特集 多様な業種・業態で高齢者雇用が拡大 高齢者の戦力化・活躍推進のヒントがココに! 令和8年度 高年齢者活躍企業コンテスト 〜厚生労働大臣表彰受賞企業事例から〜  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)では、厚生労働省との共催で、「高年齢者活躍企業コンテスト」を毎年開催しています。本コンテストは、高齢者が年齢にかかわりなく生涯現役で活き活き働くために、人事制度の改定や職場環境の改善などに、創意工夫をして取り組む企業を表彰するものです。  2026(令和8)年度は、厚生労働大臣表彰最優秀賞1 編、同優秀賞2編、同特別賞3編、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰優秀賞11編、同特別賞11編、同クリエイティブ賞1編の受賞が決まりました。  本誌では、10月号と11月号の2回に分けて、コンテスト受賞企業の取組みを紹介します。今号では、厚生労働大臣表彰受賞企業の取組みを紹介します。 審査委員長からのメッセージ 高齢社員が持つ知識や経験を最大限に活かすための創意工夫に取り組む企業を表彰 東京学芸大学 名誉教授 内田(うちだ)賢(まさる)  「令和8年度高年齢者活躍企業コンテスト」の審査が終了いたしました。審査委員を代表し、応募いただきましたすべての企業・団体関係者のみなさまに厚く御礼申し上げます。今回は全国から64編の応募を受け、厳正な審査の結果、厚生労働大臣表彰は、最優秀賞1編、優秀賞2編、特別賞3編、また、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰は、優秀賞11編、特別賞11編、クリエイティブ賞1編が入賞を果たしました。  最優秀賞を受賞した株式会社エヴァーブルーは、「70歳を超えても現役を続けられる生涯現役モデル」の構築を掲げ、定年制の廃止や多様で柔軟な勤務制度、年齢に関係なく能力や貢献に応じた処遇制度を導入するなど、高齢社員が長年つちかってきた経験を最大限に活かせる職場づくりの取組みが評価されました。  優秀賞を受賞した株式会社三吉電器(みよしでんき)は、「年齢にかかわらず活躍できる」、「80歳まで働ける制度」の方針を打ち出し、80歳までの継続雇用制度の導入や退職金制度の拡充、年齢を問わない技能向上支援の取組みなど、まさに生涯現役での活躍を推進する取組みが評価されました。  同じく優秀賞を受賞した稲村(いなむら)建設(けんせつ)株式会社は、技能継承という経営課題に正面から向き合い、雇用の年齢上限撤廃をはじめとした生涯現役で働ける環境の整備に加え、ベテランと若手を組み合わせた班編成などを通して、豊富な技能・経験を次世代に継承しています。  特別賞を受賞した株式会社鵜飼(うかい)は、将来の人材不足を見すえて高齢者雇用に積極的に取り組んでおり、その経験を最大限に活かすための柔軟な働き方を推進。若手社員や障害のある社員とのペア就労など、高齢社員の新たな働き方の創出にも取り組んでいます。  同じく特別賞を受賞した株式会社亀井組(かめいぐみ)は、高齢者を含むすべての社員が安心して働ける環境を整え離職率0%を実現。雇用の年齢上限の撤廃のほか、個人の資質や体力に合わせて生涯現役で働ける新たな事業の創出、健康経営○R(★)など、幅広い取組みが評価のポイントとなりました。  同じく特別賞を受賞した四国(しこく)アイビ株式会社は、創業以来、定年制を設けず生涯現役で働ける環境を整え、多様で柔軟な働き方の実現、リスクアセスメントを活用した労働災害防止対策などに取り組み、高齢者を含む多様な人材による事業活動を通して地域社会に貢献しています。  審査を終えて、受賞企業の取組みが、ますます高度化しているという印象を受けました。これから高齢者雇用に力を入れようとしている企業にとって、ヒントになる事例がまだまだ多いということを再確認した次第です。加えて、これまで高齢者があまり活躍していなかった業種・業態において、目の前の課題を高齢者の知識と経験を活かして解決している事例もあり、高齢者雇用の新たな傾向も見え始めています。受賞企業が試行錯誤してきた取組みを横展開するためにも、本誌をご覧になったみなさまには、堅実一路(けんじついちろ)の精神をもって高齢者雇用の取組みを進めていただければ、審査にたずさわった者としてこれ以上の喜びはありません。 ★「健康経営○R」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。 令和8年度 高年齢者活躍企業コンテスト 厚生労働大臣表彰 最優秀賞 定年廃止で実現する「生涯現役」 経験を戦力に変える警備会社の職場づくり 株式会社 エヴァーブルー(静岡県浜松市) 企業プロフィール 株式会社 エヴァーブルー (静岡県浜松市) 創業 1978(昭和53)年 業種 その他の事業サービス業(警備業) 社員数 65人(2026〈令和8〉年4月1日現在) 60歳以上 40人 (内訳) 60〜64歳 1人(1.5%) 65〜69歳 7人(10.8%) 70歳以上 32人(49.2%) 定年・継続雇用制度 定年なし。希望者全員を年齢の上限なく継続雇用。最高年齢者は84歳 �T 本事例のポイント  株式会社エヴァーブルーは、1978(昭和53)年にビルメンテナンス事業を行う「株式会社共同設備」として設立。1989(平成元)年に警備事業の登録を行い、2001年に現在の社名へ変更し警備業を主軸とする体制を整えた。以来、施設警備、交通誘導警備、店内保安警備を中心に、警備に関する幅広いサービスを展開している。  警備業界では若年層の確保が困難となっており、高齢社員をいかに活かすかが経営上の重要な課題となっている。同社の有賀(ありが)公哉(きみや)社長は、この課題に正面から向き合い、「70歳を超えても現役を続けられる生涯現役モデル」の構築を掲げ、高齢社員の経験を最大限に活かせる職場づくりを進めてきた。 POINT �@2016年に定年制度を廃止し、健康状態や勤務意欲、能力に応じて年齢の上限なく働き続けられる制度を整備。 �A希望休制度、登録スタッフ制度、半日勤務制度を導入し、社員それぞれの事情に合わせた柔軟な働き方を実現。 �B賃金・評価制度を見直し、年齢に関係なく能力や貢献度に応じた制度にするとともに、警備マイスター制度や優秀社員表彰制度を整え、高齢社員の意欲向上・定着を図っている。 �C経験豊富な高齢社員を現場リーダーや指導役として配置し、若手社員への技能伝承と現場品質の維持・向上を図っている。 �D冷暖房付きのガードマンボックスの設置やファン付き作業服の支給など、屋外作業の多い警備業の特性をふまえた健康・安全対策を実施。 �U 企業の沿革・事業内容  同社は、「誰もが安心な未来へ」を企業理念に掲げ、「安全確保と防犯」を基軸とする地域密着のサービスを通じて、地域社会の安全から個人の安心までを支えることを目ざしている。  警備業を主軸とし、施設警備、交通誘導警備、店内保安警備、防犯対策、樹木・植栽管理のほか、イベント警備や盗聴・盗撮調査などの専門的なサービスも手がけている。 �V 高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方  2026(令和8)年4月1日時点において、社員数65人のうち70歳以上が32人と、全体の約半数を占めるなど、高齢社員が組織の中核的な役割をになう人員構成となっており、その活躍なくして現場は成り立たない状況にある。  高齢社員は、長年の経験を活かして現場リーダーや指導役として配置され、危険予知、顧客対応、新人教育などを担当している。さらに、障害のある社員とのペア就労においては統括役をになうなど、組織運営において重要な役割を果たしている。  高齢社員の活躍を推進する背景には、警備業界全体における若年層の採用難と労働力不足がある。経験豊富で顧客からの信頼も厚い高齢社員が継続的に働き続けられるよう、同社は、安心して長く働き続けられる環境を整えるべく定年制度の見直しなど、現場の実態や社員の意向をふまえて改定に取り組んできた。賃金・評価制度の見直しや多様な勤務形態の導入も段階的に進め、現場の声をふまえた改善に取り組んでいる。 �W 改善の内容 (1)制度に関する改善 �@定年制度および継続雇用制度  2016年に定年制度を廃止し、年齢による就業制限を設けない雇用制度を導入した。制度の運用にあたっては、年齢ではなく、社員の健康状態、勤務意欲、能力評価を基準としており、希望者全員が継続して働くことのできる仕組みとなっている。就業の継続については、毎年の健康診断結果をふまえ面談によって確認している。  定年制度の廃止により、年齢によって雇用が終了することへの不安が解消され、65歳以上の社員の継続就業率が向上。ベテランの定着が進んだことで、現場の品質と安全性の維持・向上、顧客からの信頼確保につながっている。 �A賃金制度と人事評価制度  2025年に、高齢社員の賃金制度を全面的に見直した。従来、65歳以上の高齢社員は最低賃金を基準とした時給設定であったが、高齢社員の離職防止と採用の強化を図るため、年齢や雇用形態によらず、能力や役割に応じた処遇を行う仕組みへと転換。具体的には、時給を地域最低賃金に200円超を加算した水準に統一し、地域最低賃金を約18%上回る時給を設定することで、高齢社員が安定した収入を得られる環境を整えた。  あわせて、人事評価制度として「勤労手当制度」を導入。勤務態度や現場対応力、顧客満足度、研修会への参加状況などを基準に月額の手当を支給するもので、評価にあたっては上司および同僚からの360度フィードバック※の一部を反映する仕組みとしている。これにより、同じ時給であってもまじめに働く社員が報われる仕組みが整い、社員の納得感が高まった。  また、経験や資格を可視化する「警備マイスター制度」を導入している。経験年数に応じて星印を付与し、資格取得者には金色、一般の社員には銀色の名札を貸与することで、ひと目でランクがわかる仕組みとし、高齢社員の経験を「見える資産」として位置づけた。加えて、「優秀社員表彰制度」を設け、顧客からの感謝の声や現場での貢献度などを基準に選考し、受賞者には社長からの礼状と賞品を贈呈している。 �B多様な働き方  警備の現場は、平日を中心とした勤務が主流であり、高齢社員は通院や健康管理、旅行などの事情で平日に休みを取ることに気兼ねを感じやすい。こうした事情が就業継続の不安材料となっていたことから、柔軟な働き方を実現するための複数の勤務形態を整備した。  「希望休制度」は、通院や旅行、家族行事などの用事がある場合、現場勤務の予定日であっても休暇を取得できる制度で、通院の頻度が高い高齢社員が気兼ねなく休める仕組みである。  「登録スタッフ制度」は、会社の都合で勤務日を固定せず、本人の都合に合わせて勤務日を選択できる制度で、おおむね2週間前に勤務可能な日を確認してシフトを設定する。  「半日勤務制」は、交代が可能な現場にかぎり、午前または午後の半日勤務を可能とするもので、「1日フルタイムはたいへんだ」という声に応え、体力の負担を大幅に軽減している。  これらの制度によって高齢社員が無理なく就業を継続できる環境が整うとともに、毎日働くことに不安を感じる人など、新たな人材の採用にもつながっている。短時間勤務から始めた社員が徐々に自信をつけ、段階的にフルタイム勤務へと移行する事例も見られるなど、人手不足の解消と現場の安定稼働に寄与している。 (2)意欲・能力の維持・向上のための取組み �@職場コミュニケーション・意識統一  全社員に警備員心得(信頼される警備・厳正な服務・責任ある行動など)、クレド(企業理念・行動指針)、およびセクシャル・ハラスメント対策カード(イエローカード〈できるかぎり避けるべき言動〉、レッドカード〈絶対避けるべき言動〉)が配付され、行動指針の共有が図られている。その結果、現場での行動の標準化が進み、顧客対応の質向上やクレーム減少につながっている。 �A世代別研修の実施  高齢社員の身体的特性や就業上の課題に対応するため、60歳以上を対象とした世代別研修を年1回実施している。加齢にともなう筋力や反応速度の変化、疲労回復の遅れなどを正しく理解し、無理なく安全に働き続けるための知識を習得することを目的としている。テーマは毎年変更され、直近では認知能力の確認をテーマに開催された。  そのほか、Web給与明細アプリや現場の情報共有ツールなどの操作に不慣れな高齢社員のための、デジタルツールの活用方法の指導などにも取り組んでいる。 �B資格取得支援  警備業務検定などの資格取得については、社員が資格を取得するまで、受験料や教材費などを会社が全額継続して負担するとともに、取得後は資格に応じた資格手当を支給している。年齢制限はないため高齢社員もスキルの向上と処遇の改善が連動する仕組みとなっている。 �C役割の明確化  経験豊富な高齢社員を現場リーダーとして配置し、危険予知の指導や新人教育、顧客対応などを任せるなど、役割を明確にしている。中途採用の高齢社員には、前職で管理者やリーダーの経験がある人が多く、入社後すぐに現場リーダーを任せられる人材も少なくない。役割が明確になることで、これまでつちかった経験や知識を活かせているという実感が高まり、就業意欲や働きがいの向上につながっている。 (3)雇用継続のための作業環境や作業の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み �@作業環境の改善、健康管理、安全衛生  警備業は屋外での作業が多く、夏の猛暑や冬の厳寒が高齢社員の身体に大きな負担となる。そこで同社は、駐車場や建設現場の警備などで使用する冷暖房付きのガードマンボックスを、顧客に相談したうえで現場に設置し、夏の熱中症や冬の寒さのリスクを大幅に低減している。あわせて、ファン付き作業服を支給して高温多湿の現場での負担を和らげ、冬季には保温性と滑り止め機能を備えた防寒靴を配付し、凍結した路面などでの転倒リスクの軽減にも取り組んでいる。  また、全社員に熱中症の応急手当の方法をまとめたカードを配付しているほか、夏季の巡回の際には、塩分タブレットや冷感グッズを配付するなど、熱中症のリスク軽減に努めている。 �A福利厚生の充実  夏季と冬季の年2回、社長が現場を巡回している。猛暑や厳寒のなかで警備にあたる社員一人ひとりに、社長が直接感謝を伝えるとともに、粗品を贈呈している。また、年2回懇親会を開催しており、社員間の交流の促進とモチベーションの向上を図っている。さらに、お盆や年末年始に出勤する社員に対しては心づけを支給し、家庭の事情にも配慮した支援を行っている。 (4)その他の取組み  同社は、高齢社員と障害のある社員を同一の現場に配置するペア就労を導入している。高齢社員が指導と統括をにない、障害のある社員が補助業務や細やかな作業を担当する。高齢社員は前職での管理職経験などを活かして体調の確認や休憩の声かけなどの配慮を行い、障害のある社員は集中力の高さやていねいさを発揮して業務を行っており、それぞれの特性を活かした役割分担によって現場の安定運営と業務品質の向上が図られている。この取組みは、障害者雇用の促進と高齢社員の役割の明確化を同時に進めるものであり、高齢社員にとっては、経験を活かしながら後進の育成にかかわることができる場となっている。 (5)高齢社員の声  鈴木(すずき)秀育(ひでやす)さん(84歳)は、83歳で入社して1年目。もともと自営業を営んでおり80歳で引退したものの、「隠居も飽きたので働こう」と決意し同社に入社した。「83歳という年齢では、なかなか受け入れてくれる企業がないなか、定年のないエヴァーブルーで働けることになりました。入社後も無理のないシフトを組んでいただき、若い人たちと一緒に楽しく仕事をしています。元気であればいくつになっても仕事ができることが、とてもありがたいです」と話す。 (6)今後の課題  同社は今後も「70歳を超えても現役を続けられる生涯現役モデル」をさらに深めていく方針である。高齢社員の採用をいっそう強化するとともに、ハローワークや地域の福祉機関との連携を深め、65歳以上の応募の増加を目ざしている。あわせて、経験資産のデジタル化を進め、若手社員や障害のある社員への技能の共有を効率化していく考えである。  警備業は、高齢者が経験を活かしてもっとも輝ける業種の一つである。同社は、若者に「教育」と「教養」が必要であるように、高齢者にも「今日行く」場所と「今日(の)用(役割)」があることが、やりがいや生きがいにつながると考えている。多様な人材が活躍できる持続可能な職場環境を築きながら、地域社会への貢献と会社の成長の両立を目ざしていく。 ※360度フィードバック……上司や同僚、部下など複数の立場の社員からの評価をフィードバックする仕組み 写真のキャプション 株式会社エヴァ―ブルー 警備マイスター名札 世代別研修の様子 鈴木秀育さん(84歳) 令和8年度 高年齢者活躍企業コンテスト 厚生労働大臣表彰 優秀賞 「80歳まで働ける制度」を就業規則へ明記し熟練の技術を次世代へつなぐ 株式会社 三吉電器(みよしでんき)(茨城県日立(ひたち)市) 企業プロフィール 株式会社 三吉電器 (茨城県日立市) 創業 1952(昭和27)年 業種 電気機械器具製造業(火力・水力発電関係の制御盤装置、産業用電気機械器具、精密板金加工品等) 社員数 25人(2026〈令和8〉年9月1日現在) 60歳以上 9人 (内訳) 60〜64歳 1人(4.0%) 65〜69歳 2人(8.0%) 70歳以上 6人(24.0%) 定年・継続雇用制度 定年70歳。一定条件のもと75歳まで継続雇用。さらに一定条件のもと80歳まで勤務延長可能。最高年齢者は75歳 �T 本事例のポイント  株式会社三吉電器は、大手電機メーカーの企業城下町にて、その協力会社として1952(昭和27)年に創業した電気機械器具の製造会社である。おもに発電関連の水量制御をになう調速機制御盤や各種制御盤筐体(きょうたい)、精密板金加工品などを製造している。  同社が立地する茨城県日立市は、人口減少と高齢化が県内でも著しく、熟練技術者の活躍が企業の競争力維持に不可欠となっている。こうした地域事情をふまえ、同社は「年齢にかかわらず活躍できる」、「80歳まで働ける制度」を明確な方針に掲げ、熟練の高齢社員が長年つちかった技術を活かして働ける職場づくりを推進してきた。 POINT �@社員からの要望を受け、2025(令和7)年3月に就業規則を改定し、定年70歳、一定条件のもと75歳までの継続雇用、さらに会社が認めた場合は80歳まで勤務延長することができる、「80歳まで働ける制度」を明文化した。 �A30年以上勤続した社員は退職金の受給時期を選択できるほか、定年後継続雇用の社員には第2退職金を支給するなど、生涯設計を見すえた退職金制度を整備している。 �B国家資格取得や認定試験に向けた教育訓練の費用を全額会社が負担し、70歳を超える社員が検査員資格の取得に挑戦するなど、年齢を問わず技能向上を推進している。 �C工場照明のLED化、屋根の遮熱塗装、空調設備の更新など、高齢社員に配慮した作業環境の改善を進めている。 �D熟練の高齢社員が若手社員の指導をになうなど、多世代協働の職場文化を形成し、節目ごとに食事会を開催するなど、コミュニケーションを重視した職場づくりを行っている。 �U 企業の沿革・事業内容  同社は、1952年に機械加工業として創業し、1954年に有限会社三吉電器工業所を設立した。大手電機メーカーの協力会社として抵抗器組立て事業を開始し、その後、製缶板金、制御盤組立て、電子機器部品組立て事業へと展開してきた。2014(平成26)年には日立市十王町(じゅうおうちょう)伊師(いし) の工業団地へ移転統合し、3年前に株式会社三吉電器へ社名を変更している。  現在は、発電設備の水量制御をになう調速機制御盤の設計・加工・電子機器組立て業務を一括して受注し、完成品を納入するほか、各種制御盤筐体や精密板金加工品、近年では車両関係の制御開閉器外箱筐体など、幅広い精密板金業務にたずさわっている。 �V 高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方  同社が立地する日立市は、人口減少が県内でも著しく、高齢化率は2024年には34%、3人に1人が65歳以上という地域である。こうした地域事情をふまえ、同社は高齢社員の活用を経営戦略として位置づけている。70歳を超えても検査、生産管理、総務、工場長など重要な役割をになっており、高齢社員は品質管理や技能伝承の中心的存在となっている。  取組みの契機となったのは、2024年10月、JEEDの70歳雇用推進プランナーの訪問を受けたこと。「人手不足で採用がむずかしいのであれば、若年者1人の仕事を高齢社員2人で担当し、長く働いてもらうことを考えてみてはどうか」との助言を受け、定年延長などの見直しを提案されたことから、同社はただちに顧問の社会保険労務士に相談し、制度改定を進めた。  継続雇用年齢の上限を検討するにあたっては、同社のモデル人材ともいうべきA氏を基準とした。A氏は前述の大手電機メーカーを68歳で退職後に同社へ入社し、価値分析による経営改善に参画する一方、組織改革やISO品質管理責任者を歴任し、熟練の知識と経験を業務に反映してきた。69歳から80歳までの11年間は契約社員ではあるが総務部長の要職で活躍。A氏が80歳でも元気に勤めていたことから、「80歳まで元気なら働いてもらえる」との考えに至り、2025年3月に就業規則を改定した。 �W 改善の内容 (1)制度に関する改善 �@定年制度および継続雇用制度  2025年3月に就業規則を改定し、70歳定年、一定条件のもと75歳までの継続雇用制度を整備した。さらに会社が必要と認めた場合は、80歳まで勤務延長できる制度としている。定年後も原則として同じ職種で勤務を継続し、役職登用も行われている。60歳で定年となった後に工場長へ登用された事例もある。定年後の賃金は一部調整されるものの毎年昇給を実施しているほか、継続雇用終了による退職時には第2退職金の支給制度も設けている。退職金の支給額は勤続年数に対応させた一覧表を社員通用口に掲示し、いつでも閲覧できるようにしている。  この「80歳まで働ける制度」は、他社を定年退職した人材の受け皿としても機能している。 �A賃金制度・人事評価制度  2019年に、年齢ではなく能力や資格、成果を重視する賃金制度への見直しを行った。資格取得時には職能給を加算し、技能や貢献度を給与へ反映している。人事評価も、それ以前は曖昧な点があったことから、年1回、自己評価シートをもとに社長と本人が業務の進捗について認識のずれがないかを確認し、評価へ反映する仕組みにあらためた。評価には健康度チェックや力量評価表、QC工程表などを用い、ポイント制で明確に賃金へ反映する。評価基準を明確化することで、高齢社員を含めた社員の納得感の向上につなげている。  この見直しにより、評価の仕組みは大きく変わった。かつては勤続年数と能力を社長が判断して給料に反映していたが、現在は部門ごとに配属された部下の教育訓練計画から技能認定取得までの記録をもとに、各部門長が力量評価を行う。評価の根拠がすべて記録に残るため、部下が納得できる教育・訓練につながり、品質向上を支えている。 �B多様な勤務形態  2019年以降、完全週休2日制を導入した。以前は皆勤賞を設けていたが、皆勤賞があることで有給休暇を取得しにくくなっていたため廃止した。また、フレックスタイム制度を導入しているため、現場の部門長と相談して出勤日や出勤時刻を自由に決めることができる。会社回りの美化を担当する73歳の社員については、出勤日・出勤時刻も定めず、本人の働きやすい時間に働くことを認めている。 (2)意欲・能力の維持・向上のための取組み �@教育訓練  「ものづくりは技術力が第一であり、社員のレベルアップが品質向上に直結する」との考えのもと、同社は教育体制を整備。溶接のJIS認定取得試験のための教育訓練計画を立て、費用は会社が全額負担し、取得後の職能給アップも明確にした。資格取得に特化した講師を派遣してもらい、溶接経験のある社長自らも社員とともに指導を受けるなど、徹底したレベルアップを図ってきた。その結果、2022年には国家資格である技能検定1級(工場板金・機械板金作業)に3人が同時に合格した。70歳を超える社員も検査員資格の取得に挑戦している。 �A技能継承  長年勤務する熟練の高齢社員が若手社員の指導をになっているほか、高齢社員が会社の支援のもとで技能検定試験に挑戦し、資格を取得することで、若手社員の模範となり、技能伝承がより着実に行われる環境となっている。技術力の底上げにあたっては、外部の名工による指導も取り入れており、現代の名工「製缶」・黄綬褒章受章のM氏(技能五輪全国大会金賞受賞。現在、各種資格講師マイスター)による技術指導のほか、安全衛生教育もお願いし、短期契約社員として採用。改善報告を朝礼で共有するなど、作業の安全確保につなげた。 (3)雇用継続のための作業環境や作業の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み �@作業環境の改善  高齢社員が働きやすい作業環境の整備を進めており、2015年と2020年に工場照明をLED化し、高齢期になると光を暗く感じやすくなるなか、明るく作業ができるようになった。また、2020年には工場建屋の屋根に遮熱塗装を施して工場内の温度上昇を緩和し、熱中症対策として工場内の空調設備も更新した。これにより、以前は一人ずつ使用していたスポットクーラーやファン付き・保冷剤入りジャケットが必要なくなった。  作業面では、経理業務のIT化や外部委託により高齢社員の事務業務の負担を軽減するとともに、重量物を取り扱う作業は若手社員がにない、高齢社員は技術指導や検査業務など経験を活かせる業務へ配置している。 �A健康管理  健康診断後の再受診勧奨に加え、「健康お祝い金制度」を導入して健康意識の向上を図っている。制度導入後は、各自が積極的に病院へ通ったり運動することを意識したりするようになり、健康への意識に変化がみられた。病気欠勤のない社員には、健康お祝い金として1〜3万円を支給している。また、朝礼時には毎日ラジオ体操を実施し、昼食後には各自が散歩や体操を行うなど、日常的に健康管理を意識する習慣が根づいている。  溶接作業では強い光が発生することから、眼科を受診する社員も多く、受診の際に車の運転に制約がかかる場合には、社長・専務が車を出して病院までの送迎を支援している。 �B安全衛生  毎週月曜日の朝礼後に環境パトロールを実施し、5S活動などを徹底している。前述の名工の指導を受ける前は道具が乱雑に置かれて探すことが多かったが、指導を機に、あるべき場所へ道具を戻すことを徹底した。美化が継続するよう美化手当制度を設け、整理棚の自主製作などの社内改善を手当に加算している。安全教育やクレーン資格取得教育なども行っており、安全作業体制の強化を図っている。 �C福利厚生  退職金制度を明確化し、退職後の生活設計を立てやすくしている。また、通勤時間が長い高齢社員は通勤自体が負担となるため、希望者には会社近隣の物件探しから引越しの支援まで行っている。そのほか会社や個人が表彰を受けた際や社員の退職時など、節目ごとに社員全員で食事会を開き、コミュニケーションを図る機会を数多く設けている。 (4)高齢社員の声  石(いし)正博(まさひろ)さん(75歳)は、入社時67歳で、現在は検査員として品質管理を担当している。72歳のときに検査員資格を取得した。  「大手車両メーカーの新規認定取得のために検査員の試験を受けるよう会社から求められ、年齢を考えると当初は果たして合格できるのかとたいへん不安になりましたが、教育・訓練・研修と会社のサポートのおかげで合格することができました。年齢を考えると『もうこれまで』とあきらめがちですが、ダメと決めつけずトライすることが大切。成せば成る、です」  鈴木(すずき)正啓(まさひろ)さん(63歳)は、60歳で定年退職した後に、継続雇用で工場長へ抜擢された。「これからも同じ職場で同じ仕事を続けられ、工場長としてもうひとがんばりできます。退職年齢が延びたことで、年齢を気にせず、能力に応じた役割をにない続けられるようになり、仕事のやりがいを感じています」と、制度改定を歓迎する。 (5)今後の課題  同社は、社員全員が長く勤めたいと思えるような「人にやさしい」、「みんなの会社」を目ざしている。高齢社員の割合が年々高まっていることなどを受け、アシストスーツの導入検討や、夏の熱中症対策として空調設備の増設なども予定している。2026年度からは遠距離通勤者の交通費の増額や、会社近隣への住宅支援も始めており、だれもが長く働ける職場づくりを推進していく。 写真のキャプション 株式会社三吉電器 就業規則や退職金規程などを社員通用口に掲示している 高齢社員による指導の様子 石正博さん(75歳) 鈴木正啓さん(63歳) 令和8年度 高年齢者活躍企業コンテスト 厚生労働大臣表彰 優秀賞 高齢者の保有する能力に応え生涯現役で働ける環境づくりを推進 稲村建設(いなむらけんせつ)株式会社(鹿児島県鹿児島市) 企業プロフィール 稲村建設 株式会社 (鹿児島県鹿児島市) 創業 1954(昭和29)年 業種 建設業 社員数 26人(2026〈令和8〉年1月1日現在) 60歳以上 11人 (内訳) 60〜64歳 3人(11.5%) 65〜69歳 4人(15.4%) 70歳以上 4人(15.4%) 定年・継続雇用制度 定年70歳。希望者全員を年齢の上限なく継続雇用。最高年齢者は77歳 �T 本事例のポイント  稲村建設株式会社は、1954(昭和29)年に稲村組として土木工事業を創業し、1971年に法人化。70年余にわたり道路や河川などのインフラ整備を通じて、地域の暮らしを支え続けてきた。  建設業界では若年層の採用がむずかしく、社員の高齢化が進むなかで、経験豊富な高齢社員をいかに戦力として活かし、その技能を次代へ伝えていくかが経営上の重要な課題となっている。同社はこの課題に正面から向き合い、制度の改革と現場の温かい企業文化を両輪として、年齢で区切らず生涯現役で働ける環境づくりを進めてきた。その結果、離職者ゼロと採用増というたしかな成果があらわれている。 POINT �@2021(令和3)年に継続雇用の上限年齢を撤廃し、2026年に定年を70歳へと延長した。年齢を理由に就業機会を制限しない方針を明確にしている。 �A職務内容ではなく「保有する能力」に対して賃金を支払う方針を明確化し、定年後の継続雇用でも昇給が可能な仕組みとしている。 �B建設業界では導入例の少ない企業型確定拠出年金を、70歳までを対象として導入し、高齢期の資産形成を会社として支援している。 �C高齢社員と若手社員を組み合わせた班編成や、高齢社員による外国人技能実習生への指導を通じて次世代への技能継承を図っている。 �Dファン付き作業服やアシストスーツの導入、私傷病もカバーする保険への加入など、安心して長く働き続けられる環境を整えている。 �U 企業の沿革・事業内容  稲村建設株式会社は、1954年に稲村組として土木工事業を創業し、1971年に尾上組と合併して法人化した。1973年に土木工事業・舗装工事業の建設業許可を受けて以来、とび・土工工事業、管工事業、解体工事業などの事業を営んでいる。  インフラ整備を主軸とし、官公庁からの受注を中心に、道路整備をはじめとする各種工事を手がけており、地域の環境や土地を熟知した職人たちが、迅速かつていねいな施工を通じて、地域の暮らしを支えている。創業以来、多少の変動はあるものの右肩上がりの成長を続けており、近年は廃業した同業他社からの人材採用も進めながら事業を拡大。長い歴史のなかでつちかった信頼と柔軟な機動力を活かし、地域に寄り添う企業であり続けることを目ざしている。 �V 高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方  同社の社員26人のうち、60歳以上が11人を占める。60代、70代の社員が事業の中核をなしており、豊富な経験を持つ高齢社員の活躍なくして現場は成り立たない状況にある。  高齢者雇用推進の背景には、建設業界全体における若年層の採用難と、社員の高齢化がある。経験と技術力を備えた高齢社員を年齢によって失うことは、現場の品質低下や技能継承の停滞に直結する。会社の発展のためには他社に先んじて対策を講じる必要があると考え、安心して長く働き続けられる環境の整備を進めてきた。取組みにあたっては、社員の声に耳を傾けながら、経営層が主導して取り組んでいる。 �W 改善の内容 (1)制度に関する改善 �@定年制度および継続雇用制度  2021年9月に定年年齢を60歳から65歳へ引き上げ、同時に継続雇用の上限年齢を撤廃した。さらに2026年4月には定年年齢を70歳へと引き上げている。定年後もフルタイム勤務を希望する場合は契約社員として働き続けられるほか、本人が体調や家庭の都合に合わせて働き方を選べるよう、2026年4月からは新たにパートタイマーの区分を設け、勤務日数を減らして働く選択肢も整えており、この二つの区分の転換は自由に行えることになっている。  定年年齢を70歳へ引き上げた背景には、60代後半の社員がなお元気に活躍している実態がある。65歳を定年とする場合、その後は毎年退職を意識する時期が訪れ、離職につながりかねない。定年延長により「70歳までがんばろう」という意欲を引き出すとともに、貴重な人員の確保につなげている。なお、2021年の制度のもとで再雇用となっていた60代後半の社員については、2026年の制度改定にあわせて正社員区分へ移行し、退職金の算定にかかわる勤続年数もさかのぼって加算する対応をとっている。 �A賃金制度  2024年4月に賃金制度を全面的に見直した。その根幹にあるのは、基本給を職務内容や職務の価値ではなく、社員が「保有する能力」に対して支払うという考え方である。フルタイム勤務者の基本給には昇給があり、勤続年数の上昇にともなって水準が上がるため、定年後もそのまま働き続けるかぎり、右肩上がりの賃金カーブを描く仕組みとなっている。正社員と同じ労働時間で働く契約社員にも同一の賃金制度が適用され、社員区分による処遇の差を設けていない。  この見直しにより、賃金制度の透明性が高まり、社員からは「がんばる理由が明確になった」という声が寄せられた。定年後の処遇改善は就業意欲の向上につながり、優秀な人材の確保と技能継承、定着率の向上に寄与している。 �B企業型確定拠出年金制度の導入  従来の退職金制度は建設業退職金共済制度のみで、受け取れる額は十分とはいえなかったが、会社として資産形成を支援するため、地方の金融機関と一年をかけて制度を整え、2026年4月に企業型確定拠出年金制度を導入した。対象は70歳までとし、事業主掛金は社員の定着を図るため勤続年数に応じて設定している。  この制度は定年年齢の引上げとも連動しており、定年を70歳に延長することで、より多くの社員が長く資産を積み立てられるようになり、高齢期まで安心して働き、退職後にも備えられる仕組みとなっている。これは、建設業では導入例の少ない先進的な取組みである。 (2)意欲・能力の維持・向上のための取組み �@資格取得支援  建設業では、資格が安全性・品質・生産性に直結することから、資格取得を重視している。社員の技能向上とキャリア形成を支援するため、必要な資格の取得費用は会社が負担し、勤務時間内での講習受講を認めるとともに、取得後には資格手当を支給している。高齢社員の豊富な経験に資格が加わることで現場全体の技術力が高まり、若手社員にとってはキャリアの道筋が明確になって成長意欲の向上につながっている。 �A混成班による技能継承  高齢社員の豊富な経験と若手社員の機動力をともに活かすため、高齢社員と若手社員を組み合わせた班編成を行っている。高齢社員が安全管理や品質確認、作業手順の指導をになう一方、若手社員は体力を要する作業やデジタル機器の操作を補うなど、お互いの強みを活かす体制としている。この取組みにより若手社員の技能習得が早まって育成期間の短縮につながるとともに、高齢社員は「教える役割」をになうことで就業意欲を高めている。 �B技能実習生への指導と職場風土  同社は2023年9月からインドネシアの技能実習生を受け入れており、その指導を高齢社員が中心となって行っている。長年の経験に基づくていねいで根気強い指導は、実習生から厚い信頼を得ており、世代や国籍を超えた関係が築かれている。高齢社員自身も、自らの経験がだれかの成長に役立っているという実感を通じて、働きがいを高めている。  こうした風土を支えているのが、毎朝の全員朝礼である。全社員が出社して朝礼を行ってから現場へ向かうため、業務の相談にとどまらず、家庭での出来事や健康状態など、幅広い会話が交わされる。朝礼には経営層も参加しており、現場の声や社員の近況を直接把握できる場となっている。また経営層は作業現場にも足を運び、労働環境の把握とともに社員の働きぶりを確認している。 (3)雇用継続のための作業環境や作業の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み �@作業環境の整備と生産性の向上  身体的な負担の軽減や熱中症リスクの低減を図るため、ファン付き作業服やアシストスーツを導入している。あわせて測量機器などの設備投資を進め、生産性の向上と危険作業の排除にも取り組んでいる。従来は二人がかりで谷を越えながら行っていた測量作業も、デジタル機器の導入によって一人で行えるようになり、工期の短縮と危険作業からの解放につながった。 �A健康管理と補償の充実  掛金を会社が全額負担する業務災害総合保険に加入している。この保険は業務上の災害にかぎらず、私傷病による入院治療費も補償の対象としており、これまでに10人以上の社員が私傷病の補償を受けている。経済的な不安の軽減や家族の安心につながり、就業継続の意欲を支える柱となっている。また、定期健康診断ではオプションの腹部エコー検査を会社負担で実施しており、この検査によって早期に異常が見つかり、治療を経て職場に復帰した社員もいる。 �B福利厚生と企業文化  社員とその家族を大切にする企業文化づくりを意識している。年に一度バーベキュー大会を開催するほか、毎年クリスマスの時期には全社員にプレゼントを贈っており、家族からも好評を得ている。これらの福利厚生は、社員の家庭での団らんを生む行事として定着し、会社全体の一体感の醸成にも寄与している。 (4)その他の取組み  職場では、多様な人材がそれぞれの力を発揮している。外国人技能実習生の受け入れにあたっては高齢社員が技術指導や生活相談の役割をになっており、世代や国籍を越えた信頼関係が現場を支えている。また、身体障害のある社員も在籍しているが、周囲や経営層が特別視することなく、ほかの社員と同様に活躍している。こうした取組みが評価され、「ユースエール認定企業」(厚生労働省)※1や「かごしま『働き方改革』推進企業」(鹿児島県)※2などの認定を受けている。 (5)高齢社員の声  柿田(かきた)靖巳(やすみ)さん(68歳)は、土木工事現場の作業員として、作業全般や重機の運転などを担当。「仕事を通して自身の経験や知識を次世代につないでいけることにやりがいを感じています。若手社員と接することで元気をもらっています」と話す。  末吉(すえよし)敏幸(としゆき)さん(72歳)は、現場管理業務をになっている。「この年齢になっても、まだまだ会社から頼ってもらえるのがうれしいですね。体調や都合に合わせて出勤できるので、自分のペースで無理なく働けるのがありがたいです」と話す。 (6)今後の課題  これら一連の取組みは、たしかな成果となってあらわれており、離職者は2年弱にわたってゼロを更新中。採用の面でも、他社を定年退職した技能者からの応募が増え、2017(平成29)年以降は廃業した同業他社からの人材採用も進めながら、売上高を約二倍に伸ばしている。  同社は今後も年齢で線を引かないという方針を軸に、高齢社員が活躍できる環境づくりを進めていく方針である。また、現場作業の効率化と平準化を図るため、段階的にデジタル化を進め、高齢社員の負担軽減や作業ミスの防止、情報共有の迅速化を実現し、世代を問わず働きやすい職場環境の構築を目ざす。こうした取組みを重ね、高齢社員が「支えられる側」から「組織をけん引する側」へと活躍の幅を広げられる職場づくりを、これからも進めていく考えだ。 ※1 「ユースエール認定企業」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000100266.html ※2 「かごしま『働き方改革』推進企業認定制度」 https://www.pref.kagoshima.jp/af04/sangyo-rodo/rodo/hatarakikata/seido.html 写真のキャプション 稲村建設株式会社 技能継承のため高齢社員と若手社員を混成した班編成 負担を軽減するためのアシストスーツを導入 柿田靖巳さん(68歳) 末吉敏幸さん(72歳) 令和8年度 厚生労働大臣表彰 特別賞 個人の希望や能力に応じた柔軟な働き方を実現し全社をあげて「はつらつ職場づくり」を推進 株式会社 鵜飼(うかい)(岐阜県各務原(かかみがはら)市) 企業プロフィール 株式会社 鵜飼 (岐阜県各務原市) 創業 1947(昭和22)年 業種 輸送用機械器具製造業 従業員数 131人(2026〈令和8〉年6月9日現在) 60歳以上 27人 (内訳) 60〜64歳 9人(6.9%) 65〜69歳 7人(5.3%) 70歳以上 11人(8.4%) 定年・継続雇用制度 定年65歳。希望者全員を年齢の上限なく継続雇用。最高年齢者は79歳 �T 本事例のポイント  株式会社鵜飼は1947(昭和22)年7月に、岐阜県岐阜市で柳原(やなぎはら)工業株式会社として創業した。1963年1月に、現在の所在地である各務原市金属団地に移転、1988年に株式会社鵜飼に社名を変更して現在に至る。  「仕事を通じ、我が社に関わる全ての事柄の幸せを目指す」を経営理念に掲げ、感謝の気持ちを忘れず、日々進化する会社を目ざしてきた。早くから将来の人材不足を視野に入れ、高齢者を積極的に雇用しており、高齢従業員の経験や能力を最大限に活かせるように、職務内容や働き方を柔軟に決めるなどの取組みを実現するために、全社一丸となって取り組んでいる。 POINT �@高齢従業員の経験を最大限に活かせるように、健康・快適で安全な職場環境づくりを目ざしている。 �A65歳定年後も希望者全員を年齢上限なく継続雇用する制度を導入。制度改定を段階的に進め、最終的に雇用上限年齢の撤廃を実現し、長く働き続けられる継続雇用制度を確立した。 �B労働時間、職務内容を面談により調整し、その希望をほぼ100%反映。短時間勤務や配置転換などにより負担軽減に柔軟に対応した。 �C能力に応じた賃金制度や人事評価の導入により、65歳以上の高齢従業員18 名が現場戦力として活躍できる職場環境を構築した。 �D高齢従業員の技術・技能を継承するため、技術・技能のマニュアル化を図り、若手従業員や外国人技能実習生、障害のある従業員とのペア就労やメンター制度を推進、高齢従業員の活躍の場を創出した。 �E職場のIT化やDXを進めていくなかで、高齢従業員を力仕事や危険業務から業務転換させるなど、高齢従業員が働きやすい支援の取組みを進めている。 �U 企業の沿革・事業内容  同社は、1947年に岐阜県岐阜市で創業して以来、金属加工一筋に歩んできた会社である。「板金(ばんきん)・溶接・切削(せっさく)・塗装・機械組立」の一貫体制を構築していることを強みとしており、工作機械の周辺機器や物流倉庫の搬送システムなども手がけるなどして業容を拡大してきた。1988年に社名を株式会社鵜飼に変更。その後、M&A(企業の合併・買収)によって従業員数を増やし、2015(平成27)年10月には岐阜県加茂郡(かもぐん)に東海圏ではトップクラスの設備を備えた塗装工場を完成させた。創業から79年を数えたいま、100年企業を目ざして新しい分野や市場への挑戦を続けており、「社員の幸せ、顧客の幸せ、社会貢献」を経営理念に掲げ、つねに感謝の気持ちを忘れず、日々進化する会社を目ざしている。 �V 高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方  全従業員131人のうち60歳以上の従業員は27人で全体の20.6%、65歳以上は18人で全体の13.7%を占めている。最高年齢者は79歳。20年ほど前に、若年層の入社希望者の減少が続いていることに気づいたことがきっかけとなり、高齢従業員が活躍するための制度面の改善に積極的に取り組み始めた。  また、高齢化が進むなかにあっても、安定的に事業を運営して会社を存続させていくためには、これからも増加することが見込まれる高齢従業員にとって働きやすい職場環境を創出することが何より重要と考えた。そこで、2007年以降、就業規則を改定し、定年年齢や継続雇用期間、労働条件および賃金にかかる制度の見直しを順次進めてきた。このような制度改定に加え、高齢従業員の個々の経験、能力および事情等をふまえ、高齢従業員が最大限活躍できるよう、職務内容や働き方を柔軟に調整する取組みを続けている。  高齢従業員の配置については、年1回の人事評価時の面談において決定している。その際、本人の事情を考慮して、希望をほぼ100%受け入れている。さらに、製造業における現場作業は高齢従業員には厳しい環境であることも考慮して、職務についてはこれまでと同一であっても、作業上の負荷は軽減する配慮を行っている。 �W 改善の内容 (1)制度に関する改善 �@定年制度と継続雇用制度  制度改定前は「60歳定年。定年後は、嘱託従業員として65歳まで継続雇用。パートタイム従業員は70歳まで雇用」と定めていたが、2007年に就業規則を改定し、定年後は希望者全員を嘱託従業員として継続雇用することを明示した。2017年には、嘱託従業員の継続雇用上限年齢を70歳までに、パートタイム従業員を75歳までに引き上げるとともに、定年後の継続雇用の形態を嘱託従業員とパートタイム従業員のいずれかの選択を可能にした。  さらに、2022(令和4)年にも就業規則の改定を行い、嘱託従業員という雇用形態を廃止してパートタイム従業員に一本化し、定年後は希望者全員をパートタイム従業員として継続雇用して、年齢上限は定めないことにした。 �A賃金制度と人事評価制度  パートタイム従業員の賃金は、従来は定額であったが、定年後のモチベーションの維持・向上のため、2021年6月の就業規則の改定によって、定年退職時の職務給の額に応じて、5段階の給与額のなかから、本給を定めるよう見直しを図った。  また、人事評価制度は、「パートタイム従業員雇用・継続審査表」を用いて年1回実施。評価は面談によりフィードバックし、評価によっては昇給も可能な仕組みを構築した。 �B多様な働き方の実現  制度改定前は、正規従業員および嘱託従業員は1日8時間勤務、パートタイム従業員は1日5時間勤務としていたが、2017年にパートタイム従業員の労働時間の規定を廃止して、個々の従業員の希望に応じて1日の労働時間を選択できるよう見直しを行った。ただし、継続雇用の高齢従業員には、原則として1日8時間を超えた労働は禁じている。  継続雇用者の職務内容や勤務形態は年1回の人事評価の面談の際に担当職長と相談のうえで変更可能であり、ほぼ100%、従業員の希望を受け入れている。職務内容の変更においては、高齢従業員に負担がかからないよう、個々人の体力等の状況を見ながら業務内容を調整している。本人の希望を優先するため、つねに代替要員の確保が可能となるよう、従業員の育成を計画的に進めている。 (2)意欲・能力の維持・向上のための取組み �@資格取得支援  熟練の技術者が揃っているが、従業員の技術力のさらなる維持・向上のために、技能検定試験の受検に要する費用を全額会社が負担している。また、技能検定試験対策のための事前講習会の受講日は有給休暇扱いとする措置を実施するとともに、技能検定試験の合格者には、合格報奨金と技能資格手当を支給している。 �A技術・技能継承の取組み  同社では技術・技能継承の取組みとして、高齢従業員と若手従業員のペア就労を進めている。さらに、外国人の従業員とのペア就労も積極的に行い、熟練の技術者が実践を交えながら溶接の知識を教えている。 �B職場コミュニケーションの推進  コロナ禍までは、社内において溶接技術競技会などのイベントを定期的に企画・実施しており、若手従業員とのコミュニケーションの場として機能し、職場の活性化につながっていた。今後、こうした取組みを復活させることを視野に入れている。 (3)雇用継続のための作業環境や作業の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み �@作業環境や作業の改善  大物溶接品の材料設置と溶接のロボット化に取り組み、重筋作業や溶接作業の負担を軽減した。また、厚生労働省の「エイジフレンドリー補助金」※1を活用して、スポットクーラーやファン付き作業服、フリークレーンを導入して、作業環境の改善を実現した。さらに、立ち仕事による腰への負担軽減のために疲労を軽減するマットを導入。夏の暑さ対策としてはクールベストを従業員に支給した。 �A健康管理  長時間労働の抑制のため、毎週水曜日を「ノー残業デイ」に指定している。さらに、法定の定期健康診断と特殊健康診断を確実に実施するとともに、健診結果の有所見者に対する事後措置にも取り組んでいる。また、ストレスチェックも実施しており、集団分析の結果を活用した産業医面談を促進している。産業医は、月1回各工場を巡回して健康相談を行っており、さらに、私傷病などで長期間療養を要する従業員の支援のため、2016年に「私傷病による従業員の休職及び復職に関する規程」を整備した。 �B安全衛生  温暖化にともなう気温上昇をふまえ、2025年以降、熱中症対策を重点的に強化している。具体的には、作業現場における温湿度管理の徹底やスポットクーラーの設置、クールベストの支給等の対応に加え、作業時間中においては1時間につき5分程度の休憩を確実に取得する運用を徹底し、体温上昇の抑制および疲労の蓄積防止を図っている。また、水分および塩分補給のため、夏季は熱中症対策飲料と塩飴を常時提供し、従業員へ定期的な摂取をうながしている。さらに、作業前の体調確認や声かけの徹底により、体調不良の早期発見と重症化防止に努めている。これらの取組みは、特に高齢従業員の身体的特性や健康リスクに配慮したものであり、年齢にかかわらず安心して働き続けられる職場環境の整備につながっている。 �C福利厚生  インフルエンザの予防接種を全額会社負担にて年1回実施しており、従業員の健康維持に努めている。さらに、従業員へ誕生日のプレゼントの贈呈を行うことで、従業員のモチベーション向上を図っている。また、従業員相互のコミュニケーションの円滑化を図るため、同社ではクラブ活動を奨励し、会費補助も行われ、クラブ活動を通じた従業員間の交流促進を目ざしている。 (4)その他の取組み  健康経営の実現を目ざす企業として、安全で安心な職場環境づくりを進めている。その一環として、2017年10月24日、岐阜労働局が進めている「新はつらつ職場づくり宣言」※2として、「私たち株式会社鵜飼と株式会社鵜飼従業員組合は、労使ともに協力して健康・快適で仕事のしやすい安全な職場づくりを目ざすために、働き方改革を推進し『はつらつ職場づくり』に取り組むことを労使で宣言する」と表明した。具体的には、長時間労働の抑制、過重労働の解消、心身ともに安全で健康に働ける職場環境の創出をはじめ、高齢従業員はもちろん、だれもが活き活きと働き続けるための指標を掲げている。そして、2020年には、同社の取組みが評価され、健康経営優良法人2020の認定を受けている。 (5)高齢従業員の声  各種制度の改定や職場環境の改善に対しては、従業員から、おおむね好意的な評価が寄せられている。例えば、高齢のパートタイム従業員からは、「長く働けるという安心感がある」や「自分の体力や生活に合わせて働けるため、無理なく働き続けられる」、「収入を継続して得られることがありがたい」といった声が聞かれている。 (6)今後の課題  創業から79年を数え、新しい分野や市場への挑戦、新体制の構築を通じ、売上高100億円という野心的な目標を掲げる「100億円企業」を目ざすことを宣言した。この宣言のなかには、現在の課題や今後の成長手段などを明記した。まずは、築70年近い工場の建て替えを行い、従業員の作業環境を改善し、あわせて、生産性の向上と人材確保を目ざすことにしている。また、働き方改革にともなう労働時間の見直しに対応するために、マンパワーに依存しない生産形態への転換を図り、「人がやる仕事」と「機械がやる仕事」を明確に分けて、ロボットや自動化設備を導入することによって、さらなる効率化を実現することを視野に置いている。さらに、年齢や経験を問わず、社内でプロジェクトチームを発足させて、だれもが自由に意見を出し合える企業風土の構築を目ざすなど、同社のさらなる挑戦が続く。 ※1 「エイジフレンドリー補助金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html ※2 「新はつらつ職場づくり宣言」 https://jsite.mhlw.go.jp/gifu-roudoukyoku/roudoukyoku/gyoumu_naiyou/_120283/_120504/_120505.html 写真のキャプション 株式会社鵜飼 大物溶接品の材料設置と溶接のロボット化に取り組み、重筋作業と溶接作業の負担を軽減した 若手従業員に対する指導が高齢従業員の役割となっている 令和8年度 高年齢者活躍企業コンテスト 厚生労働大臣表彰 特別賞 ICTと健康経営で支える 安全・安心に働き続けられる職場 株式会社 亀井組(かめいぐみ)(徳島県鳴門(なると)市) 企業プロフィール 株式会社 亀井組 (徳島県鳴門市) 創業 1906(明治39)年 業種 総合建設業 従業員数 77人(2026〈令和8〉年4月1日現在) 60歳以上  4人 (内訳) 60〜64歳 5人(6.5%) 65〜69歳 6人(7.8%) 70歳以上 3人(3.9%) 定年・継続雇用制度 定年65歳。一定条件のもと70歳まで継続雇用。70歳以降は一定条件のもと年齢の上限なく継続雇用。最高年齢者は81歳 �T 本事例のポイント  株式会社亀井組は、1906(明治39)年に徳島県鳴門市で創業した。創業120年を誇り、土木・建築工事を通じて地域社会のインフラ整備に貢献してきた。主力事業は、官公庁および民間発注の土木・建築工事の請負、企画、設計、施工管理である。土木工事部門では道路・橋梁(きょうりょう)・河川等の社会基盤整備を、建築工事部門では教育施設・医療福祉施設・商工業施設の建設、神社仏閣(じんじゃぶっかく)の修繕等を手がけている。また、大手住宅メーカーの耐震住宅工法を用いた注文住宅の設計・施工およびリフォーム事業を展開している。  同社では、多様な取組みによって、若手からシニアまで安心して働き続けられる職場環境を整備したことによって、近年は離職率0%を維持している。今後も、こうした成果を徳島県内や建設業界へ積極的に発信し、高齢従業員の活躍と健康経営を両立させる企業モデルとして、建設業界全体の人材確保やイメージ向上に貢献することを目ざしている。 POINT �@2020(令和2)年に定年年齢を60歳から65歳へ、継続雇用制度を65歳から70歳へ引き上げた。さらに70歳以降は年齢上限のない継続雇用制度を実現した。 �A年齢による一律の賃金引下げを行わず、役割や勤務形態に応じて賃金を決定。納得感のある賃金体系は高齢従業員のモチベーションアップにつながっている。 �B81歳の技術顧問をはじめ、高齢従業員が技術指導や品質管理の中核をにない、若手への技能継承を推進。技術の伝承とともに、「建設という仕事に関わる喜び」を伝えるメンター的な役割もになっている。 �C高齢従業員の新たな活躍の場を創出するため、本業の建設事業に加えて、「アグリ事業部」や「亀井組のだがし屋」を展開し、個人の資質や体力に合わせた生涯現役で働くことができる場の創出を目ざしている。 �DICT(タブレット、360度カメラ、ドローン等)を活用し、高齢従業員の負担軽減と安全確保を実現した。 �E24時間365日利用可能な医師によるチャット相談や健診受診率100%の実現により、健康経営を積極的に推進。 �F社内カフェ「KAMECAFE(カメカフェ)」を設置し、世代や部署を越えた交流・情報交換を促進している。 �U 企業の沿革・事業内容  同社は、亀井組として1906年に徳島県鳴門市で塩田(えんでん)の整備事業を主たる業務として創業。1953(昭和28)年に株式会社亀井組に組織変更し、その後は総合建設会社として、国道改良工事、社寺建築等、公共および民間の建築工事、土木工事、港湾工事等を中心とした社会基盤整備等、地域の安全を守り、地域の基盤を支える事業を展開してきた。近年は、従来の建設事業に加え、ICT施工やデジタル技術の活用を積極的に推進し、生産性の向上や働き方改革にも取り組んでいる。また、建設業の枠にとどまらず、社内コミュニケーション拠点「KAMECAFE」の整備や「亀井組のだがし屋」の運営、農業分野への参入など、多様な事業を通じて地域社会とのつながりを深めている。「明治から続く技術を次世代へつなぐ」を合言葉に、高齢従業員の持つ高度な施工管理能力や地域との信頼関係を、若手従業員の育成と会社のブランド力向上に活かす「生涯現役・共創体制」の構築を目ざしている。 �V 高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方  従業員数は77人で、60歳以上の従業員は14人(構成比18.2%)、65歳以上は9人(構成比11.7%)となっている。81歳の最高年齢者は、現在も技術顧問として若手従業員の育成や技術指導を行っているほか、高齢従業員それぞれが業務や地域貢献等の役割を果たしている。建設業界における深刻な人手不足や技術承継の断絶に危機感を抱いたことがきっかけとなり、「明治から続く技術を次世代へつなぐ」ことを目的に、2020年に定年を65歳に延長した。合わせて、再雇用制度の見直しなど制度面の改善を実施し、高齢従業員を「品質と安全の要(かなめ)」と位置づけ、健康経営、柔軟な働き方、人材育成、安全衛生等に、総合的に取り組んでいる。 �W 改善の内容 (1)制度に関する改善 �@定年制度および継続雇用制度  定年年齢を65歳へ引き上げるとともに、継続雇用制度を見直し、70歳以降は、基準該当者を年齢上限なく継続雇用する制度を確立した。現在、最高年齢者として、81歳の従業員が活躍していることが功を奏し、「長く元気で働き続けたい」という高齢従業員のモチベーションアップにつながっている。 �A賃金制度  賃金は年齢ではなく、本人の役割や貢献度、 勤務形態に応じて決定している。65歳以降も従前と同じ勤務を希望する場合は、勤務条件・給与ともに定年前と同水準を維持している。なお、本人の希望により勤務日数を短縮する場合には、勤務の実態に合わせて賃金を調整している。 �B多様な働き方  高齢従業員を含むすべての従業員が、それぞれのライフステージや健康状態に応じて多様な働き方を支える環境整備を進めている。定年後の継続雇用にあたっては、毎年実施の社長面談において本人の希望や健康状態、就業意欲、生活状況などを確認したうえで勤務形態を決定している。従前通りのフルタイム勤務を希望する者は、勤務条件を維持したまま継続雇用しており、短時間・短日数勤務を希望する者は、本人の希望に応じて柔軟に対応している。 (2)意欲・能力の維持・向上のための取組み �@研修・教育訓練の実施  従業員の能力向上を目的として、業務に必要な資格および免許の取得に必要な費用を会社が全額負担している。また、必要に応じて高齢従業員に対してもデジタルツールの活用をサポートしている。 �A技術・技能継承の取組み  熟練の高齢従業員は現場でのOJTだけでなく、若手従業員に対する「技術研修会」の講師を定期的に担当し、長年の経験に基づく現場知識を若手従業員に伝承している。 �B社内コミュニケーション拠点の整備  パンやいちごの販売、日々の休憩場所として利用できる社内コミュニケーション拠点「KAMECAFE」(社内カフェスペース)を設置。このスペースには、コーヒーや給茶機を備えており、休憩時間には世代や部署を問わず多くの従業員が集まって交流を深めている。 �C「アグリ事業部」の設置  同社の高齢従業員の雇用とは異なるが、同社では、シルバー人材センターを通じて積極的に地域の高齢者を活用して、いちごの栽培などに従事してもらっている。また、本人の希望により事務職からアグリ事業部へ異動することもあり、従来の職域にとらわれない活躍の機会を創出している。さらに、本社内に「亀井組のだがし屋」を開設して、経理・総務業務を担当していた従業員が本人の希望により駄菓子屋の運営をになうなど、年齢や体力の変化に応じて能力を発揮できる環境を整備している。 (3)雇用継続のための作業環境や作業の改善、安全衛生、健康管理、福利厚生の取組み �@作業環境および作業方法の改善  全従業員が安全で効率的に働き続けられるよう、ICTやデジタル技術を活用した作業環境や方法の改善に着手した。働き方改革の一環として電子出退勤システムを導入したことにより、全従業員の時間外労働時間や年次有給休暇の取得状況の一元管理が可能になった。また、タブレット端末と360度カメラを各現場に設置し、作業報告や現場巡回、情報共有のデジタル化を推進したことで、現場間の移動や巡回業務の削減が図られ、高齢従業員を含む全従業員の身体的負担の軽減につながっている。  さらに、熱中症を未然に防ぐ「ウェアラブルデバイス」を導入し、安全な就業環境確保が実現した。現場の可視化を重要と考え、ドローンなどを活用して測量業務の効率化や省力化を図っている。 �A安全衛生  労働災害の防止のために、高齢従業員の知見を活かした「安全パトロール」を強化している。また、熱中症を未然に防止するため、ファン付き作業服や冷感インナー、遮熱(しゃねつ)サングラスを支給している。また、すべての現場にエアコンや経口補水液、塩飴を備えた遮熱休憩所を整備するとともに、朝礼等を活用して熱中症予防に関する注意喚起を実践している。 �B健康管理  「健康経営」を実現するために、従業員が安心して長く働ける環境整備に取り組んでいる。例えば、健康診断は、受診しやすい環境づくりのために検診車を手配しており、受診率100%を継続して達成している。また、インフルエンザの予防接種は、会社が費用を全額負担して実施している。さらに、24時間365日利用可能な専門医へのチャット相談サービスを導入し、従業員の健康不安や悩みに対応している。このほか、血圧計や運動器具の設置、「両立支援保険」への加入、健康支援機器としての水素吸入器の導入、健康アンケート結果を活用した栄養支援の実施など、従業員が安全・安心に働けるようにするためのさまざまな取組みを健康経営の一環として継続的に拡充、従業員の健康維持と就業継続を支える基盤となっている。 �C福利厚生  さまざまな工夫を行っており、まず、全従業員はライフイベントに応じた各種給付・福利厚生サービスを利用できる。また、部署ごとの懇親会費補助(年2回)や地域行事(阿波おどりなど)への参加支援を通じて従業員間の交流促進と組織の活性化を図っている。さらに、永年勤続表彰制度を設け、長年にわたり会社へ貢献した従業員を表彰することで、働く意欲の向上と定着促進につなげている。業務環境の整備にも力を入れており、全従業員へスマートフォンを支給するとともに、タブレット等の端末を活用することで、業務の効率化や情報共有を推進している。 (4)その他の取組み  創業120年を誇る総合建設会社として、地域の基盤を支える事業を展開しており、地域貢献を合言葉に現在もさまざまな形で地域の発展に注力している。例えば「亀井組のだがし屋」は地域の子どもたちが安心して集える居場所づくりと、災害時の支援物資の備蓄を兼ねた地域貢献を目的として開設した。平時は販売を行いながら備蓄し、災害時には支援物資として活用できる体制を整えている。また、近隣幼稚園とは約10年間にわたり交流を続けており、クリスマスには、同社の高齢従業員がサンタクロース役として訪問し、紙芝居の読み聞かせや駄菓子のプレゼントを行うなど、高齢従業員が地域との交流や次世代育成に積極的に参画している。文化・スポーツ活動への貢献ということでは、サッカーJリーグで徳島県全域をホームタウンとしている「徳島ヴォルティス」をオフィシャルスポンサーとしてサポート、芸術面の社会貢献の一環として、常設野外彫刻ギャラリーを設置、徳島本店等に数多くのアート作品を展示している。 (5)高齢従業員の声  81歳の最高年齢従業員の二見(ふたみ)岩夫(いわお)さんは、いまも現場の第一線に立ち、技術顧問として若手従業員への指導に日々力を注いでいる。「会社が資格取得を後押ししてくれたおかげで、必要な資格を取得し、長く働くことができています。家にいるより会社に来て人と会えることが楽しいです」と笑顔を見せる。 (6)今後の課題  建設業界全体の課題解決に向けたロールモデルの発信を視野に置いている。若手から高齢従業員まで、全員が働きやすい職場を目ざした結果、離職率0%を継続していることに力を得て、この成果を、徳島県内および建設業界全体へ積極的に発信し、人手不足に悩む同業他社に対し、高齢者の活躍と健康経営の両立が企業の競争力を高めることを証明し、業界全体のイメージアップと持続可能性の向上に寄与していきたいと願っている。今後も全社をあげて「生涯現役」に至る道を切り拓いていく。 写真のキャプション 株式会社亀井組の徳島本店 多くの従業員の交流の場となっている、KAMECAFE 各現場に設置されている、360度カメラ 最高年齢者の二見岩夫技術顧問(81歳) 令和8年度 高年齢者活躍企業コンテスト 厚生労働大臣表彰 特別賞 定年のない職場で一人ひとりの力を活かし続ける 四国(しこく)アイビ 株式会社(愛媛県今治(いまばり)市) 企業プロフィール 四国アイビ 株式会社 (愛媛県今治市) 創業 1971(昭和46)年 業種 ビルメンテナンス業 従業員数 162人(2026〈令和8〉年5月20日現在) 60歳以上 84人 (内訳) 60〜64歳 15人(9.3%) 65〜69歳 21人(13.0%) 70歳以上 48人(29.6%) 定年・継続雇用制度 定年なし。創業時より定年制度は設けていない。70歳以降は半年ごとの契約更新で年齢の上限なく継続雇用。最高年齢者は85歳 �T 本事例のポイント  四国アイビ株式会社は、1971(昭和46)年に、ボーリングのレーン用ワックスなどの清掃用品販売会社として愛媛県今治市で設立された。ビルメンテナンスの業務を展開し、2016(平成28)年に有限会社から株式会社に変更した。現在は、今治市内4カ所のプールの開園前の清掃を行うなど、清掃業務で地域のインフラを支えている。2023(令和5)年には「輝く女性推進部」を新組織として設け、美容エステ・歯のホワイトニング事業にも進出している。「お客様の笑顔と満足を求め 地域社会の発展と雇用に貢献し従業員の成長と幸せを願い『快適な空間づくり』で社会貢献できる企業とする。」を経営理念に掲げ、多用な人材を積極的に雇用、地域の活性化に一役買っている。 POINT �@創業時より定年制度は設けず、就業規則にも定年の定めはない。70歳以降は面談により健康状態や希望を確認して、労働条件を見直し ている。 �A賃金制度は、年齢に関係なく同じ制度としている。人事評価は、個人の能力に加えてお客さまからの評価を反映していることから、多くの高齢従業員が主任クラスで活躍している。 �B短時間勤務の現場から長時間勤務の現場まで、多様な現場があることから、従業員が柔軟に働くことができる制度が整備されている。 �C高齢従業員にとって体力を要する作業は、外国人技能実習生などの若年者とペア就労することで負担を軽減するとともに、技能の継承にもつなげている。 �D安全衛生管理体制を整備し、社内に高齢従業員の労災防止対策を含む「リスクアセスメント実施表」を掲げ、つねに、労働災害のリスクを見きわめられるようにしている。また、ヒヤリハット事例を社内報でも共有し、ブログで情報発信するなど従業員の労災防止対策の啓発に努めている。 �U 企業の沿革・事業内容  同社は、1971年、愛媛県今治市で四国アイビ有限会社として創業して以来、ビルメンテナンスや社屋、店舗、官公庁その他施設の清掃管理業務、日常清掃、マンション、アパート美装業務および新築家屋美装業務、清掃器具、清掃用品の販売、レンタルを中心に業容を拡大してきた。2016年に株式会社に組織変更、2023年には「輝く女性推進部」を設立して美容部門にも進出し、エステ部門「Jasmin(ジャスミン)」や歯のホワイトニングショップを展開している。  創業当時から「いつまでも働きたい人が働けるように」という理念を掲げて、労務管理の改善に取り組んできた。例えば、ストレスチェック制度が法定の制度になる前から従業員のストレスチェックを実施したり、地元の産業医とメンタルヘルス対策に取り組んだりするなど、全社一丸となってよりよい職場環境づくりを目ざしている。 �V 高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方  全従業員162人のうち、60歳以上は84人、そのうち70歳以上は48人で、60歳以上の従業員の半数以上を占めている。最高年齢者は85歳で、1日2時間、週5日の清掃業務に従事している。メインの事業はビルメンテナンスや清掃であり、高齢者に合った働く場所や労働時間も多種多様な仕事があるため、創業時より定年は就業規則に定めていない。創業時にすでに高齢従業員が在籍したこともあり、「いつまでも働きたい人が働けるように」という創業者の理念を二代目社長もしっかり受け継いだ。  一方、2023年から、同社代表の家族が開業した美容エステと歯のホワイトニング事業を「輝く女性推進部」という新組織として編成して経営している。同社は全体的に女性が多いが、年齢層はまんべんなく分布した形となっている。20〜30代は美容エステ・歯のホワイトニング事業の店舗勤務が多く、ビルメンテナンスや清掃には40代以上の従業員が従事している。 �W 改善の内容 (1)制度に関する改善 �@年齢上限のない雇用とシフト体制の構築  創業時より定年制度を設けておらず、退職規定および解雇規定の事由に該当しなければ、生涯現役で働くことが可能な環境となっている。本人の働き方の希望や体調の変化を確認するため、70歳以降は半年ごとの契約更新を行い、年齢上限の定めなく雇用している。また、高齢従業員が親の介護や自身の通院などで安心して休暇を取得できるよう、経験豊富な「クリーンマネージャー」がシフトをカバーできる体制を整備した。 �A賃金制度・人事評価  賃金制度については、年齢に関係なく同じ制度としている。高齢従業員の多くが主任として活躍しているが、年齢、性別、国籍を問わず、能力があれば主任になることができるので、従業員のモチベーションアップにつながっている。人事評価については個人の能力とお客さまからの評価から実施している。お客さまからの評価については毎月「褒(ほ)められ表」を従業員ごとに集計して、本人に渡している。 �B多様な勤務形態  本人の事情などをふまえ、勤務時間の短縮や短日勤務などについて随時相談に応じ、労働条件を変更している。ビルメンテナンスのほかに、美容エステ・歯のホワイトニング事業というまったく異なる業種も経営しており、店舗の20〜30代の従業員に対し、育児などの事情が生じる場合において、短時間勤務や短日勤務への切り替えなど、ビルメンテナンス業と同様に対応している。このような、本人の事情に合わせた柔軟な働き方ができ、従業員の就労意欲の向上につながっている。 (2)意欲・能力の維持・向上のための取組み �@資格取得支援  創業時から高齢従業員も含め、会社が定めた資格取得に必要な費用は会社が全額負担し、資格取得後は、資格手当を支給している。資格取得が給与に反映されることで従業員のモチベーションがアップし、資格取得者が増え、お客さまに対するサービスの品質向上につながっている。 �A社内研修制度  毎月2回社員研修を実施しており、業務に支障がでないよう各部署1人ずつ参加する体制としている。研修会のほかにも会社負担でランチ会を開くなど、年齢に関係なく従業員同士が顔を合わせる場を積極的に設けている。 �B永年勤続表彰  勤続10年以上で永年勤続表彰し、金一封と記念品を贈っている。従業員にとって、まず10年というのは働く目標となり、9年目で退職を考えても、あと1年はがんばろうというモチベーションアップとなっている。 �Cコミュニケーションの場の創出  従業員が各店舗に勤務していることから、全員が一堂に会する機会を持つことがむずかしいため、社内管理者が分担して職場を巡回し、職場改善の課題を把握している。それだけでなく、お客さまからの声を月1回「褒められ表」にまとめて、本人にフィードバックすることで、従業員のモチベーションのアップとコミュニケーションを促進する仕組みを設けている。永年勤続表彰該当者や「褒められ表」上位者には社長から感謝の気持ちを込めたハガキが送付される。この取組みにより、従業員だけでなく従業員の家族に、その働きぶりや常日頃会社で活躍している姿を伝えることができている。 (3)雇用継続のための作業環境や作業の改善、安全衛生、健康管理、福利厚生の取組み �@作業の改善  現場の作業においては、体力の必要なベッドメイキングは外国人技能実習生、そのほかの清掃は高齢従業員が担当する形でのペア就労を導入しており、高齢従業員の作業負担軽減を図っている。 �A安全衛生管理  2014〜2015年ごろに、高齢従業員の転倒によるけがが多かったことをふまえ、安全衛生管理体制を強化し、安全衛生教育の実施を通じて従業員の意識啓発を強化した。社内で毎月開催している安全衛生委員会では、労働災害につながるヒヤリハット事例を共有し、その内容を社内報で周知している。社内には高年齢者の労災防止対策で実施が求められている「リスクアセスメント実施表」を過去から掲げ、現場にどのような危険が潜んでいるかを自主的に調べ、労災事故の未然防止を目ざした適確な安全衛生対策を講ずるようにしている。その結果、休業災害の減少とその維持が確保されている。 �B健康管理  年齢を重ねると、健康面での不調が出てくることが少なくないため、高齢従業員が安心して働くことができるように、定期健康診断の実施対象者でなくても、定期健康診断を実施している。個人では健康診断を受診していなかった高齢従業員も、会社で健康診断を実施することにより、毎年定期的に身体の状態を把握できるようになった。 �C福利厚生  業種の特性から、働く場所が多種多様であり、社内連絡や報告がむずかしい面があり、加えて、自分の会社がどんな会社なのかを知ってもらいたい、会社の方針を確実に伝えたいということがきっかけとなり、2005年10月から年に3〜4回、社内報を発行している。  また、毎年部署ごとに忘年会または新年会などの懇親会を実施、年2回まで費用は会社で負担している。仕事を離れ、親睦を深める時間を設けることで連帯感が生まれ、家庭の事情や体調などでシフトに空きが出ても、お互い補いあえる環境づくりに貢献している。 (4)その他の取組み  ダイバーシティ経営の時代が到来したことをふまえ、高齢者に加えて障害者や女性を積極的に採用するとともに、外国人技能実習生も積極的に受け入れている。2025年度には、障害者雇用優良事業所として、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰を受賞している。また、愛媛県が若年層の転出超過の解消に向け、女性活躍や仕事と家庭の両立支援などに積極的に取り組む企業を認証し、すべての人がいきいきと働ける環境づくりと企業の成長をバックアップする制度である「ひめボス宣言事業所」としても認証されている。 (5)高齢従業員の声  85歳の最高年齢従業員の小田(おだ)秋江(あきえ)さんは、1日2時間、週5日の勤務で、ある事業所の清掃を15年にわたって担当している。過去には複数の事業所を担当していたが、現在はその事業所のみを担当している。小田さんは非常に責任感が強く、得意先からの評価も高いという。 (6)今後の課題  少子高齢化や人口減少による生産年齢人口の大幅な減少を見すえ、ビルメンテナンス業界と地域の活性化のためにも、「ダイバーシティ」による地域の雇用の場の創出に向けて、よりいっそう積極的に貢献していくことを目ざしている。また、従業員が希望する時間帯で仕事ができるよう、取引先と調整を行い、柔軟な働き方の実現にも注力していく。さらに、創業以来、「労働災害ゼロ」を掲げて安全衛生管理を徹底してきたが、今後は、すべての世代にとって働きやすく、意欲があればいくつになっても安心して働ける職場環境の実現に全社をあげて取り組んでいく。より高みを目ざし、同社の飽くなき努力が続く。 写真のキャプション 四国アイビ株式会社 「リスクアセスメント実施表」を掲示して、労働災害の未然防止に注力している 得意先からの信頼が厚い小田秋江さん(85歳) 令和8年度 高年齢者活躍企業コンテスト 入賞企業一覧 厚生労働大臣表彰 最優秀賞 静岡県 株式会社 エヴァーブルー 優秀賞 茨城県 株式会社 三吉(みよし)電器(でんき) 鹿児島県 稲村(いなむら)建設(けんせつ) 株式会社 特別賞 岐阜県 株式会社 鵜飼(うかい) 徳島県 株式会社 亀井組(かめいぐみ) 愛媛県 四国(しこく)アイビ 株式会社 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰 優秀賞 福島県 アクツフーズ 株式会社 埼玉県 株式会社 増木(ますき) 東京都 株式会社 事業承継機構(じぎょうしょうけいきこう) 東京都 大東(だいとう)コーポレートサービス 株式会社 富山県 にいかわ信用金庫 長野県 株式会社 西軽精機(にしかるせいき) 大阪府 株式会社 エーディエフ 兵庫県 株式会社 カコテクノス 愛媛県 桜井(さくらい)工業(こうぎょう) 株式会社 宮崎県 吉川(よしかわ)工業(こうぎょう)アールエフセミコン 株式会社 鹿児島県 株式会社 サンエス総合(そうごう)ビルメンテナンス 特別賞 東京都 社会福祉法人 調布市(ちょうふし)社会福祉事業団(しゃかいふくしじぎょうだん) 石川県 北陸化成(ほくりくかせい) 株式会社 愛知県 社会福祉法人 ケアマキス 大阪府 有限会社 スワン 兵庫県 社会福祉法人 三翠会(さんすいかい) 奈良県 株式会社 サンロード 山口県 株式会社 オータニ 香川県 徳寿(とくじゅ)工業(こうぎょう) 株式会社 熊本県 株式会社 緒方(おがた)建設(けんせつ) 大分県 株式会社 サンブレス 沖縄県 株式会社 アイセック・ジャパン クリエイティブ賞 宮城県 宮城(みやぎ)製粉(せいふん) 株式会社