エルダー2019年4月号
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特集1エルダー15業界別 シニア人材の活かし方旅行業は、運送・宿泊機関などの企画、手配、あっせんなどを行う事業であり、人手に負うところが大きい労働集約型産業である。一方で、旅行業は大きな資本を必要としないビジネスであることから、約90%を中小企業が占めており、人材確保は業界の喫緊の経営課題となっている。日本旅行業協会の会員企業を対象に調査を実施した結果、現在雇用されているシニア人材が従業員全体に占める比率は低く、現時点では高齢者雇用を喫緊の課題とする企業は少ないものの、今後5年後、10年後に経営課題になるという結果が得られた。これは、同業界において、「シニア人材の活用」が近い将来の課題であることを意味している。当ガイドラインは、各社が高齢者雇用推進に向けて取り組む際の指針として策定されている。本編と資料編で構成され、本編では高齢者雇用推進について「なぜ取組みが必要なのか」、「どんな取組みが必要なのか」という二つの観点で構成して解説。資料編は、日本における高齢者雇用をめぐる法制度や、企業支援の仕組みなどをまとめている。「1 なぜシニア人材の活用に取り組むの?」の「(1)旅行業界を取り巻く環境の変化」では、業界が今後10年で大量のシニア人材を抱えることをグラフや図で示し、環境変化に向けて、いま取り組むことの重要性を提示している。「(2)シニア人材の活用から得られるメリット」では、調査結果に基づくシニア人材の活躍ぶりの評価と企業が得ているメリットを図解し、先進企業の声を紹介している。「2 どうやってシニア人材の活用に取り組むの?」の「(1)シニア人材活用戦略の策定」では、10〜20年後に自社を取り巻く環境はどう変わるのか、シニア人材に期待するものは何か、シニア人材を活用するためにはどのような人事制度が必要か、という三つの項目をあげて、シニア人材活用戦略の策定方法を指南している。さらに「(2)従業員の年齢に応じた支援・取組み」では、シニア期の活躍に向けて、プレシニア期の従業員への働きかけが大切だが、取組みが十分に進んでいないと指摘。特に力を入れるべき取組みを従業員の年代(①プレシニア期、②定年を迎えるタイミング、③シニア期)に分け、三つのステップとして紹介している。いずれも先進企業の好事例を多数紹介しており参考になる。■プレシニア期/長期的な視点に立って定年後の就業について考え、準備を進めてもらうために、定年後の働き方や暮らし方に関する情報提供の仕方を紹介している。■定年を迎えるタイミング/定年にともなう変化について理解と納得を得るために、個別面談を推奨している。面談の際の、ていねいで重点的な説明を要するポイントを解説している。■シニア期/人事制度を工夫してシニア人材の活躍を実現させるための、就業継続意欲の維持に向けた取組みについて説明している。実際に自社の制度を確認し活用できる「制度設計チェックリスト」を掲載している。一般社団法人 日本旅行業協会旅行業高齢者雇用推進ガイドライン  〜シニア人材の活躍に向けて〜一般社団法人 日本旅行業協会連絡先:東京都千代田区霞が関 3―3―3     全日通霞が関ビル3階TEL:03―3592―1271FAX:03―3592―1268HP:https://www.jata-net.or.jp/産業別高齢者雇用推進ガイドライン4

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