エルダー2019年4月号
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エルダー41同社に入社し、運転以外の業務に従事していました。事情によりいったん同社を離れましたが、34歳のときに運転士として同社に再就職し、貸切バスを担当。54歳からは路線バスを担当しています。長年バスに乗務する西さんは、「昔は運転士の業務は運転だけでしたが、いまはワンマンバスなので、一人で車内の機械操作をしたりと、やることがいろいろ増えましたね。その一方で、バスの性能も進化しており、ハンドルが軽くなって楽になりましたよ」とバスの今こん昔じゃくについて教えてくれました。健康の秘訣はしっかり睡眠をとることと、好き嫌いなく何でも食べること。「タバコはどうしてもやめられないですよ」といいながら困ったように笑っていました。67歳を迎え、会社の規定により3月31日付で契約は終了となりましたが、4月からは月あたり15日ほどの非常勤職員として働いています。「人の役に立っていることがやりがい」と語る西さんに、何歳まで働きたいかをたずねると、「元気であれば70歳まで働きたいです。これからも安全運転に努めます」と頼もしい返事が返ってきました。かわいい孫のために働き続けたい宮本竹幸さん(64歳)は、44歳で四国交通に就職しました。それまではトラックの運転手をしていましたが、学生時代の同級生が同社で働いていたことがきっかけとなり、同社に転職しました。「運転が好きで、自分が好きなことを仕事にしました。だから仕事はまったく苦ではありませんよ」と話します。西さんと同様に、市内を走る路線バスに乗り、1日3回ほどバスを運転します。いくつものルートがあり、毎日別のルートを割り振られます。山間の狭い道を走るのは常に神経を使うそうで、「今日も何事もなく一日が終わった」という、安堵感がやりがいだと語ります。宮本さんの元気の素は二人のお孫さんです。家のなかでサッカー、野球をするくらい活発な姉妹で、休みの日に二人と遊ぶことを楽しみにしています。「孫がいなかったら、とっくに仕事を辞めていたと思います。これからも稼いで孫のために使ってやりたい」と、家族の存在が生きがいになっている宮本さん。「67歳まで元気に勤めたい」と話してくれました。元気に勤めるために健康づくりにも取り組んでいます。好きだったお酒を3年前にやめ、間食もやめ、ご飯は「お茶碗に少なめ」を守っています。さらに、一日一万歩を目標に休憩時間を活用してウォーキングを続けています。近藤常務は「二人とも温厚で周りから慕われています。これからも働けるかぎり勤めてもらい、若手の手本になってほしいです」とその働きぶりを高く評価していました。四国交通は今年2月に新神戸への路線の乗り入れを開始しました。近藤常務は「今後も地元利用者のニーズに応え、既存路線の運行時間を見直すなど、サービスの向上に努めていきます」と抱負を語り、高齢者雇用については、「経験者であれば60歳以上であっても新規採用の可能性はある」との見解を示しました。 (取材・文 西村玲)路線バスの運転席でハンドルを握る宮本竹幸さん

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