを提案しました。定年後も働きたい意欲のある高齢職員を活用することは、人材不足の緩和と高齢者の就業のモチベーションアップにつながります。また、安心して働ける仕組みをつくることは、中途採用などへの好影響も期待できます。一方、職員にとっては、長いスパンでキャリア形成や知識・技術習得などに取り組めるので、モチベーションの維持・向上につながります」  同法人の中野(なかの)譲(ゆずる)事務長は、「提案をお聞きして、より働きやすい環境をつくるためには、希望者全員70歳までの継続雇用を制度化することがよいと思いました。高齢者雇用制度の充実を考えていたときでしたので、提案を受けて積極的に検討を進め、2026年4月に継続雇用の対象を『希望者全員70歳』にあらためました。定年以降は嘱託職員となり、基本的には補佐的な立場で若い職員を支える役目をになってもらいます。働き方はフルタイム勤務のほか、短時間勤務などにも柔軟に対応しています」と制度改定について語ります。  同園の前川(まえがわ)往代(ゆきよ)園長はこの制度改定について、「70歳まで働けることで先がみえるようになり、継続雇用で働いている職員の方々の安心感やモチベーションアップにつながったと思います。経験豊富な年長者がいらっしゃることは、まず若い職員にとって大きな安心感になっています。また、若い職員には子育て中の者が多く、朝は多忙のため、早い時間を担当していただけることも大きな助けになっています。子どもたちにとっても、多様な世代とふれあえることは、意義のあることと思います」と実感と思いを話します。  今回は、これまでの経験や学んだことを活かし、活躍するお二人の高齢職員にお話をうかがいました。 若手を支えながら、全体に気を配る  保育教諭として活躍する石垣(いしがき)陽子(ようこ)さん(64歳)は、認定こども園わだの前身の一施設である保育園のときから勤務しており、当時を含めると勤続年数は25年ほどになります。60歳で定年を迎えてから嘱託職員となり、現在は2歳児の「こあら組」の副担任を務めています。勤務時間は、もっとも早い時間の朝7時から、こあら組園児の帰宅時間の16時まで、週5日のフルタイム勤務です。  「定年前は主担任を務めていましたが、定年後は副担任となり、若い先生を補佐しています。調理師の資格も取得しているので、調理室の人員が足りないときはスポット的に調理員の仕事もします」と笑顔で話す石垣さん。定年を迎える半年ほど前に、「園から『できたら勤務を続けてほしい』とお話ししていただきました。子どもたちが成長していく姿を見届けることができるこの仕事が大好きですし、続けていられることがうれしく、つねに感謝と奉仕の心で仕事をしています。体力のいる仕事ですので、体と相談しながらですが、元気なうちは続けていたいですね。働きやすい環境を整えてくださっているので、頼りにしていただけるようにがんばります」と話します。  こあら組の主担任を務める窪田(くぼた)麻衣(まい)さんは、「定年を迎えられる前は石垣先生が主担任でした。立場は替わりましたが、いまもなんでも聞きやすく、いろいろなことによく気づいてくださり、子どもたちのことだけでなく、職員の体調や子育てをしている先生のことも気遣ってくださる、やさしく頼りになる大切な存在です。いつも明るい笑顔で子どもたちに慕われています」と石垣さんを語ります。  経験豊富な石垣さんは、保育や遊びなどのアイデアを豊富に持っているうえ、一緒にいると「見通しをもって保育ができ、相談できることもありがたい」と窪田さんは語り、信頼を寄せています。前川園長は「主担任と副担任が補完し合う名コンビです」と石垣さんと窪田さんの関係を明かし、定年後に経験を活かしつつ柔軟な姿勢で働いている石垣さんを称えます。 子育て支援員の認定を受け活躍の幅を拡げる  岸名(きしな)直樹(なおき)さん(66歳)は、市役所を退職後、民間企業や森林組合での勤務を経て、64歳のときに入職。石垣さんと同じ朝7時から勤務し、登園して来る園児たちの出迎えを担当しています。その後は施設の環境整備をにない、砂場の清掃や庭木のせん定、水やりなどを9時まで行い一度帰宅。15時30分に再び出勤し、預かり保育の補助を担当し、18時に仕事を終えます。この働き方で週5日勤務しています。  「孫が当園でお世話になり、卒園したときに事務長からお声がけいただいたのが入職のきっかけです。体はまだまだ動きますし、未経験でしたが、可能なかぎりやってみようと思い、働くことになりました。“第3の人生”という感じですから、昼間が自由に使える勤務時間は、いまの自分に適しています」と岸名さん。日中は、畑仕事や交通安全などのボランティア活動をしているそうです。「子どもと接する仕事は初めてで最初はたいへんでしたが、日々新しい発見がある仕事で、園児の成長にふれられるのが楽しみです。朝は一人ひとり名前を呼んであいさつを交わし、夕方に園児が元気に帰っていく姿をみると充実感があります。体力が続くうちは一日一日しっかりやっていきたいです」  保育園部主任の志方(しかた)真澄(ますみ)さんは、「岸名先生は毎朝、門から玄関前まで掃除をしています。園児や保護者が朝から気持ちよく過ごせるようにという岸名先生の思いが感じられます。ほかにも、施設の保全を中心にさまざまなことを岸名先生が段取りよく、かつていねいにしてくださいますし、園児の相手もしていて、とても頼もしく、助かっています。おかげでほかの職員の負担が減り、働き方の改善にもつながっています」と岸名さんの活躍に敬意を表します。  また、園から子育て支援員※になることをすすめたところ、岸名さんは2025年夏から秋にかけて「兵庫県子育て支援員」の基本研修と専門研修を受講。努力して修了し、県から子育て支援員の認定を受けました。園ではその際、勤務時間内にオンライン研修を受講できる環境をつくり支援しました。「保護者の方々がより安心してお子さんを預けられるようになればと思い、受講しました」(岸名さん)。志方さんは、「朝のあいさつを楽しみにしている子も多く、岸名先生に駆け寄るようにして登園する子もいます。園にとってなくてはならない存在になっています」と話し、岸名さんの今後の活躍にも期待を寄せています。  今後の取組みについて中野事務長にたずねると、「地域住民や保護者から信頼され、また子どもの心に残る認定こども園を目ざして、引き続き働きやすい職場づくりに努めます」と話してくれました。仕事も人生経験も豊かな高齢職員は、そのなかでとても大事な存在となっていることが伝わってきました。(取材・増山美智子) ※子育て支援員……都道府県または市町村が実施する研修(「基本研修」および「専門研修」)を修了し、保育や子育て支援分野の各事業などに従事するうえで必要な知識や技術を身につけたと認められた人 渡邊憲司プランナー アドバイザー・プランナー歴:9年 [渡邊プランナーから] 「プランナー活動では、訪問先企業との信頼関係を築くために、ていねいにヒアリングし、事業所に合った有益な情報の提供を心がけています。そのうえで、労働力人口の減少、ダイバーシティ経営が進展するなか、高齢者雇用の重要性を説明し、高齢社員の活用促進に向けた取組み、定年年齢や継続雇用年齢の引上げなどについて、マニュアルや事例集を紹介しながら、担当者が一歩前に踏み出せるような助言や提案ができるように努めています」 高齢者雇用の相談・助言活動を行っています ◆兵庫支部高齢・障害者業務課の熊谷調査役は、渡邊プランナーについて「数多くの事業所訪問経験をふまえた、ていねいで親身な相談・助言は、訪問先事業所から高い評価をいただいており、『おしつけがましいことは一切なく、“理をもってわかりやすく”を心がけていることが伝わりました。とても信頼しています』との言葉が寄せられるほどです。また、高年齢者活躍企業コンテストの応募支援や生涯現役社会ワークショップひょうごのファシリテーターを担当するなど、支部の事業を積極的に支えてくれています」と紹介します。 ◆兵庫支部高齢・障害者業務課は、阪急電鉄武庫之(むこの)荘そう駅からバスで約10分の兵庫職業能力開発促進センター内にあります。 ◆同県では、13人の70歳雇用推進プランナーが活動し(2026年4月現在)、2025年度は770件の相談・助言活動を行いました。 ◆相談・助言を無料で行います。お気軽にお問い合わせください。 ●兵庫支部高齢・障害者業務課 住所:兵庫県尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 電話:06-6431-8201 写真のキャプション 兵庫県丹波市 運営する「認定こども園 わだ」 左から、前川往代園長、大地常夫理事長、中野譲事務長 副担任を務めるクラスで園児たちと歌をうたう保育教諭の石垣陽子さん 園児が安心して安全に過ごせるように、庭木の手入れや清掃などにつねに励んでいる岸名直樹さん 【P38-39】 第118回 高齢者に聞く生涯現役で働くとは  酒井ひろみさん(67歳)は、58歳のとき、がんに罹患(りかん)。治療で髪の毛が抜け始めたころ、病院で出会ったケア帽子にがんを乗り切る勇気をもらい、63歳で帽子作家として歩み始めた。病気と闘う人たちの気持ちを前向きにするケア帽子づくりを一生の仕事にしたいと願う酒井さんが生涯現役の明日を語る。 ケア帽子作家 酒井(さかい)ひろみさん ものづくりの楽しさに魅せられて  私は生まれも育ちも神奈川県横浜(よこはま)市で、生粋の「浜っ子」です。祖父母も同居し親戚がつねに出入りする大家族のなかでのびのび育てられました。父母の代までの兼業農家です。祖母は社交的な明るい人で、気がつかないうちに私もその影響を受けていたように思います。  高校を卒業すると、当時、横浜駅西口にあったデパートに入社、案内係に配属されました。そのデパートが横浜に開業してから3年目のころで、活気にあふれていました。そこで接客のノウハウを学んだことが、いま、帽子作家としてお客さまに寄り添う心の原点になっています。  10代のころというのは、自分が本当にやりたいことを見つけるための「自分探しの時代」ですが、私もまた、仕事以外に何かに挑戦してみたいと思いました。1970年代後半から、ファッションの世界でパッチワークが注目されると各地で教室が開校され、幸いにも第一人者だった先生に教えてもらうことができました。  人生とは思いがけないことの連続のようで、その先生から「スタッフとして手伝ってくれないか」とお誘いを受けました。パッチワークのおもしろさに目覚めたこともあり、思い切ってデパートを退職、スタッフとして先生のお手伝いをすることになりました。私のなかに眠っていたものづくりへの憧れがふくらんでいきました。  パッチワークは、小さい布をつなぎ合わせて一枚の大きな布や作品にする手芸の技法である。日本におけるパッチワークのパイオニアが主宰する教室に通い始めた酒井さんは、青春真っ盛り。「とても楽しかったです」と笑顔をみせる。 周りの人たちに支えられて  私はこれまでの日々をふり返ったとき、本当にたくさんの人に助けてもらった人生だと、心から思います。パッチワークのスタッフの仕事は結婚によって終わり、しばらくは子育てに専念する日々が続きました。3人の娘に恵まれ、子どもたちの洋服を手づくりしたのも懐かしい思い出です。事情があって、長女が二十歳になったころ、私と娘たちで暮らすことになりました。3人の娘や妹弟も含めた家族みんなに支えられていまの自分があります。幸い、子育てが一段落してから勤め始めた会社で正社員として働くことができて、その会社で定年まで働き、その後も63歳まで働く機会をいただいたことには感謝しかありません。  50代は私にとってエポックの時代です。53歳で新しい出会いがあって再婚。夫は3人の娘たちを自分の娘のように大切に接してくれて、現在に至っています。順風満帆の人生が待っているのかと期待した矢先、58歳で子宮体がんに罹患しました。青天の霹靂(へきれき)でした。  定年後は再びものづくりの世界に挑戦したいと在職中から帽子づくりの教室に通っていた酒井さん。先生のアドバイスもあり、将来的には自分の工房を開くことも考えていた。がんの宣告に心揺れる酒井さんを、夫が全力で支えた。 奇跡の出会いの「ケア帽子」  子宮体がんでステージ3を宣告され、抗がん剤治療を受けました。治療の影響で脱毛が始まると、かつらは頭に負担が大きかったので、帽子をかぶろうと思いました。いろいろ探しましたが、脱毛すると決まったときに病院で販売していたシンプルなニット帽型のケア帽子を用意しました。それをかぶると地肌が見えなくなり、それだけで安心感に包まれます。闘病中は会社を休職させてもらい、その間も、インターネットで購入したおしゃれで肌にやさしそうなお気に入りの帽子をかぶって薬膳教室や料理教室に通っていました。つくづく教室に通うのが好きな人間です。  ある日の料理教室で「素敵な帽子ですね」と声をかけてくれた人がいました。「とても似合っているしあなたはいつも活き活きとしていますね」と。褒めてもらうというのはこんなにうれしいことなのだと思いました。「じつはがんの闘病中のため、帽子をかぶっています」というとさらに褒めてくださいました。帽子に助けられて自然と笑顔になっていたようです。そのとき、自分はがんを乗り切れるのではないかという勇気が身体のうちから湧いてきました。  コロナ禍後、酒井さんは、ハンドメイドでマスクなどをつくるために、ミシンを使い始めた。大好きな手仕事を定年後の仕事にすることができたらいいなと思い、帽子づくりのオンラインレッスンを受けていたところ、自分の経験を活かして一生の仕事ができる実感が湧いてきたという。63歳で帽子作家としての一歩を踏み出した。 闘病中の人の心に寄り添いたい  最初はおしゃれな帽子づくりを学んでいました。退職後の仕事として帽子づくりを続けていくなかで、自分ならではの強みは何だろうかを考えたとき、抗がん剤治療による脱毛を経験し、帽子に支えられた自身の経験にたどり着きました。髪を失ったとき、不安な気持ちを抑え外出する勇気を与えてくれたのが帽子でした。その経験があるからこそ、見た目のおしゃれさだけでなく、かぶり心地や安心感にもこだわったケア帽子をお届けしたいと思うようになりました。  自分の経験が私の帽子づくりの原点になっています。地肌にあたっても痛くないようにやさしい肌触りのコットンを使ったり、頭を締めつけ過ぎないように、帽子の後ろにだけ柔らかいゴムを入れてみたりして工夫しています。つばの広い帽子は室内では脱帽の必要があることから、つばを小さくして室内でもかぶれるようにしました。また、取り外し可能な前髪ウイッグやネックカバーなどもつくったり、脱毛時はウイッグの上からかぶったりすることが多いので、フリーサイズにしたり、サイズ調整ができるようにしたりしています。 生涯現役を目ざして  罹患してからもうすぐ10年になります。そろそろがんから卒業できるかなと思っています。もちろん油断は禁物なので、健康管理には気を配っていて、朝の1時間ほどの散歩が日課です。また、体を動かすために、近くの温泉施設で月に5回か6回は、受付や掃除などのアルバイトもしています。お店では最高齢になりますが、お客さまやスタッフと接する機会もありますので、楽しく働かせていただいています。  本職の帽子は、平日に自宅で制作しています。「アトリエビビ酒井ひろみ」として通販サイトで販売もしていますので、ご興味のある方はご覧ください。  帽子づくりを始めたころは「だれかの役に立てたら」という思いが強かったのですが、本当は私がお客さまに励ましてもらっていることに気づきました。さあ、明日からもお客さまの励ましを胸に、闘病中の相棒となる帽子を心を込めてつくっていこうと思います。 【P40-43】 新連載 AIと歩む人生100年時代 明治大学 専任教授 山崎(やまざき)憲(けん)  生成AIの登場により、ビジネスシーンにおいてもAI利用が本格化し、今後の仕事や働き方に大きな変化をもたらすことが期待されます。一方で、少子高齢化が進むわが国においては、シニア人材の活用がますます重要な経営課題となっており、AIの活用により業務負荷の軽減やスキルの補完などが実現できれば、これまでとは異なる形でシニア人材の価値が発揮されるといった変化も期待できます。本企画では、AIが職場や仕事、働き方に与える影響とともに、AI社会だからこそ高まるシニア人材の価値やその活用戦略について展望します。 第1回 AIとは何か ―仕事を奪う機械ではなく、仕事の組合せを変える技術― 仕事を奪う機械ではなく仕事の組合せを変える技術  生成AIが職場に入りはじめ、「自分の仕事はなくなるのではないか」と感じている人も多いでしょう。文章をつくり、資料を要約し、画像やプログラムまで生み出す様子を見ると、AIが人間と同じように考えているようにも見えます。しかし、AIが人間の知能をそのまま再現していると考えると、その可能性も危険性も見誤ります。  現在、職場で使われているAIの多くは、大量のデータから規則性を見つけ、分類、予測、推薦、生成などの情報処理を行う技術です。従来型のAIは、画像から不良品を見つける、需要を予測する、申請書を分類するといった、目的と判定基準が比較的明確な仕事を得意としてきました。生成AIは、膨大な文章や画像などから言葉や表現のつながりを学習し、利用者の指示に応じて新しい文章、画像、音声、プログラムなどを出力します。  ここで重要なのは、生成AIが「理解したうえで正しい答えを返す装置」ではないことです。もっともらしい誤りをつくることがあり、企業固有の事情、取引先との関係、過去の経緯、職場で共有されている暗黙の了解まで自動的に把握するわけではありません。AIは提案を示せますが、その結果を顧客や従業員に説明し、責任を負うことはできません。したがって、AIの導入は人間の判断を不要にするよりも、人間がどこで確認し、何に責任を持つかをあらためて決める作業になります。 「雇用の約半分が消える」という衝撃  AIと雇用をめぐる不安を広げた代表的な研究が、オックスフォード大学のカール・ベネディクト・フレイとマイケル・オズボーンによる推計です。2013(平成25)年に公表された研究では、米国雇用の47%が今後コンピュータ化される可能性の高い職業に属するとされました。日本でも野村総合研究所とオズボーンらとの共同研究により、労働力人口の49%が就いている職業で、技術的にはAIやロボットによる代替が可能だという推計が2015年に示されました※1。  これらの数字は、「半分の人が失業する」という意味で広く受けとめられました。しかし、研究が測ったのは、職業ごとの技術的な代替可能性です。実際の雇用の増減には、導入費用、法律、顧客の選好、労使関係、企業の投資判断、新しい需要の発生などが影響します。技術的に実行できることと、企業が実際に導入し、人員を減らすことの間には大きな距離があります。  もう一つの問題は、職業を一つの塊として扱ったことです。例えば、経理、人事、営業、介護、製造といった仕事は、単一の作業でできているわけではありません。一つの仕事は、入力、確認、判断、説明、相談、交渉、育成など、性質の異なる多数の作業から構成されています。 仕事を「タスクの束」として見る  この点を明確にしたのが、経済学者のダロン・アセモグルとデイヴィッド・オーターです。二人は、仕事を職業名や学歴だけでとらえるのではなく、人間と機械がそれぞれどのタスクをになうかという「タスク・ベース」の分析枠組みを示しました※2。  この考え方では、AIが直接置き換える対象は、通常、職業全体ではなく、職業を構成する一部のタスクです。経理担当者であれば、請求書の読み取り、伝票入力、数字の照合、定型的な報告書の作成は、AIにより自動化しやすいでしょう。一方、異常な数字の原因を探る、取引先と調整する、経営判断に必要な情報を説明する、不正の可能性を見抜くといった仕事には、人間が持つ経験、文脈の理解、対人関係、責任ある判断が必要です。  人事の仕事も同じです。求人票のたたき台、面接記録の要約、研修資料の作成、社内規程の検索は生成AIが支援できます。それでも、だれを採用するか、配置転換が本人と職場にどのような影響を与えるか、評価結果をどう説明するか、対立する意見をどう調整するかは、単純な情報処理では完結しません。  アセモグルは、その後、経済学者のパスクアル・レストレポとともに、自動化には人間がになっていたタスクを機械へ移す「代替効果」がある一方、新しい技術が人間のになう新しいタスクを生み出す効果もあると論じました※3。雇用への影響は、この二つの力のバランスで決まります。問題は、AIが導入されるかどうかだけではありません。AIを人員削減のために使うのか、人間の能力を広げ、新しい仕事をつくるために使うのかという導入の方向が重要です。  生成AIについても、現在の国際的な研究は職業の一括代替より、職業内部の変化に注目しています。国際労働機関(ILO)が2025(令和7)年に公表した推計では、世界の雇用の25%が生成AIの影響を受ける可能性のある職業に含まれました。同時にILOは、多くの職業では全面的な代替よりも、タスクの組み替えによる仕事の変化が起こる可能性が高いとしています※4。 AIが得意なこと、人間に残ること  AIは、大量の情報を短時間で検索、分類、比較すること、一定の形式に沿った文書や画像のたたき台をつくること、過去のデータからパターンや異常の候補を示すことを得意とします。休まず反復できることも大きな強みです。  一方、人間には、何を目的とし、何を問題として扱うかを決める役割があります。AIが示した複数の案から、自社の状況に合うものを選ぶことも人間の仕事です。利害の異なる人びとの話を聞き、例外を判断し、結果を説明し、責任を引き受けることも求められます。  したがって、AIと人間の役割を固定的に線引きするだけでは十分ではありません。技術の進歩にともない、AIが処理できるタスクは広がります。そのたびに、人間の仕事は、AIの出力を確認する、現場の情報を与える、誤りを修正する、利用の限界を決めるという方向へ変化します。自動化によって一つの作業が減っても、確認、調整、説明といった別のタスクが増えることがあります。 個人の仕事から「連携の設計」へ  生成AIの影響は、一人ひとりの作業時間を短縮することにとどまりません。会議記録、メール、共同文書、顧客情報、工程表などを横断して整理できるようになると、だれが、だれと、どの情報を使って働くかという連携の仕方も変わります。  例えば、営業担当者が得た顧客情報をAIが整理し、開発、製造、保守の担当者へ共有する、過去のトラブル記録から類似事例を探し、経験を持つ担当者を示す、プロジェクトの遅れを検知し、確認すべき事項を関係者に提示するなど、AIは個人の代わりに作業する道具であると同時に、人間同士の協働を組み立てる基盤になりはじめています。  ここには利点と危険の両方があります。相談相手を見つけ、情報の偏りや業務の集中を発見するために使えば、AIは連携を助けます。反対に、メールの送信数、会議での発言回数、文書の更新回数を集めて人事評価に結びつければ、監視を強める装置にもなります。数字に表れやすい行動が高く評価され、目立たない助言、慎重な確認、後輩への支援といった貢献が見落とされる可能性があります。 人材の価値基準はどう変わるか  生成AIが文書や資料を短時間でつくるようになると、「何件処理したか」、「何枚つくったか」という作業量だけでは、人材の価値を測りにくくなります。同じ人でも、AIを使えば以前より多くの成果物をつくれるからです。量の増加をそのまま本人の能力向上と評価することも適切ではありません。  今後、評価の重心は、課題を適切に設定したか、AIの誤りを見抜いたか、現場の知識を組み込んだか、他部署の仕事を前に進めたか、顧客や同僚が利用できる形に整えたかという部分へ移ります。個人で処理を完結する能力に加えて、人と情報を結びつける力が重要になります。  ただし、AIを使うことで評価が自動的に客観性の高いものになるわけではありません。AIは、過去の採用、配置、昇進のデータに含まれていた偏りも学習します。評価基準をつくったのはだれか、どのデータを使ったのか、本人が説明を求められるか、異議を申し立てられるかを確認する必要があります。人事担当者は、AIの数値を最終判断に置き換えるのではなく、判断の根拠と手続きを整える役割をにないます。 シニア人材の経験をAI時代に活かす  AI時代には、デジタル機器に慣れた若者が有利で、シニア人材は取り残されるという見方があります。しかし、年齢だけで人材の価値を判断すると、企業はAIを有効に使うために必要な知識を失います。  長年の実務経験を持つシニア人材は、手順書に書かれていない例外、顧客ごとの事情、設備の小さな変化、過去の失敗、部門間の関係などを蓄積しています。AIは一般的な情報をすばやく扱えますが、企業の内部にある経験が言葉やデータになっていなければ利用できません。シニア人材には、例外を判断する役割とともに、自らの経験を若手従業員やAIが利用できる形に整理し、意味づける役割があります。  課題は、シニア人材の能力より、AIを学び、導入に参加する機会の不足にあります。経済協力開発機構(OECD)が日本について公表した調査では、AI利用者のうち企業のAI研修に参加した割合は、35歳未満が37%、35歳から49歳が32%であるのに対し、50歳以上は25%でした。また、中高年層は新技術の導入時に意見を聞かれる機会も少ない傾向にあります※5。企業が最初からシニア層を対象外にすれば、「使えない」という結果が後からつくられてしまいます。 人事担当者に求められること  第一に、職種ごとの人数を先に決めるのではなく、仕事をタスクに分け、AIへ移す部分、人間がになう部分、新たに必要となる確認や調整を要する部分を整理することです。その作業には、現場をよく知る従業員を参加させる必要があります。  第二に、一部の若手従業員や専門家だけにAIを任せず、従業員が実際の業務を行いながら学ぶ機会を設けることです。若手従業員が操作を教え、シニア人材が業務の意味や例外を教える組合せは、双方の経験と知識を活かします。  第三に、AIによって生まれた時間を何に使うかを決めることです。空いた時間に新しい作業を追加し続ければ、AIは負担を軽くする道具より、仕事の密度を高める道具になります。顧客との対話、安全確認、後進の育成、改善活動など、人間が時間をかける価値のある仕事へふり向ける必要があります。  第四に、AIを組み込んだプロジェクトでは、成果だけでなく、仕事がどのような過程で進んだかを管理することです。だれが課題を設定し、どの段階でAIを使い、だれが確認し、どのように修正したのかを記録すれば、問題が起きたときに原因をたどることができます。また、アルゴリズムによって人材を評価する場合には、測定しようとする能力と実際に集めるデータが対応しているか、職種、年齢、性別などによって不利が生じていないかを検証する必要があります。導入後も結果を定期的に点検し、評価基準、利用データ、判定の手順を本人に示すことが求められます。さらに、人が結果を再確認し、本人が異議を申し立てられる仕組みまで整えることが、人事担当者の役割になります。  AI時代に問われているのは、人間とAIの勝ち負けではありません。AIによって仕事をどのように分解し、再び組み合わせ、だれに新しい機会を与えるかです。AIは仕事の未来を単独で決めません。どのような働き方をつくるのかを決めるのは、技術を導入する企業と、そこで働く人びとです。 【参考文献】 ※1 Carl Benedikt Frey and Michael A. Osborne, “The Future of Employment: How Susceptible Are Jobs to Computerisation?”, 2013(2017年にTechnological Forecasting and Social Change, Vol.114, pp.254-280に掲載)。野村総合研究所「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」、2015年 ※2 Daron Acemoglu and David H. Autor, “Skills, Tasks and Technologies: Implications for Employment and Earnings,” Handbook of Labor Economics, Vol.4B,2011, pp.1043-1171. ※3 Daron Acemoglu and Pascual Restrepo, “Automation and New Tasks: How Technology Displaces and Reinstates Labor,”Journal of Economic Perspectives, Vol.33, No.2, 2019, pp.3-30. ※4 International Labour Organization, Generative AI and Jobs: A Refined Global Index of Occupational Exposure, 2025. ※5 OECD, Artificial Intelligence and the Labour Market in Japan, 2025. 【P44-47】 知っておきたい労働法Q&A  人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。 第97回 高年齢労働者の労働災害防止、労働条件変更拒否に起因する雇止め 弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永勲/弁護士 木勝瑛 Q1 「高年齢者の労働災害防止のための指針」とはどのようなものですか  労働安全衛生法の改正にともない、高年齢者に対する労働災害防止措置が定められたと聞きました。いったいどのような内容なのでしょうか。 A  2020(令和2)年に厚生労働省が策定した「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」を具体化させるような形で、2026年2月に「高年齢者の労働災害防止のための指針」が定められ、事業者が取り組むべき内容が定められました。 1 労働安全衛生法の改正  労働安全衛生法が改正され、2026(令和8)年4月1日に施行されました。  高年齢者の労働災害防止のための措置として、同法第62条の2に次の内容が定められました。 (高年齢者の労働災害防止のための措置) 第62条の2 事業者は、高年齢者の労働災害の防止を図るため、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。 2 厚生労働大臣は、前項の事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。 3 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。  事業者に求められるものは、「高年齢者の特性」に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずることです。措置については厚生労働省が定める指針を参考に取り組むことになります。  なお、高年齢者の労働災害防止措置は、努力義務とされていますが、この規定を遵守していない場合には、労働災害の発生可能性が高まるうえ、使用者の安全配慮義務違反を問われる可能性も高まると考えられるため、多くの企業が取り組むべき課題になると考えられます。 2 高年齢者の労働災害防止のための指針  厚生労働省は、2026年2月10日、改正された労働安全衛生法第62条の2第2項に基づき、「高年齢者の労働災害防止のための指針」(以下、「指針」)を公表しました。  指針においては「高年齢者の特性」がキーワードとなっています。「高年齢者の特性」について法令上の定義はありませんが、指針においては高年齢者の特性について、「筋力、バランス能力、敏捷性、全身持久力、感覚機能及び認知機能の低下等」をあげています。指針内においてもくり返し「高年齢者の特性」という用語が使用されていますので、これをふまえて理解しておくことが重要でしょう。  指針においては、以下の五つの内容に対応していくことが求められています。 @安全衛生管理体制の確立等 A職場環境の改善 B高年齢者の健康や体力の状況の把握 C高年齢者の健康や体力の状況に応じた対応 D安全衛生教育  まず、「@安全衛生管理体制の確立等」においては、安全委員会や衛生委員会での調査審議、相談窓口の設置、リスクアセスメント(危険な作業や危険な場所・環境の洗い出し、これらの軽減措置の検討)の実施などがあげられています。なお、リスクアセスメントにおいても、高年齢者の特性や課題を想定して行うように求められており、エイジフレンドリーガイドラインでも触れられていたような、「フレイル=加齢とともに、筋力や認知機能等の心身の活力が低下し、生活機能障害や要介護状態に至る危険性が高くなった状態のこと」や「ロコモティブシンドローム=骨や関節、筋肉等運動器の衰えが原因で『立つ』、『歩く』といった機能(移動機能)が低下している状態のこと」が「高年齢者の特性」としてあげられています。また、「B高年齢者の健康や体力の状況の把握」との関係においては、これらの状態について本人に自覚させることが重要とされています。  次に、「A職場環境の改善」については、@に含まれているリスクアセスメントの結果をふまえて、職場環境の改善を実施していくということになります。転倒防止に関しては、特に滑りやすい場所の解消に加えて、安全標識の掲示による注意喚起、補助機器等の利用などがあげられていることも特徴です。  さらに、「B高年齢者の健康や体力の状況の把握」や「C高年齢者の健康や体力の状況に応じた対応」が必要とされています。事業者と高年齢者の双方が体力の状況を客観的に把握し、事業者は労働者の気づきをうながす体力チェック、フレイルチェックを継続的に行うことが望ましいとされています。厚生労働省は、中央労働災害防止協会が公表している『エイジアクション100 改訂版」をチェックリストとして紹介しており、参考になります。なお、じつは30代、40代から身体機能の低下が始まるという調査結果もあり、高年齢者にかぎらず、青年期、壮年期も含めた体力チェックを始めることが推奨されています。また、労働者の健康や体力の状況は加齢に従って個体差が拡大するとされており、個々の健康状況に応じた業務とのマッチングに努めることが求められています。  最後に「D安全衛生教育」においては、十分な時間をかけ、写真や図、映像などの文字以外の情報も活用することや、経験のない職種や業務に就く場合には特にていねいな教育訓練を行うことが求められています。また、高年齢者の場合は、危険と認識されていない作業であっても、災害に至る可能性があることを周知することや、管理監督者やともに働く労働者にも高年齢者の特性を含めた教育を行うことが望ましいとされています。そのほか、脳・心臓疾患が発症するなどの緊急時について適切な対応ができるよう救命講習なども教育の対象に含むことが望ましいとされています。 3 労働者自身の自覚  改正法においては、事業主ばかりではなく、労働者自身についても、個々の労働者は、自らの身体機能等の低下が労働災害リスクにつながり得ることを理解することも求めています。  事業主のみではなく、事業主と高年齢労働者が協力して、労働災害の防止に向けて取り組むことが理想的な対応といえるでしょう。 Q2 有期雇用社員の契約更新にあたり、労働条件の変更を拒否された場合の雇止めは有効になるのでしょうか  有期雇用契約の更新のタイミングで労働条件の引下げを考えており、これに応じない場合には更新に応じることはできないと考えているのですが、このような対応に問題はあるのでしょうか。 A  更新の合理的期待がある場合などには、更新拒絶は客観的合理的理由と社会通念上の相当性がなければ違法となります。そのため、更新拒絶を検討しているとすれば、更新拒絶の合理性・相当性を検討しなければなりません。なお、労働条件変更に起因する有期雇用契約の更新事案では、裁判例上、使用者が提示した労働条件の合理性が重視される傾向にあります。 1 有期雇用契約の更新拒絶  実務上、有期雇用契約の更新拒絶(雇止め)に関する紛争は多くあります。まずは、有期雇用契約の更新拒絶についての法規制をみていきましょう。雇止めについては、労働契約法(以下、「労契法」)第19条が定めています。労契法第19条は、有期雇用契約の更新拒絶(雇止め)について、一定の場合には解雇規制に準じた高いハードルが課せられる旨を規定しています。  具体的には、○ア有期雇用が過去に反復継続して更新されたことがありその契約期間の満了時に更新しないことが無期労働者に解雇の意思表示をすることと社会通念上同視できるとき、または、○イ期間満了時に更新されることについて合理的な理由があるときは、使用者の行った更新拒絶が合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、従前の有期雇用契約内容である労働条件と同一の労働条件で申し込みを承諾したものとみなされるとされています(労契法第19条)。  そのため、使用者が雇止めを行ったとしても、後にその雇止めが合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められないと判断された場合には、当該雇止めは無効となり、結局、有期雇用契約は従前の労働条件と同一の労働条件で更新されていたこととなります。 2 労契法第19条の適用の有無  前述の通り、労契法第19条は、上記○アまたは○イに該当する場合に適用されることとなりますので、Qのように、有期雇用の不更新を検討されている場合には、まずは上記○アや○イに該当するかどうかを検討しなければなりません。  この点、○アの該当性を判断するにあたっては、(@)過去の更新の有無、(A)更新回数、(B)更新時の運用等の事情を確認するべきでしょう。多数回の更新がなされており、更新時には特段の審査を行っていないという場合には、雇止めは無期雇用契約における解雇と同視できるものとして○アに該当すると判断される可能性が高くなります。  ○イは、○アと異なり解雇と同視することまではできないものの、労働契約の更新がなされることの合理的期待がある場合に解雇規制と同様の規制を負わせるものです。○イの該当性を判断するにあたっては、○アで列挙した事由のほか、(C)使用者の言動、(D)労働者の担当する業務の内容、(E)ほかの有期雇用労働者の更新の状況などの事情を確認するべきでしょう。労働者が会社の基幹業務を担当しており、使用者が契約時において「何もなければ更新される」などの言動をしており、実際その会社においてほかの有期雇用労働者が更新拒絶をされた事例がないといった事案では、更新の合理的期待があるものとして○イに該当すると判断される可能性が高くなります。 3 労働条件の変更に起因する雇止めの合理性・相当性  ○アまたは○イに該当し得る場合には、雇止めの合理的理由および社会通念上の相当性の有無を検討すべきです。  もっとも、Qのように、労働条件の変更に起因して有期雇用契約を不更新とする場合、合理性・相当性の判断はどのように行うべきでしょうか。この点に関して参考になる裁判例として、河合塾事件(東京高裁令和4年2月2日判決)があります。  この裁判例は、有期雇用の予備校講師として勤務していたXが、勤務時間中の非違行為による懲戒処分を受けたうえ、生徒からのアンケート結果が芳しくなかったことから、使用者Yがコマ数の2コマ減数(およびこれにともなう月額賃金の減額)を条件とした更新を打診したところ、Xがこれを拒絶したことから雇止めとなったため、Xが雇止めは違法であるとして労働者たる地位の確認などを求めて提訴した事案です。  この裁判例(の支持する原審判決)では、使用者が更新に際して従前と異なる労働条件を提示したことを原因とする雇止めの事案における合理性・相当性は、使用者の提案した労働条件変更の合理性・相当性を中核として判断すべきとしました。  具体的には以下の通り判示しています。すなわち、本件において「雇止めに至った根本的な原因は、使用者が更新に際して従前と異なる……労働条件を提示したことにあるから、労契法19条柱書後段の該当性は、使用者が提示した労働条件の客観的合理性及び社会的相当性を中心的に検討すべきである」。具体的には、「使用者が従来の労働条件を維持することなく、新たに提示した労働条件が合理的であることを基礎付ける理由の有無及び内容、使用者が提示する労働条件の変更が当該労働者に与える不利益の程度、同種の有期契約労働者における更新等の状況、当該労働条件提示に係る具体的な経緯等の諸般の事情を総合考慮し、使用者が提示した当該労働条件の客観的合理性及び社会的相当性を中核として」判断すべきであるというものです。  この裁判例を前提とすると、労働条件の変更に起因する雇止めの事案においては、更新拒絶の客観的合理的な理由・社会通念上相当性は、フラットに諸事情を総合考慮するのではなく、使用者の提案した労働条件変更の合理性・相当性に重みを置いて、使用者の提案した労働条件変更の合理性・相当性を中心に判断されるということになります。  そのため、労働条件の変更に起因する雇止めの事案においては、これらの事実関係を確認し、雇止めが適法と判断される可能性があるか否かについて慎重に検討する必要があるでしょう。 4 おわりに  河合塾事件では、Xが適法な懲戒処分を受けていること、アンケートによる評価方法について一定の合理性が認められること、ほかにもアンケート結果に基づいてコマ数減となっている従業員がいることなどを理由として労働条件変更の提案の合理性を肯定し、雇止めを有効としました。  ただし、評価方法が不合理であったり、ねらい撃ちや退職させることを目的とした労働条件変更であったりした場合には、異なる判断がなされた可能性が高いと思われますので、労働条件変更に起因する雇止めが必要となった際にはその適法性について慎重に検討するべきであることに変わりはないでしょう。 【P48-49】 サステナビリティを高めるシニア人材活用戦略 第2回 企業のサステナビリティを高めるシニア人材の価値とは 株式会社日本総合研究所 塚原(つかはら)亮子(りょうこ)/宮下(みやした)太陽(たいよう)  不確実性が高まる現代において、企業が持続的に成長し続けるためには、サステナビリティ(持続可能性)の視点が不可欠です。とりわけ、人材を「資本」としてとらえ、その価値を最大限に引き出す人的資本経営の重要性が高まっています。そのなかでもシニア人材をはじめとする多様な人材の活用は、経験・知見の継承や組織のレジリエンス向上の観点からも、これからの企業経営の鍵を握る重要な要素です。そこで本企画では、シニア人材の持つ価値をあらためて整理するとともに、その活用に向けた具体的な戦略について解説します。 1 はじめに  日本企業はいま、かつてない構造的課題に直面しています。少子高齢化により、生産年齢人口(15〜64歳)は、2025(令和7)年の約7300万人から、2050年には約5500万人へと大幅に減少する見通しです。労働供給の縮小は、すでに多くの企業で人手不足として顕在化し、経営課題となりつつあります。一方で、65歳以上の人口割合は、2050年には約37%に達する見込みで、就業率も上昇傾向にあります。見方を変えれば、豊富な経験と知見を持つ意欲ある人材が、着実に増えているということでもあります。  こうしたなか、シニア人材活用は従来の雇用維持や社会貢献の枠を超え、企業のレジリエンス(持続力・適応力)を高めるための重要な経営戦略へと位置づけが変わりつつあります。本稿では、シニア人材が組織にもたらす「安定」という視点から、ESG経営※にも直結するその戦略的価値について考えていきます。 2 シニア人材がもたらす三つの価値 ■第一の価値…経営基盤の安定  第一の価値は、シニア人材を安定的な人材リソースとして活かし、事業継続を支える経営基盤を強化する点にあります。  人手不足は、いまや事業の存続に直結する経営課題となっています。帝国データバンクの調査では、「人手不足倒産」は2025年度に初めて年間400件を超え、3年連続で過去最多を更新しました。また、厚生労働省による分析でも、現在の人手不足は一時的な需給ひっ迫と異なり、「長期かつ粘着的」で、人員充足が以前にも増して困難だと指摘されています。  このような環境下では、企業は若手人材の採用だけに頼るのではなく、社内外のシニア人材を戦略的な人的資本として位置づけ直す必要があります。シニア人材の安定的な活用は、突発的な離職や採用難に対する組織の耐性を高め、経営基盤の安定に直結します。これは、ESG経営において、事業継続リスクを管理し、外部環境の変化に強い経営体制を築くG(企業統治)の強化であり、企業価値向上にも寄与します。 ■第二の価値…現場力の安定  第二の価値は、シニア人材の知識・技能、経験知を次世代に伝承し、品質や安全を支える現場力を安定させる点にあります。  人手不足の陰で進むのが、現場を支えてきた経験知の喪失です。異常の兆候を察知し、トラブル発生時に適切に判断・対処するなど、現場力の安定はマニュアル化しにくい経験知に支えられています。本来、これらは日々の業務のなかで継承されるものですが、人員不足や年齢構成の偏りなどから、OJTを通じた技能継承が十分に機能しにくくなっています。特に、暗黙知や経験則が多く存在する製造業や技術職では、ベテランの退職が組織全体の対応力の低下や重大なインシデントのリスクにつながりかねません。  こうしたなか、シニア人材の活用は、労働力の補填にとどまらず、実践的なノウハウを現場に維持しつつ、OJTを通じた若手への継承を機能させる余裕につながります。これにより、業務の属人化を防ぎ、現場の品質と対応力、安心感を高める大きな効果が期待されます。  品質管理や安全管理は、企業の社会的責任そのものであり、事故や品質不正を防ぐガバナンス強化にもつながります。経験知の継承は、ESG経営における人材育成への投資というS(社会)の側面と、現場の対応力を維持するG(企業統治)の側面の、両面を満たす重要な取組みです。 ■第三の価値…組織風土の安定  第三の価値は、シニア人材そのものが世代間をつなぎ、若手が安心して働き続けられる組織風土の安定を支える点にあります。  効率性や成果が重視される現代において、若手社員の早期離職やエンゲージメントの低下が課題となっています。働き方の変化により職場の人間関係が希薄化しがちななか、若手が孤立せず、安心して相談や挑戦ができる環境がなければ、組織全体の活力も失われかねません。  このような環境のもと、豊富な経験を持つシニア人材は、世代間の「つなぎ役」として機能します。上司には相談しにくい悩みも、直接的な利害関係が少ないシニア人材になら打ち明けやすい場合もあります。よき相談役(メンター)の存在は、若手の孤立や離職を防ぐだけでなく、失敗を恐れない心理的安全性の醸成にもつながります。  加えて、企業文化や価値観の継承、多角的な意思決定の支援など、組織運営の安定にも寄与します。シニア人材の活用は、多世代が支え合う持続可能な組織づくりそのものであり、ESG経営のS(社会)を体現する取組みです。 3 シニア人材の価値を最大化するために  ここまで、三つの側面から、シニア人材の知見や経験が企業にもたらす重要な価値について述べてきました。これらを総合的に高め、レジリエンスを強化することは、企業の持続的成長と安定につながります。  しかし、その価値を最大限に引き出すのは決して簡単ではありません。シニアが持つ経験や勘所といった暗黙知は伝承がむずかしく、「背中を見て学ぶ」というかつての育成手法も、デジタルネイティブな若者の価値観には合致しなくなってきています。  シニア人材への投資効果を最大化するためには、企業側の仕組みづくりと同時に、シニア自身も過去の成功体験に固執せず、価値観をアップデートしていく柔軟性が求められます。若手はシニアの経験に敬意を払い、シニアは若手のデジタル感覚や柔軟な価値観から学ぶという、世代を超えた双方向のコミュニケーションがあってこそ、組織の力は最大化されます。  また、こうした意識変革に加え、シニアのノウハウを持続可能な形で組織に定着させることが不可欠です。では、どのようにして属人的な経験や知識を、組織の「形式知(データ・資産)」に変えていけばよいのでしょうか。次回は、シニア人材の経験知やノウハウを見える化する意義について解説します。 ※ESG経営については、本連載第1回(2026年7月号)をご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/book/elder_202607/#page=50 【参考資料】 ・内閣府「令和7年版高齢社会白書」 ・帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」 ・厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析」 ・厚生労働省「能力開発基本調査」 図表 シニア人材がもたらす価値とESG経営 シニア人材が組織にもたらす3つの価値 シニア人材の戦略的活用 @経営基盤の安定 (事業継続性・組織耐性強化) A現場力の安定 (技能継承・品質管理) B組織風土の安定 (心理的安全性・組織文化) ESG経営の実践 Governance(企業統治) ●事業継続性の確保 ●リスクマネジメント・インシデント防止 ●属人化リスクの解消 Social(社会) ●多様な人材が働ける社会づくり ●人材育成投資 ●多世代共生・ウェルビーイング 企業のレジリエンス強化 サステナビリティ向上 ※筆者作成 【P50-51】 いまさら聞けない人事用語辞典 株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之 第70回 「ハローワーク」  人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。  今回は、「ハローワーク」について取り上げます。 セーフティネットの中心的役割  ハローワークは職業安定法を根拠に設置された厚生労働省の機関です。かなり浸透している用語ですが、じつは1989(平成元)年に導入された“愛称”で、正式名称は公共職業安定所(略称:職安(しょくあん))といいます。  ハローワークの取組内容や実績については、厚生労働省の『公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績(令和8年4月)』※1(以下、『取組と実績』)に詳しく記載されています。ここではハローワークについて「憲法に定められた勤労権の保障のため、障害者や生活保護受給者の方など民間の職業紹介事業等では就職へ結びつけることが難しい就職困難者や人手不足の中小零細企業を中心に、国が無償で支援を行う雇用のセーフティネットの中心的役割を担うもの」と説明しています。職業紹介事業とは、求人(採用したい)および求職(仕事をしたい)の申込みを受け、求人者と求職者の間の雇用関係の成立をあっせんすることをさしますが、2025(令和7)年度では3万3888所という数多くの民営職業紹介事業所※2が存在しています(厚生労働省職業安定局需給調整事業課調べ※3)。しかし、そのうち大半が有料であっせんを行っていることに対して、ハローワークの設置意義としては、民間の職業紹介事業では困難な求人者・求職者を対象に、無償で行っている点があげられます。  ハローワークは、本稿執筆現在では計544所の本所(436)・出張所(95)・分室(13)による全国ネットワークを活かした支援のほか、地方公共団体(都道府県・市区町村)と一緒に取り組む雇用対策協定に基づく連携施策などによる地域密着型の支援も実施しています。また、2002年より全国版のハローワークインターネットサービスが提供されています。 雇用に関する3業務を一体的に実施  ハローワークの業務には、おもに職業紹介・雇用保険・雇用対策の3業務がありますが、これらは就職支援を効果的に実施するために一体的に行われています。 @職業紹介…求人者は、募集したい人材の要件や処遇内容について登録すると全国のハローワークやインターネットを通じて求職者にアプローチすることができます。一方、求職者は希望やスキルに合った求人情報を探したり、ハローワークを通した応募手続きを行ったりすることができます。これらを効果的に進めるために、ハローワーク職員によるキャリアコンサルティング※4や応募書類の添削、面接対策、スキルアップのための職業訓練(ハロートレーニング)の案内なども行っています。 A雇用保険…労働者が失業・休業等をした場合の生活の安定や早期再就職の促進を目的とした給付を行う雇用保険について、受給希望者はハローワークで給付の手続きを行い、ハローワークでは受給要件を満たしていることを確認したうえで、受給資格の決定を行います。失業等給付※5や育児休業等給付が対象ですが、特に失業等給付については、ハローワークで職業紹介と一体的に運営することで、求職活動実績を確認することを通した適正な支給を確保することができるとしています。 B雇用対策…企業に対して障害者雇用率※6の達成に向けた指導を行うほか、高年齢者雇用確保措置の導入をうながすための指導を実施しています。また、労働時間・賃金・職場環境などの雇用管理に関する改善を支援し、企業の人材確保と安定的な雇用の実現を後押ししています。 高齢者雇用におけるニーズは高まっている  職業紹介については、求職者のニーズの多様化に対応するため、対象者別の専門窓口を設置しています(図表参照)。しかしながら、令和7年度『年次経済財政報告』(内閣府)※7をみると入職経路(労働者が現在の職場に入る際に利用したルート)に占めるハローワークの比率は、2010年26.2%、2020年18.2%、2023年13.9%と低下傾向にあります。また、『取組と実績』のハローワークにおける職業紹介等の実績をみても、新規求職申込件数は2021年度463.0万件に対して2024年度が440.9万件、若年者についてみると2021年度10.8万人に対して2024年度が8.4万人という状況です。これには先に述べた民営職業紹介事業所のサービスが求人者にも求職者にも広く浸透し活用されている影響が要因としてあげられます。  一方で、同実績の高齢者(65歳以上の就職件数)をみると、2021年度が11.2万件、2022年度12.7万件、2023年度13.7万件、2024年度14.4万件という右肩上がりの状況です。これは、高齢者の新規求職者数が増加傾向にある影響もありますが、ハローワークでは生涯現役支援窓口で特に65歳以上の求職者への再就職に向けた手厚い支援を実施しているなど、民間の事業所では十分に対応しきれないニーズに対応していることも要因としてあげられます。  人材確保に悩んでいる企業については、ハローワークにおける高齢者の求人を積極的に活用することも一つの策と考えられます。 ***  次回は、「職務分析」について取り上げます。 ※1 https://www.mhlw.go.jp/content/001683249.pdf ※2 「エージェント」や「人材紹介会社」と呼ばれることが多い。厚生労働大臣に許可された事業者のみがあっせんを取り扱いできる ※3 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001699953.pdfに1990年度から2025年度までの推移がまとめられている ※4 働く人が自分のキャリアについて整理し、よりよい選択ができるように職業選択についてのアドバイスを行うこと ※5 失業者への給付である「求職者給付」、早期再就職者への給付である「就職促進給付」、自主的教育訓練受講者への給付である「教育訓練給付」、介護休業等により雇用を継続する者への給付である「雇用継続給付」がある ※6 障害者雇用率については、本連載第61回(2025年9月号)をご覧ください。    https://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/book/elder_202509/index.html#page=50 ※7 https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je25/index_pdf.htm 図表 ハローワークの専門支援窓口 マザーズコーナー(183) 子育て中の女性等に対する就職支援を実施。 わかもの支援コーナー・窓口(201) 正社員を希望するおおむね35歳未満のフリーター等に対する就職支援を実施。 中高年層(ミドルシニア)専門窓口(92) 中高年層(ミドルシニア)の不安定就労者に対して、就職から職場定着までの一貫した支援を実施。 生涯現役支援窓口(300) 高年齢求職者の職業生活の再設計に係る支援や就労ニーズに即した総合的な就労支援を実施。 人材確保対策コーナー(124) 医療、介護、保育、建設、警備、運輸などの求人倍率の高い人材不足分野へのマッチング支援を実施。 地方就職支援コーナー(2) 地方就職希望者に対する就職支援を実施。 農林漁業就職支援コーナー(16) 農林漁業人材の確保・職場定着までの支援を総合的に実施。 *( )は設置数 出典:『公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績(令和8年4月)』(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/content/001683249.pdf 【P52】 立川(たてかわ)談慶(だんけい)の人生100年時代の歩き方 第7回 名前、それは燃える生命(いのち)  こちら、1979(昭和54)年に発売されたゴダイゴのヒット曲、「ビューティフル・ネーム」の一節です。名前は呼ばれることで魂が宿るものなのかもしれません。そんな名前にまつわる一席に「寿限無(じゅげむ)」があります。  「寿限無寿限無、五劫(ごこう)の擦り切れ、海砂利水魚(かいじゃりすいぎょ)の水行末(すいぎょうまつ)、雲来末(うんらいまつ)、風来末(ふうらいまつ)、くうねるところにすむところ、やぶらコウジのぶらコウジ、パイポパイポパイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命(ちょうきゅうめい)の長介(ちょうすけ)」  こんな長い名前を持った男の子の周りで起きる喜劇がベースとなっています。  とある小学校でこの一席をやった後、感想を聞くと小学生からこんな感想が送られました。  「落語はやさしいんですね。いじめがないんですね。もし私の周りにこんな長い名前の子が転校してきたとしたら、『長い名前!』とか意地悪なこといってしまっていたかもしれません。でもこの落語にはそんな人は出てきませんよね」  いやあ、落語家冥利(みょうり)ともいうべきうれしいリアクションでした。もしかしたら、「長い名前!」とツッコミを入れてしまうより、その長い名前をむしろ受け入れたほうがおもしろくなるかもよと、提案しているのかもしれません。  敷衍(ふえ)んさせてみると、長い名前を含めて相手の持っている特徴を否定したりするよりは、肯定してあげるほうが、いじめがなくなるばかりか、おもしろい流れになるのかもねと、この「寿限無」はその可能性を訴え続けてきたからこそ、いまだに支持されているのではないでしょうか。  そして、「どんなに長い名前だとしても、きちんと呼んであげなければいけない」という姿勢は、「違和感のある物ごと」への一番大切な距離の取り方だよと、バカバカしい笑いとともにさりげなく訴えてきたのが、この落語だったのかもです。  私、立川談慶、NHKの朝ドラに出るなど役者もやらせてもらっていますが、売れっ子役者さんはみな初対面なのに私に向かって「談慶さん」ときちんと名前を覚えてくれていました。  相手を大事にする第一歩は、その名前をきちんと覚えること。やはり落語は真理を教えてくれています。 【P53】 高年齢者活躍企業フォーラムのご案内 (高年齢者活躍企業コンテスト表彰式)  高年齢者が働きやすい就業環境にするために、企業等が行った創意工夫の事例を募集した「高年齢者活躍企業コンテスト」の表彰式をはじめ、コンテスト入賞企業等による事例発表、学識経験者を交えたトークセッションを実施し、企業における高年齢者の雇用の実態に迫ります。「年齢にかかわらずいきいきと働ける社会」を築いていくために、企業や個人がどのように取り組んでいけばよいのかを一緒に考える機会にしたいと考えます。 日時 2026(令和8)年10月9日(金)13:00〜16:00 受付開始12:00〜 場所 KABUTO ONE HALL & CONFERENCE (東京都中央区日本橋兜町7番1号KABUTO ONE 4階) ●東京メトロ東西線・日比谷線「茅場町」駅 11 出口直結 ●東京メトロ銀座線・東西線、都営浅草線「日本橋」駅 D2 出口から徒歩2分 ●JR線、東京メトロ丸の内線「東京」駅 八重洲北口から徒歩12分 定員 100名(事前申込制・先着順)会場・ライブ配信同時開催 参加費 無料 主催 厚生労働省、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) プログラム 13:00〜13:10 主催者挨拶 13:10〜13:35 高年齢者活躍企業コンテスト表彰式 厚生労働大臣表彰および独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰 13:35〜14:20 高年齢者活躍企業コンテスト上位入賞企業による事例発表 14:20〜14:30 (休憩) 14:30〜15:15 基調講演「高年齢者の安全配慮と健康管理」 赤津順一氏 一般財団法人日本予防医学協会 理事 15:15〜16:00 トークセッション コーディネーター……内田賢氏 東京学芸大学 名誉教授 パネリスト……………・事例発表企業3社 ・赤津順一氏 参加申込方法 フォーラムのお申込みは、以下の専用URL からお願いします(会場・ライブ配信)。 https://www.elder.jeed.go.jp/moushikomi.html 参加申込締切 〈会場参加〉 2026年10月7日(水)14:00 〈ライブ視聴〉 2026年10月9日(金)15:00 お問合せ先 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 高齢者雇用推進・研究部 普及啓発課 TEL:043-297-9527 FAX:043-297-9550 【P54】 10月は「高年齢者就業支援月間」 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム  改正高年齢者雇用安定法により、70 歳までの就業機会の確保が企業の努力義務とされるなか、高年齢者の戦力化が企業において喫緊の課題となっています。  生涯現役社会の実現に向けたシンポジウムでは、各企業の人事担当者をはじめとする関係者のみなさまの関心が高いテーマごとに、講演や事例発表、パネルディスカッションを通じて、ミドル・シニア層の戦力化に向けた実践的な取組みや課題、今後の展望について、みなさまとともに考えます。 参加方法 ライブ視聴(※事前申込制・各回先着500名) 参加費 無料 申込方法 以下のURLへアクセスし、専用フォームからお申し込みください。 https://www.elder.jeed.go.jp/moushikomi.html ○10月16日(金)14:00〜16:45 ワークエンゲージメントとウェルビーイングの向上のための効果的取組―生涯現役でいきいきと働いていくために 【出演者】 石山恒貴氏 法政大学大学院地域創造インスティテュートキャリアデザイン学部教授 伊澤星史氏 株式会社JR東日本テクノハートTESSEI 総務部担当部長 竹内俊介氏 太陽生命保険株式会社 人事総務部人事課長 大植栄二郎氏 DHLジャパン株式会社 執行役員人事本部長 ○10月30日(金)14:00〜16:45 生涯現役で活躍するためのキャリア戦略と企業支援 【出演者】 廣川進氏 法政大学キャリアデザイン学部教授 余語一喜氏 株式会社IHI 人事部次長 山本秀一氏 中外製薬株式会社 人事部エンプロイーサポートグループ グループマネジャー 玉井智也氏 トラスコ中山株式会社 経営管理本部人事部課長 兼 ヘルスケア課長 主催:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 後援:厚生労働省、一般社団法人日本経済団体連合会、公益財団法人産業雇用安定センター、一般財団法人ACCN、特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会 【P55】 〜生涯現役社会の実現に向け 地域ワークショップ  高年齢者雇用にご関心のある事業主や人事担当者のみなさま!改正高年齢者雇用安定法により、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務とされ、高年齢者の活躍促進に向けた対応を検討中の方々も多いのではないでしょうか。  JEEDでは各都道府県支部が中心となり、生涯現役社会の実現に向けた「地域ワークショップ」を開催します。事業主や企業の人事担当者のみなさまへ、高年齢者に戦力として活躍してもらい、いきいき働いていただくための情報をご提供します。  各地域の実情をふまえた具体的で実践的な内容ですので、ぜひご参加ください。 概要 日時/場所 高年齢者就業支援月間の10月〜11月に各地域で開催 カリキュラム (以下の項目などを組み合わせ、2〜3時間で実施します) ▲専門家による講演【70歳までの就業機会の確保に向けた具体的な取組みなど】 ▲事例発表【先進的に取り組む企業の事例紹介】 ▲ディスカッション など 参加費 無料(事前のお申込みが必要となります) 開催スケジュール 下記の表をご参照ください(2026〈令和8〉年7月10日現在) ■開催スケジュール ※  で記載されている北海道、青森、宮城、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川、福井、静岡、三重、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、愛媛、福岡、長崎、鹿児島、沖縄については、ライブ配信やアーカイブ配信等の動画配信を予定しています。 ※開催日時などに変更が生じる場合があります。詳細は、各都道府県支部のホームページをご覧ください。 都道府県 開催日 場所 北海道 10月30日(金) 北海道職業能力開発促進センター 青森 11月12日(木) アピオあおもり 岩手 10月20日(火) いわて県民情報交流センター(アイーナ) 宮城 11月6日(金) 宮城職業能力開発促進センター 秋田 10月27日(火) 秋田県生涯学習センター 山形 10月15日(木) 山形国際交流プラザ(山形ビッグウイング) 福島 10月20日(火) ウィル福島 アクティおろしまち 茨城 10月21日(水) ホテルレイクビュー水戸 栃木 10月22日(木) とちぎ福祉プラザ 群馬 10月(調整中) 群馬職業能力開発促進センター 埼玉 10月7日(水) さいたま共済会館 千葉 10月5日(月) ホテルポートプラザちば 東京 10月16日(金) SYDホール 神奈川 10月6日(火) かながわ労働プラザ 新潟 10月6日(火) 朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター 富山 10月20日(火) 富山県総合情報センター 石川 10月22日(木) 石川県地場産業振興センター 福井 10月8日(木) 福井県中小企業産業大学校 山梨 11月17日(火) 山梨職業能力開発促進センター 長野 10月20日(火) ホテル信濃路 岐阜 10月2日(金) みんなの森 ぎふメディアコスモス みんなのホール 静岡 10月14日(水) グランシップ 愛知 11月19日(木) 岡谷鋼機名古屋公会堂 三重 10月15日(木) 津公共職業安定所 都道府県 開催日 場所 滋賀 10月16日(金) 滋賀職業能力開発促進センター 京都 10月20日(火) 京都経済センター 大阪 10月27日(火) 大阪府社会保険労務士会館 兵庫 10月14日(水) 兵庫県中央労働センター 奈良 10月15日(木) 奈良商工会議所 和歌山 10月23日(金) 和歌山職業能力開発促進センター 鳥取 10月22日(木) 米子コンベンションセンター 島根 10月15日(木) 島根職業能力開発促進センター 岡山 10月23日(金) 岡山職業能力開発促進センター 広島 10月23日(金) 広島職業能力開発促進センター 山口 10月1日(木) 山口職業能力開発促進センター 徳島 10月14日(水) ろうきんホール 香川 10月15日(木) 香川職業能力開発促進センター 愛媛 10月22日(木) 愛媛職業能力開発促進センター 高知 10月22日(木) 高知職業能力開発促進センター 福岡 10月21日(水) JR博多シティ 佐賀 10月30日(金) アバンセ 長崎 10月22日(木) 長崎県庁 熊本 10月21日(水) 熊本職業能力開発促進センター 大分 10月6日(火) トキハ会館 宮崎 10月14日(水) 宮崎県立芸術劇場 鹿児島 10月27日(火) カクイックス交流センター 沖縄 10月23日(金) 沖縄労働局 各地域のワークショップの内容は、各都道府県支部高齢・障害者業務課(65ページ参照)までお問い合わせください。 上記日程は予定であり、変更する可能性があります。 変更があった場合は各都道府県支部のホームページでお知らせします。 jeed 生涯現役ワークショップ 検索 【P56-27】 BOOKS 労働法を体系的に理解することで、実務に役立つ力が身につく 一読でわかる労働法入門 壱岐(いき)祐哉(ゆうや) 著/労働開発研究会/2200円  職場の労働環境は、従業員のウェルビーイングや生産性に影響し、人材の確保と定着、育成力の強化につながる。このことから、組織における人事労務管理の重要性がいっそう高まっている。  本書は、従業員が安心して働ける職場環境を整備するために、人事労務担当者が習得したい労働法の全体像を把握でき、問題に直面したときにも、「このように考えればよいはずだ」、「結論はおそらくこちらに向かうだろう」と見通しを立てられる力をつけることを目的にまとめられた一冊。「労働法の世界における『土地勘』」が身につくように構成したという。  著者は、企業法務を主として取り扱う弁護士であり、労働法に関するセミナーの講師も務めている。そうした経験をふまえ、本書では、労働法の本質的な考え方に焦点をあて、「第1章 労働法の基本」から「第11章 紛争手続」まで、知っておきたい知識を整理し、判断の軸となるポイントをわかりやすく解説。読み進めると、多数の法律から成る労働法を体系的に理解し、実務に役立つ力が備わる構成となっている。  労働法を学びたい人の最初の一冊として、また、人事労務担当者が実務で迷ったときに立ち返る一冊としてもおすすめの良書である。 採用から定着・評価まで、すぐに使えるノウハウを公開 この1冊で採用から定着・評価まで ひとり人事のための本気の採用ガイド 村山(むらやま)寛樹(ひろき) 著/弘文堂/1980円  少子化に歯止めがかからず、労働力人口の減少が急速に進んでいる。採用活動に頭を悩ませている経営者や人事担当者も多いだろう。  中小企業の場合、採用担当者が一人という組織は少なくない。一方で、就職活動の方法や時期は多様化し、働き方や求職者の価値観も大きく変化しており、現代に適した採用手法への対応や求職者へのアプローチが必須となっている。  本書は、「ひとり人事」(本書によると、「組織内唯一の人事担当者。採用、研修、労務、ときには総務までを一人で担当する」)の担当者に向けて、多数の中小企業の採用支援に従事してきた著者が、現場で成果が出た実際に使えるノウハウを公開。求人票の作成から、募集、選考など、人事の業務フローに沿っておさえておくべきポイントを概説し、面接での質問事項、求職者心理を意識した採用業務なども解説する。  また、採用活動の「前段階」として、自社を「どう見つけてもらうか」から取りあげていることや、採用後に定着し、戦力になるまでに照準を合わせ、「社員に伝わる評価項目のつくり方」、「評価面談のコツ」なども説いている。  若者の採用に主眼をおいた内容だが、中高年者の採用のためのノウハウも得られる。 労働関係の基本的な法令を収録した法令集。コンパクトサイズで持ち運びにも便利 労働関係法規集 2026年版 労働政策研究・研修機構 編集・発行/1980円  社会生活に必要な労働関係法令を、持ち運びに便利なコンパクトサイズ(B6変型判)に収めた一冊。毎年、新版が刊行されているので、ご存じの読者もいるだろう。  コンパクトながら、日本国憲法(抄録)をはじめ、基本的な法令のほか、政令・省令・告示等も収録し、実務にも役立つように編集している。法令によっては、例外的に抄録という形で必要な条文に絞り込みつつ、できるだけ幅広く法令を収録している。また、各法令の沿革については、改正法令の公布年月日と法令番号を記載し、特に重要な改正はゴシック表示としている。  収録されている法令は、「労使関係」(労働組合法、労働関係調整法など)、「労働基準」(労働基準法、労働契約法、労働安全衛生法など)、「労働市場」(職業安定法、労働者派遣法、高年齢者雇用安定法など)、「その他」(健康保険法、厚生年金保険法、民法など)の四つに分類。2026年版には、同年1月31日現在公布されている法令を収録している。公布日と施行日の間隔が長く空く法令については、原則として、現行法と改正後の法令の内容がわかるように示している。  人事労務担当者が労働関係の基本的な法令を調べる際にも役立つ法令集である。 弁護士として生涯現役を貫きながら、自らの「老い」と「人生」を見つめた日記 老いを見つめて ある弁護士の事件簿 木村(きむら)達也(たつや) 著/民事法研究会/1980円  著者は、1944(昭和19)年生まれの82歳。弁護士として、多重債務問題や貧困問題など人々が暮らしを営むために大切な問題の解決に尽力している。  本書は、弁護士生活55年の著者が、78歳から81歳の時期に担当したいくつかの事件を物語風に綴った記録と、自らの老い仕度も含めて「老い」と「人生」を見つめた日記からなる。  「心身ともに弱体化し、持続力、耐久力が劣化し始めるころで、日記にもそのころの心境の変化、老いの覚悟、老いを見つめ始める日々、体験した心の揺れも書いています」と「はじめに」で綴っている。第一章では、そうした心境と労働時間を減らすという老後生活への切り替えなどを、第二章では、80代の医師の親族をめぐる遺言・離婚調停・相続事件について、第三章では、遺産相続や、借家の明渡請求事件の対応などをエッセイ風にまとめている。そして、命の尽きる日まで精一杯に生き、仕事も続けたいという心情も記している。  シニアの経験談や労働観などが語られる本誌の人気連載「高齢者に聞く 生涯現役で働くとは」の拡大版のような一冊でもあり、特に本誌の読者に手に取ることをおすすめしたい。 腰痛やひざ痛などを改善・予防!簡単な運動だから続けられる 頑張らない運動術 100歳をすぎても自分の足で歩くための3ステップ 岩木(いわき)博美(ひろみ) 著/あさ出版/1694円  「いくつになっても自分の足で歩いていたい」と願う一方で、そのためには「運動することが大事」とわかっていても、「運動が苦手」、「体がかたい」、「痛みがある」といった理由で、体を動かすことを遠ざけてしまっている人がいる。  本書は、10万人以上を指導してきた看護師・健康運動指導士の著者が、豊富な現場経験とデータに基づき、「運動が苦手でも、体がかたくても、痛みがあっても」、日常のなかで無理なく続けられる簡単で安全な運動法を紹介する。  腰痛やひざ痛、肩こり、尿もれ、むせ、不眠など、高齢期に多い悩みに対応した内容で、第1章では腰、第2章ではひざ、第3章では肩、第4章では尿もれ、第5章ではむせ、第6章では睡眠をテーマに、それぞれの不調の悩みにあわせた「頑張らない運動術」を写真やイラストを使って伝授する。例えば、尿もれ予防の「股関節ゆらし」、「股関節ストレッチ」、「お尻上げ体操」などである。年をとるとその不調が出やすくなる理由や、痛みを和らげる方法、予防法もていねいに説明している。  簡単な運動を1日3〜5分続けることで、不調が少しずつラクになっていくという。高齢社員の働く職場で話題にしたい一冊である。 ※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します 【P58-59】 ニュース ファイル NEWS FILE 行政・関係団体 厚生労働省 令和7年の労働災害発生状況を公表  厚生労働省がまとめた2025(令和7)年の「労働災害発生状況(確定値)」によると、昨年1年間の労働災害による死亡者数(※)は700人で、前年(746人)と比べ46人(6.2%)減少し、過去最少となった。  死亡者数を業種別にみると、もっとも多いのは建設業の214人(全体の30.6%)、次いで、第三次産業197人(同28.1%)、製造業115人(同16.4%)の順となっている。  次に、死傷災害(死亡災害および休業4日以上の災害)をみると、死傷者数(※)は13万5333人で、前年(13万5718人)と比べ385人(0.3%)の減少となった。業種別にみると、もっとも多いのは第三次産業の7万1878人(全体の53.1%)、次いで、製造業2万6371人(同19.5%)、陸上貨物運送事業1万5632人(同11.6%)の順となっている。  労働災害による休業4日以上の右記の死傷者数のうち60歳以上の高齢者は4万2318人(全体の31.3%)となっており、前年の4万654人(同30.0%)と比べ1.3ポイント増加した。60歳以上の死亡者は299人(同42.7%)となっており、前年の299人(同40.1%)と同人数ではあるが全体の割合は2.6ポイント増加した。 ※死亡者数および死傷者数は、いずれも新型コロナウイルス感染症へのり患による労働災害を除いたもの https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73382.html 厚生労働省 「生涯現役地域づくり環境整備事業(令和8年度開始分)」の実施団体候補を決定  厚生労働省は、「生涯現役地域づくり環境整備事業(令和8年度開始分)」の実施団体候補として、2団体の採択を決定した。  この事業は、地方自治体が中心となって構成する協議会からの提案に基づき、地域の特性などをふまえた高齢者の雇用・就業機会の創出に寄与する事業構想を募集し、コンテスト方式で選定された協議会に委託して実施するもの。事業実施を通じて、地域ですでに定着している取組みとの連携を強化し、高齢者の働く場の創出と持続可能なモデルづくりや、他地域への展開を推進する事業となることを目ざしている。  各年度の事業規模は3000万円(一の市区町村が実施する場合)など。事業期間は最大3年度間。  2026(令和8)年度の募集は、同年1月下旬から3月中旬にかけて行われ、外部の有識者等からなる企画書等評価委員会により、実施団体候補が採択された。  採択された団体とその事業タイトル、この事業の実施による高年齢者の雇用・就業者数目標(3年度計)は次の通り。 @藤里町(ふじさとまち)を盛り上げたい協議会(秋田県藤里町)  「だれもが活躍できる町づくり事業」:25人 A南みなみ小国町(おぐにまち)生涯現役地域づくり協議会(熊本県阿蘇郡(あそぐん)南小国町)  「南小国町生涯現役地域づくり推進事業 〜多様な就労機会の創出と包括的支援による『里山・生業』の次世代継承〜」:75人 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73046.html 厚生労働省・ハタラクエール実行委員会 ハタラクエール(福利厚生表彰・認証制度)に「厚生労働大臣賞」を創設  「ハタラクエール」は、福利厚生の充実・活用に積極的に取り組む企業・団体・自治体を表彰・認証するもので、ハタラクエール実行委員会(事務局:株式会社労務研究所)により、2020(令和2)年から毎年1回実施されている。  厚生労働省は、この趣旨に賛同し、今回から新たに後援を行うとともに、「厚生労働大臣賞」を創設。ハタラクエール2026は、応募法人のなかから323法人が「福利厚生推進法人」として認証され、そのうち特に優れた取組みを行う19法人が「優良福利厚生法人」、さらに、もっとも優れた取組みを行う1法人が「厚生労働大臣賞」に選ばれた。  ハタラクエール2026の受賞法人は次の通り。 ●厚生労働大臣賞(1法人)/本田技研工業(ほんだぎけんこうぎょう)株式会社 ●優良福利厚生法人・総合(12法人)/アコム株式会社、株式会社アシスト、オムロン株式会社、セガサミーグループ、ソフトバンク株式会社、大東建託(だいとうけんたく)株式会社、テルモ株式会社、株式会社電算(でんさん)、戸田中央メディカルケアグループ、BIPROGY(ビプロジー)株式会社、HORIBA(ホリバ)グループ、株式会社レオパレス21 ●優良福利厚生法人・部門(6法人)ミッドサイズ部門/ASML(エーエスエムエル)ジャパン株式会社、株式会社QOL(キューオーエル)サービス、ナブテスコオートモーティブ株式会社、地域部門/株式会社四国銀行(しこくぎんこう)、鈴与(すずよ)株式会社、大王製紙(だいおうせいし)株式会社  受賞法人の評価ポイント等は、左記のハタラクエールのホームページで紹介されている。 https://fukurikosei-hyosyo.com/ 厚生労働省 中小企業における福利厚生の取組事例を収集・公表  厚生労働省は、中小企業における福利厚生の取組事例を収集し、ホームページで公表した。  福利厚生については、中小企業でも導入している企業は少なくないものの、大企業と比較すると整備状況には依然として開きがあるとされている。  福利厚生は、従業員のモチベーション向上や人材の確保・定着に効果をもたらす意義ある制度であり、その充実は従業員が安心して働ける環境づくりに大きく貢献するといわれているため、厚生労働省では、取組みの導入や見直しの参考にしてもらうために、一般社団法人全国中小企業勤労者福祉サービスセンターを通じて、中小企業での取組事例を収集した。  取組事例が紹介されたのは、「株式会社おさひめコーポレーション」(長野県飯田(いいだ)市)、「ワイ・ケー・ピー工業株式会社」(岐阜県中津川(なかつがわ)市)、「株式会社山内本店(やまうちほんてん)」(熊本県菊池郡菊陽(きくよう)町)の3社。各社とも、全国中小企業勤労者福祉サービスセンターなどの提供するサービスを活用して福利厚生の充実を図っている。  取組事例から、代表的な福利厚生制度についてみると、「従業員が一定の年齢(40歳、50歳、60歳)に達すると受けられる『健康管理給付金』」や「月1回のお弁当提供」など。また、福利厚生を導入して得られたメリットとして、「離職率が低いこと」、「資格取得支援の導入により、従業員の成長意欲も向上していること」などが紹介されている。  詳細は、左記の厚生労働省ホームページから。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71656.html 東京都 女性従業員の健康課題を支援する企業の取組事例を紹介  東京都は、働く女性の健康課題に関するサイト「働く女性のウェルネス向上委員会」を開設し、働く女性を支える職場づくりに役立つ情報の発信やオンラインセミナーの開催などを実施している。  掲載されている情報は、生理やPMS(月経前症候群)、更年期症状、産後のホルモンバランスの乱れなどをテーマに、女性の健康課題別体験談や、健康課題を抱える女性従業員に支援を行う企業の取組事例、女性特有の健康課題とその対処法について解説する専門家コラム、悩みに専門家が回答する健康相談室、アンケート調査結果など。東京都では、企業で働く全員がこれらの健康課題を知ることで、職場環境を整備し、働く女性のウェルネス(心身の健康)を向上させていくことを目ざしている。  情報は随時追加され、各社へのインタビュー形式で紹介している企業の取組事例では、取り入れやすい事例やケーススタディを豊富に紹介。業種別に読むこともできる。例えば、女性の健康課題に関するセミナーやミニセミナーを開き、男性の参加も呼びかけて知識の共有と配慮の啓発に取り組んでいる事例や、女性の健康相談窓口の開設、「生理休暇」の名称変更、全従業員を対象に行ったアンケート調査で健康課題やキャリアアップの阻害要因などを可視化する、など企業の多様な取組みを知ることができる。  詳細は左記のウェブサイトから。 ◆「働く女性のウェルネス向上委員会」 https://women-wellness.metro.tokyo.lg.jp 調査・研究 東京商工会議所 「2026年度 新入社員意識調査」の集計結果を公表  東京商工会議所は、「2026年度 新入社員意識調査」の集計結果を公表した。  調査は、同所が実施した新入社員研修の受講者を対象に、2026(令和8)年4月に実施したもので、858人が回答した(回答率:92.3%)。  調査結果から、就職先の会社でいつまで働きたいかについてみると、「定年まで」が25.6%で、前年の2025年度調査(24.4%)に比べ1.2ポイント増加している。一方で、前回調査と同様に、約4割(38.4%)が転職や独立、ライフイベントなどを理由に、将来的な離職や退職を考えている。  就職先の会社を決める際に重視したことについては、「社風、職場の雰囲気」(57.9%)、「処遇面」(53.1%)の順に回答比率が高く、前回調査と同様の結果となっている。これらに次いで回答比率が高かったのは、高い順に「就職先の会社の事業内容」(44.3%)、「福利厚生」(40.4%)で、前回調査とは「福利厚生」(44.9%)、「就職先の会社の事業内容」(43.1%)の順で順位が逆転した。  入社時点までに身につけたスキル・知識については、84.4%の新入社員が入社時点までに何らかのスキル・知識を身につけていて、内容は多い順に「ビジネスマナー」(31.1%)、「パソコン」(28.2%)、次いで、新規項目「コミュニケーション力」(24.9%)となっている。 https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1209339 【P60】 次号予告 9月号 特集 シニア社員のための“働きがい”改革! リーダーズトーク 坂爪洋美さん(法政大学キャリアデザイン学部 教授) 読者アンケートにご協力をお願いします! よりよい誌面づくりのため、みなさまの声をお聞かせください。 回答はこちらから 編集アドバイザー (五十音順) 池田誠一……日本放送協会解説委員室解説委員 猪熊律子……読売新聞編集委員 上野隆幸……松本大学人間健康学部教授 大木栄一……玉川大学経営学部教授 金沢春康……一般社団法人 100年ライフデザイン・ラボ代表理事 佐藤弘太……日本商工会議所産業政策第二部労働担当課長 谷圭一郎……日清食品ホールディングス株式会社グローバル人事部次長 丸山美幸……社会保険労務士 森田喜子……TISI 株式会社人事本部人事部 山ア京子……明治大学商学部特任准教授、日本人材マネジメント協会理事長 JEEDメールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メルマガ 検索 ※カメラで読み取ったリンク先がhttps://www.jeed.go.jp/general/merumaga/index.html であることを確認のうえアクセスしてください。 公式X(旧Twitter)はこちら! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_elder 編集後記 ●今号の特集は「仕事と介護の両立支援に向けて」をお届けしました。  仕事と介護の両立支援に取り組むうえでは、家族の介護をする本人が各種制度について理解をしたうえで制度を効果的に活用することが重要となりますが、それ以前の問題として、会社の制度を理解してもらうための周知・啓発活動は欠かせません。また、周囲に気兼ねなく、安心して介護休業や介護休暇を利用するためには、上司や同僚の理解や関係性も重要となります。  ぜひ本特集を参考にしていただきながら、仕事と介護の両立のための各種制度の整備、本人はもちろん上司や同僚に対する理解の啓発などに努め、介護と両立しながら働ける環境の整備に取り組んでいただければ幸いです。 ●10月は「高年齢者就業支援月間」です。10月9日に開催される「高年齢者活躍企業フォーラム」をはじめ、10月16日・30日にそれぞれ開催される「生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム」、全国47都道府県で開催される「地域ワークショップ」などのイベントが盛りだくさんです。みなさまのご参加をお待ちしています。 ●読者アンケートへのご協力も、どうぞよろしくお願いいたします(上記の二次元コードから回答いただけます)。 読者の声募集! 高齢で働く人の体験、企業で人事を担当しており積極的に高齢者を採用・雇用している方の体験、エルダーの活用方法に関するエピソードなどを募集します。文字量は400字〜1000字程度。また、本誌についてのご意見もお待ちしています。左記宛てFAX、メールなどでお寄せください。 月刊エルダー8月号 No.561 ●発行日−−令和8年8月1日(第48巻 第8号 通巻561号) ●発行−−独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−(企画部次長 石井伸明) 編集人−−企画部次長 石井伸明 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 TEL 043(213)6200 (企画部情報公開広報課) FAX 043(213)6556 ホームページURL https://www.jeed.go.jp メールアドレス elder@jeed.go.jp ●編集委託 株式会社労働調査会 〒170-0004 東京都豊島区北大塚2-4-5 TEL 03(3915)6401 FAX 03(3918 )8618 *本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。 (禁無断転載) 【P61-63】 技を支える vol.366 育てた弟子たちとともに地元にバーの文化を築く バーテンダー 西方(にしかた)明(あきら)さん(67歳) 「お客さまの目の前でつくるカクテルは、味の調整ややり直しができません。それだけに、積み重ねた経験がものをいいます」 千葉県船橋(ふなばし)市にいち早く本格バーを開く  階段を上がってドアを開けると、落ち着いた照明のなか、一枚板のカウンターの奥に無数のボトルが並ぶ。それを背にしたバーテンダーが「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えてくれる──。  千葉県船橋市にある「ブルーカナリヤ」は、オーセンティックバーと呼ばれる伝統的なスタイルの本格的なバーだ。  「1989(平成元)年、まだオーセンティックバーという言葉が一般的ではなかった時代に、『船橋をバーの街にしたい』という思いでオープンしました」と話すのは、オーナーでバーテンダーの西方明さん。いまでは市内で3店舗を展開する、船橋を代表する店へと成長した。2025(令和7)年には、長年にわたるバー業界への貢献が評価され、バーテンダーとして初めて「千葉県の卓越した技能者」に選出された。 独学で磨いた一杯への気づかい  西方さんは日本料理の板前として修業を始めたが、5年ほどして憧れのバーテンダーに出会う。  「もともと人前に出ると緊張するタイプでしたが、その方の、お客さまを楽しませる話術の巧みさに引き込まれ、自分を変えようと思い切って日本料理店を退職しました」  アルバイトでバーテンダーの仕事を転々としながら経験を積むとともに資金をため、30歳のときに夫婦でブルーカナリヤをオープンした。師匠について長く修業した経験はなく、セミナーや試飲会、有名店への見学などを重ね、独学で腕を磨いた。  店を持ってからも技術を磨き続け、32歳ごろからカクテルコンクールに片っ端から出場するようになった。全国バーテンダー技能競技大会の関東大会で2年連続準優勝、メーカー主催のカクテルコンクールでグランプリを受賞するなど実績を重ねた。そのころからメディアの取材を受ける機会が増え、客足も伸びた。  西方さんが大切にしているのは、基本に忠実であることだ。  「例えばシェイクする際は、氷を壊さず、素材も乱暴に扱わないようにします。シェイクは冷やすだけの作業と思われがちですが、冷やしながら同時に撹拌(かくはん)して空気を含ませることで、ふんわりとしたやわらかい口あたりになります」  シェイクする氷も、角(かど)があると氷同士がぶつかり、欠けて水っぽくなるため、面取りを重ねて丸くしている。  客の好みに応じてレシピは少しずつ変えている。同じジントニックでも、甘さが気になる客にはソーダを加え、辛口を好む客にはビターズ※を効かせるなど、その人だけの一杯を仕立てる。  技術だけでなく話術も重要だ。人脈を広げ、自分では経験できない話を聞き、引き出しを増やして会話に活かすようにしている。  西方さんが積み重ねてきた技は、すべて「お客さまに満足して帰っていただくため」という一点に向けられている。 料理を知ることはカクテルづくりにも生きる  バーテンダーの育成で大事にしているのは、技術よりもまず「人として信頼されること」だという。  「知識や技術は後からついてきます。まずは道徳心や美意識などを身につけ、お客さまから認められるようになってほしい」  新人には料理の基本も覚えさせている。旬の素材選びや味を組み立てる感覚など、カクテルづくりに通じる点が多いからだ。  ブルーカナリヤをオープンして37年。その間に15人の卒業生を輩出し、そのうち5人は船橋で店を構える。独立を志すスタッフには、競合を恐れず船橋での開業をすすめてきた。そうした土壌もあって、船橋はいま、バーだけで10軒近くが集まる街になった。  「バーは飲み歩きの文化です。近くに店をオープンすることで、互いに相乗効果が生まれます」  これからもスタッフの独立を支援しつつ、80歳までカウンターに立ち続けることを目標にしている。 有限会社ブルーカナリヤ TEL:047(425)5020 https://bluecanary.jp (撮影・羽渕みどり/取材・増田忠英) ※ビターズ……香味原料を漬け込んだリキュール。数滴加えることで香りと苦みを引き立てる 写真のキャプション シェイクのスタイルは、オーソドックスな二段振り。手に伝わる冷たさと、氷が立てる音の変化で仕上がりを見きわめる。姿勢や所作(しょさ)の美しさも大切な要素だ 1989年創業の「ブルーカナリヤ」。オーセンティックバー2店舗とスタンディングバー1店舗を展開 各種競技会で受賞したトロフィーの数々。全国バーテンダー技能競技大会関東大会での2 年連続準優勝やメーカー主催のカクテルコンクールでのグランプリなど、数多くの実績を積んできた 若手スタッフにシェイキングの所作を指導。独立を目ざす後進に、カクテルや料理の技術はもちろん、バーテンダーとしての心構えから店舗経営まで教えている オリジナルカクテルを提供する際に用いるこだわりのグラス。右の二つのロックグラスはステアのカクテルに用いられる お気に入りのシェイカー二つと、ステアに用いるミキシンググラス、ストレーナー、バースプーン。道具のなかでも一番のこだわりは、一枚板のカウンターだという シグネチャー(看板)カクテルの「ラストナンバー」は、カクテルコンクールに出場していたころに創作した一品 【P64】 イキイキ働くための脳力アップトレーニング!  今回は、空間認知力を鍛える問題です。空間認知力には脳の後ろ側、頭頂連合野(とうちょうれんごうや)がかかわります。ここは空間認知力のほか、注意力や想像力にもかかわり、固定的になりがちな「ものの見方」を柔軟にしていく力になります 第110回 カタカナ合わせ 上下に並んだカタカナのパーツを重ね合わせてできるカタカナの単語を答えてください。 目標 3分 @ 答え A 答え B 答え C 答え D 答え 観察力や空間認知力を鍛える  今回の脳トレは、カタカナの文字パーツを見て、それらを正しく組み合わせ、元の文字を完成させる問題です。一見すると単なるパズルのように見えますが、観察力や空間認知力、そして文字の形を記憶する力を総合的に使うため、脳の活性化に効果的だとされています。  ポイントとしては、それぞれのパーツの特徴をよく観察することが大切になってきます。長い線や短い線、曲がった部分、点のような小さなパーツなど、形状ごとの特徴をよく確認しましょう。  また、完成したときのカタカナをイメージすることも重要です。カタカナは直線的なパーツによって構成されていることが多いため、「ア、イ、カ、タ」などの基本的な文字の形を思い浮かべると、正解にたどり着きやすくなります。最初から一つの文字に決めつけず、複数の候補を考えながら試してみるのも有効な方法です。  完成した瞬間に得られる達成感を楽しみながら脳を刺激するようにしましょう。 篠原菊紀(しのはら・きくのり) 1960(昭和35)年、長野県生まれ。人システム研究所所長、公立諏訪東京理科大学特任教授。健康教育、脳科学が専門。脳計測器多チャンネルNIRSを使って、脳活動を調べている。『脳活ドリル オール新作! たっぷり1000問』(宝島社)など著書多数。 【問題の答え】 @アルバム Aガソリン Bデザイン Cビタミン Dステレオ 【P65】 ホームページはこちら (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 各都道府県支部高齢・障害者業務課 所在地等一覧  JEEDでは、各都道府県支部高齢・障害者業務課等において高齢者・障害者の雇用支援のための業務(相談・援助、給付金・助成金の支給、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発等)を実施しています。 2026年8月1日現在 名称 所在地 電話番号(代表) 北海道支部高齢・障害者業務課 〒063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 011-622-3351 青森支部高齢・障害者業務課 〒030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 017-721-2125 岩手支部高齢・障害者業務課 〒020-0024 盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3階 019-654-2081 宮城支部高齢・障害者業務課 〒985-8550 多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内 022-361-6288 秋田支部高齢・障害者業務課 〒010-0101 潟上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 018-872-1801 山形支部高齢・障害者業務課 〒990-2161 山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 023-674-9567 福島支部高齢・障害者業務課 〒960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1510 茨城支部高齢・障害者業務課 〒310-0803 水戸市城南1-4-7 第5プリンスビル5階 029-300-1215 栃木支部高齢・障害者業務課 〒320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 028-650-6226 群馬支部高齢・障害者業務課 〒379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-287-1511 埼玉支部高齢・障害者業務課 〒336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター内 048-813-1112 千葉支部高齢・障害者業務課 〒263-0004 千葉市稲毛区六方町274 千葉職業能力開発促進センター内 043-304-7730 東京支部高齢・障害者業務課 〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2794 東京支部高齢・障害者窓口サービス課 〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2284 神奈川支部高齢・障害者業務課 〒241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 045-360-6010 新潟支部高齢・障害者業務課 〒951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21ビル12階 025-226-6011 富山支部高齢・障害者業務課 〒933-0982 高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内 0766-26-1881 石川支部高齢・障害者業務課 〒920-0352 金沢市観音堂町へ1 石川職業能力開発促進センター内 076-267-6001 福井支部高齢・障害者業務課 〒915-0853 越前市行松町25-10 福井職業能力開発促進センター内 0778-23-1021 山梨支部高齢・障害者業務課 〒400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 055-242-3723 長野支部高齢・障害者業務課 〒381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内 026-258-6001 岐阜支部高齢・障害者業務課 〒500-8842 岐阜市金町5-25 G-frontU7階 058-265-5823 静岡支部高齢・障害者業務課 〒422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内 054-280-3622 愛知支部高齢・障害者業務課 〒460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見4階 052-218-3385 三重支部高齢・障害者業務課 〒514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 059-213-9255 滋賀支部高齢・障害者業務課 〒520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 077-537-1214 京都支部高齢・障害者業務課 〒617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 075-951-7481 大阪支部高齢・障害者業務課 〒566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0782 大阪支部高齢・障害者窓口サービス課 〒566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0722 兵庫支部高齢・障害者業務課 〒661-0045 尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 06-6431-8201 奈良支部高齢・障害者業務課 〒634-0033 橿原市城殿町433 奈良職業能力開発促進センター内 0744-22-5232 和歌山支部高齢・障害者業務課 〒640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 073-462-6900 鳥取支部高齢・障害者業務課 〒689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 0857-52-8803 島根支部高齢・障害者業務課 〒690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内 0852-60-1677 岡山支部高齢・障害者業務課 〒700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター内 086-241-0166 広島支部高齢・障害者業務課 〒730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 082-545-7150 山口支部高齢・障害者業務課 〒753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 083-995-2050 徳島支部高齢・障害者業務課 〒770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 088-611-2388 香川支部高齢・障害者業務課 〒761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内 087-814-3791 愛媛支部高齢・障害者業務課 〒791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内 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(東京都中央区日本橋兜町7番1号KABUTO ONE 4階) ●東京メトロ東西線・日比谷線「茅場町」駅 11 出口直結 ●東京メトロ銀座線・東西線、都営浅草線「日本橋」駅 D2 出口から徒歩2分 ●JR線、東京メトロ丸の内線「東京」駅 八重洲北口から徒歩12分 定員 100名(事前申込制・先着順) 会場・ライブ配信同時開催 参加費 無料 主催 厚生労働省、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) お申込みはコチラ https://www.elder.jeed.go.jp/moushikomi.html 〜生涯現役社会の実現に向けた〜 地域ワークショップ  JEEDでは各都道府県支部が中心となり、生涯現役社会の実現に向けた「地域ワークショップ」を開催します。事業主や企業の人事担当者のみなさまへ、高年齢者に戦力として活躍してもらい、いきいきと働いていただくための情報をご提供します。各地域の実情をふまえた具体的で実践的な内容ですので、ぜひご参加ください。 概要 日時/場所 高年齢者就業支援月間の10月〜11月に各地域で開催 カリキュラム (以下の項目などを組み合わせ、2〜3時間で実施します) ▲専門家による講演【70歳までの就業機会の確保に向けた具体的な取組みなど】 ▲事例発表【先進的に取り組む企業の事例紹介】 ▲ディスカッション など 参加費 無料(事前の申込みが必要となります) ※各地域のワークショップの内容は、各都道府県支部高齢・障害者業務課(65ページ参照)までお問い合わせください。また、日程等は今号55ページで紹介しています。 ※開催日時などに変更が生じる場合は、JEEDホームページで随時お知らせしますので、ご確認ください。 jeed 高年齢者就業支援月間 検索 2026 8 令和8年8月1日発行(毎月1回1日発行)第48巻第8号通巻561号 〈発行〉独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 〈編集委託〉株式会社労働調査会