BOOKS 労働法を体系的に理解することで、実務に役立つ力が身につく 一読でわかる労働法入門 壱岐(いき)祐哉(ゆうや) 著/労働開発研究会/2200円  職場の労働環境は、従業員のウェルビーイングや生産性に影響し、人材の確保と定着、育成力の強化につながる。このことから、組織における人事労務管理の重要性がいっそう高まっている。  本書は、従業員が安心して働ける職場環境を整備するために、人事労務担当者が習得したい労働法の全体像を把握でき、問題に直面したときにも、「このように考えればよいはずだ」、「結論はおそらくこちらに向かうだろう」と見通しを立てられる力をつけることを目的にまとめられた一冊。「労働法の世界における『土地勘』」が身につくように構成したという。  著者は、企業法務を主として取り扱う弁護士であり、労働法に関するセミナーの講師も務めている。そうした経験をふまえ、本書では、労働法の本質的な考え方に焦点をあて、「第1章 労働法の基本」から「第11章 紛争手続」まで、知っておきたい知識を整理し、判断の軸となるポイントをわかりやすく解説。読み進めると、多数の法律から成る労働法を体系的に理解し、実務に役立つ力が備わる構成となっている。  労働法を学びたい人の最初の一冊として、また、人事労務担当者が実務で迷ったときに立ち返る一冊としてもおすすめの良書である。 採用から定着・評価まで、すぐに使えるノウハウを公開 この1冊で採用から定着・評価まで ひとり人事のための本気の採用ガイド 村山(むらやま)寛樹(ひろき) 著/弘文堂/1980円  少子化に歯止めがかからず、労働力人口の減少が急速に進んでいる。採用活動に頭を悩ませている経営者や人事担当者も多いだろう。  中小企業の場合、採用担当者が一人という組織は少なくない。一方で、就職活動の方法や時期は多様化し、働き方や求職者の価値観も大きく変化しており、現代に適した採用手法への対応や求職者へのアプローチが必須となっている。  本書は、「ひとり人事」(本書によると、「組織内唯一の人事担当者。採用、研修、労務、ときには総務までを一人で担当する」)の担当者に向けて、多数の中小企業の採用支援に従事してきた著者が、現場で成果が出た実際に使えるノウハウを公開。求人票の作成から、募集、選考など、人事の業務フローに沿っておさえておくべきポイントを概説し、面接での質問事項、求職者心理を意識した採用業務なども解説する。  また、採用活動の「前段階」として、自社を「どう見つけてもらうか」から取りあげていることや、採用後に定着し、戦力になるまでに照準を合わせ、「社員に伝わる評価項目のつくり方」、「評価面談のコツ」なども説いている。  若者の採用に主眼をおいた内容だが、中高年者の採用のためのノウハウも得られる。 労働関係の基本的な法令を収録した法令集。コンパクトサイズで持ち運びにも便利 労働関係法規集 2026年版 労働政策研究・研修機構 編集・発行/1980円  社会生活に必要な労働関係法令を、持ち運びに便利なコンパクトサイズ(B6変型判)に収めた一冊。毎年、新版が刊行されているので、ご存じの読者もいるだろう。  コンパクトながら、日本国憲法(抄録)をはじめ、基本的な法令のほか、政令・省令・告示等も収録し、実務にも役立つように編集している。法令によっては、例外的に抄録という形で必要な条文に絞り込みつつ、できるだけ幅広く法令を収録している。また、各法令の沿革については、改正法令の公布年月日と法令番号を記載し、特に重要な改正はゴシック表示としている。  収録されている法令は、「労使関係」(労働組合法、労働関係調整法など)、「労働基準」(労働基準法、労働契約法、労働安全衛生法など)、「労働市場」(職業安定法、労働者派遣法、高年齢者雇用安定法など)、「その他」(健康保険法、厚生年金保険法、民法など)の四つに分類。2026年版には、同年1月31日現在公布されている法令を収録している。公布日と施行日の間隔が長く空く法令については、原則として、現行法と改正後の法令の内容がわかるように示している。  人事労務担当者が労働関係の基本的な法令を調べる際にも役立つ法令集である。 弁護士として生涯現役を貫きながら、自らの「老い」と「人生」を見つめた日記 老いを見つめて ある弁護士の事件簿 木村(きむら)達也(たつや) 著/民事法研究会/1980円  著者は、1944(昭和19)年生まれの82歳。弁護士として、多重債務問題や貧困問題など人々が暮らしを営むために大切な問題の解決に尽力している。  本書は、弁護士生活55年の著者が、78歳から81歳の時期に担当したいくつかの事件を物語風に綴った記録と、自らの老い仕度も含めて「老い」と「人生」を見つめた日記からなる。  「心身ともに弱体化し、持続力、耐久力が劣化し始めるころで、日記にもそのころの心境の変化、老いの覚悟、老いを見つめ始める日々、体験した心の揺れも書いています」と「はじめに」で綴っている。第一章では、そうした心境と労働時間を減らすという老後生活への切り替えなどを、第二章では、80代の医師の親族をめぐる遺言・離婚調停・相続事件について、第三章では、遺産相続や、借家の明渡請求事件の対応などをエッセイ風にまとめている。そして、命の尽きる日まで精一杯に生き、仕事も続けたいという心情も記している。  シニアの経験談や労働観などが語られる本誌の人気連載「高齢者に聞く 生涯現役で働くとは」の拡大版のような一冊でもあり、特に本誌の読者に手に取ることをおすすめしたい。 腰痛やひざ痛などを改善・予防!簡単な運動だから続けられる 頑張らない運動術 100歳をすぎても自分の足で歩くための3ステップ 岩木(いわき)博美(ひろみ) 著/あさ出版/1694円  「いくつになっても自分の足で歩いていたい」と願う一方で、そのためには「運動することが大事」とわかっていても、「運動が苦手」、「体がかたい」、「痛みがある」といった理由で、体を動かすことを遠ざけてしまっている人がいる。  本書は、10万人以上を指導してきた看護師・健康運動指導士の著者が、豊富な現場経験とデータに基づき、「運動が苦手でも、体がかたくても、痛みがあっても」、日常のなかで無理なく続けられる簡単で安全な運動法を紹介する。  腰痛やひざ痛、肩こり、尿もれ、むせ、不眠など、高齢期に多い悩みに対応した内容で、第1章では腰、第2章ではひざ、第3章では肩、第4章では尿もれ、第5章ではむせ、第6章では睡眠をテーマに、それぞれの不調の悩みにあわせた「頑張らない運動術」を写真やイラストを使って伝授する。例えば、尿もれ予防の「股関節ゆらし」、「股関節ストレッチ」、「お尻上げ体操」などである。年をとるとその不調が出やすくなる理由や、痛みを和らげる方法、予防法もていねいに説明している。  簡単な運動を1日3〜5分続けることで、不調が少しずつラクになっていくという。高齢社員の働く職場で話題にしたい一冊である。 ※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します