エルダー2019年4月号
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エルダー63らは大きな影響を受けましたし、百貨店の仕事では仕立て職人として厳しく鍛えられました。教室を開いてからは生徒に学ぶことも多く、たくさんの出会いに支えられ、今日まで歩いてくることができました。また、家族の協力が常に背中を押し続けてくれたことにも感謝しています。まさに﹃ものづくりは人づくり﹄だと、受賞を機にあらためて気を引き締めています。﹃現代の名工﹄の名に恥じないよう、精進します」という秋間さんの言葉に、佐々木さんはじっと耳を傾けていた。佐々木さんをはじめ、教室の仲間たちは、さまざまなコンテストへ意欲的に挑戦しており、秋間さんの指導にも力が入る。伝統の継承というバトンが確実に手渡されていく。創イングパルあきまTEL:048(986)6785http://sewingakima.web.fc2.com(撮影・福田栄夫/取材・永田佳)パンツスーツとして完成させてから秋間さんが絵の具で絵を施したものである。目を凝らしてみれば上着には海の風景が描かれ、パンツの裾にはビル群が描かれていた。「これは2011年の東日本大震災へ鎮魂の思いを込めてつくった作品です。裾に描かれたビルは、復興を願ったもので、背中の右肩には未来へ飛び立とうとするカモメを描きました。私ができることは洋服づくりしかありませんから、洋服というアイテムで東北の人たちにエールを送りたかったのです。私の場合、洋服をすべて縫い終わってから絵を描きます。洋服の前に立って描くので躍動感が出ると思っています。絵の腕を上げて、ドレスに絵を描く手法を極めていきます」。ものづくりは人づくり「時代を先駆けた細野久先生か教室風景。閑静な住宅街で熱い指導が続く裁断の作業中。仕上がりをイメージしながら鋏はさみを動かす平成30年度現代の名工の楯生徒や来訪者を四季折々の花が迎える東日本大震災からの復興の願いを込めたパンタロンスーツ。背中のカモメに東北の未来を託した

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