エルダー2019年4月号
28/68

2019.426 生活費を勘案して水準を設定する、という考え方がある一方で、やる気を出して仕事をしてもらうために59歳以前よりも成果主義的な設定をし、うまくいっている会社もあります。 また、制度の設定後についても、職場の意見を吸い上げる仕組みを工夫されていたり、あるいは一度つくった制度もその後にいろいろな見直しをされているといった事例もあります。 当機構の事例集にもさまざまな事例を掲載しているので、参考にしていただければと思います。65歳以降の雇用について検討を開始社外での活躍も視野に入れる今野 最後に、これだけはいいたい、強調しておきたいということをお聞かせください。千 当社の60歳以上の社員の構成比は、いまは約10%でそれほど高くはないのですが、次第に高くなるでしょうし、65歳以降の雇用についても検討を始めているところです。 そうなると、学び直しの機会なども会社が提供しながら、社員のキャリア自律をもっとうながしていくことが大事になってくるということも考えています。その際にキャリアの領域が、社内に留まるのか、社外や地域社会にも向いていくのか。社外の活躍も視野に入れたとき、会社としてどういうことができるのか、このことも同時に検討していきたいと考えています。トップを巻き込んで人事が本気で取り組むことが重要能村 いわゆるシニアの活用について考えると、例えば取締役といった方々にはシニア世代が多い。つまり、会社を支えている経営層は、シニアの活躍をご自身で実践しているわけです。ですから、定年延長や継続雇用などの取組みを具体的に進める際には、経営層を巻き込んで、人事が真剣に本気で取り組んでいくことが、導入にあたってはとても大事になるということをお伝えしたいと思います。浅野 当機構の調査でも、この取組みにはトップを巻き込むことが大事だということが明らかになっています。一方で、人事のみなさんには、トップを本気にさせる、その力と役割があると、お話をしていて常々感じているところです。各社いろいろな課題、ご苦労があると思いますが、当機構では多様な支援策、ツールを準備していますので、ぜひご活用いただきたいと思います。今野 みなさん、ありがとうございました。本日は、「年齢にかかわらず、つまり、シニアも活用しないと損だぞ」、ということと、そのためには「本気にならないと動かない」、ということ。そして、「本気になった後、具体的にどういう手を打っていくか」についてお聞きすることができました。 企業の事情に合わせて、それぞれの取組みを進めていくしかないのですが、千さん、能村さんから、大変参考になる施策や考え方をお話しいただけました。したがって、答えはすべてみなさんのなかにある、というまとめで終わりたいと思います。 3人のパネリストのみなさん、どうもありがとうございました。浅野浩美 (独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用推進・研究部長)

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る