エルダー2019年4月号
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にで健康安全職場づくり働けるエルダー43貴重なリターンを得るための、必要不可欠な投資そのものです。(1)通路、作業床、物置き場の分離と表示 高齢者は簡単に転倒します。転倒すると骨折して寝たきりになったり、余病を併発して死亡する場合があります。しかもその原因は、単純に、床の不具合です。 職場の床は、通路、作業床、物置き場の三つまずは転倒の防止をに分けられます。この三つに分けられるのは、作業者の行動と注意の払い方に、大きな違いがあるからです。 通路は、歩行にはまったく安全であると保障された場所。作業床は、作業者が各種の機械設備などに囲まれ、作業に意識を集中する場所。物置き場は、材料や道具などを置いてある場所で、それを出し入れする以外は、作業者の意識にのぼらない場所です。 転倒防止対策の第一歩は、作業者に、この三つの場所が明確に区別できるようにすることです。 図1は、通路、作業床、物置き場を色分けした線で区別した例です。このように区別すると、置いたものの角に足をひっかけてつまずくといったことはなくなります。(2)床のつまずき・滑りの防止 普通に歩いているとき、足は床から1㎝も上がっておらず、まして高齢者となると、ほとんど上がっていないといっていいでしょう。だから、自宅のような慣れた場所でも、1㎜や2㎜程度の畳のヘリにつまずいて転倒してしまいます。 職場で作業をしているとき、床の凸でこ凹ぼこに気を遣っている余裕はありません。だから、ほんの少しの床の凸凹でも、つまずき転倒します。そのため、職場での床材の剥はがれ・めくれは、ただちに修理しなければなりませんし、また、修理できるまでは、目立つように注意喚起をする必要があります。 また、建物の床には凸凹が多数あります。特に一般的なのは、ドアの下の敷居として5㎜から1㎝程の突起があることです。したがって、この敷居の部分で転倒するのはごくありふれた事故です。「段差注意」、「止まれ」などの標示で危険を知らせなければなりません(図2)。(3)履物の脱着場 履物の脱着は、片足立ちになったり、腰をか図1 色分け線などで区画化された通路・作業床・物置き場図2 凸凹部分の危険表示・注意喚起例

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