エルダー2019年4月号
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特集1エルダー7業界別 シニア人材の活かし方活躍する人材には世代を超えた共通点がある―当機構の「情報サービス業高齢者雇用推進委員会」の部会長として、ガイドラインをまとめていただき、ありがとうございました。そのなかで、「高齢者雇用を進める」ことだけにとどまらず、「年齢を重ねても活躍し続けられる人材」に着目され、30代、40代にも目を向けられました。その理由を教えてください。佐藤 高齢者雇用といえば一般的に50代後半から60代に焦点があたりますが、情報サービス産業はその世代のウエイトがそれほど大きいわけではありません。50代後半以降も視野に入れながら、いまの30代、40代が変化の激しい業界で企業に貢献するために、どのように仕事をするべきかに焦点をあてました。 分析にあたっては、各年代ごとに相対的に活躍している「活躍人材」と、そうでもない「普通人材」に分けました。そして30代の普通の人がより活躍するためには何をすべきか、さらに40代、50代の人が活躍するためには何が必要なのかを明らかにしようというのが、今回の調査研究で設定したテーマです。 「いま何が必要なのか」という視点でいえば、現時点で不足しているスキルや身につけるべきスキルが何かということはわかります。しかし、スキルが陳腐化するのは速いですし、いまの30代が40代に、40代が50代になったときに、どんなスキルが必要になるかはわかりません。そこで今回着目したのは、「コンピテンシー」つまり「行動特性」です。例えば40代で活躍している人の行動特性を30代が取れるようになれば、40代になっても活躍できるでしょうし、50代で活躍している人の行動特性がわかれば、40代の人が50代になっても活躍できます。―変化に対応していくために必要なコンピテンシーとは何でしょうか。佐藤 明らかになったのは、「活躍人材」には世代を超えて共通の特徴があることです。調査では30代、40代、50代以上の人材を「360度評価」によって行動特性を得点化し、平均値を超えた人を「活躍人材」、平均値以下を「普通人材」としました。 例えば30代の活躍人材と普通人材の行動特性のポイントの差を見ると、差が大きかった行動特性の上位三つは「独創性」、「挑戦力」、「好奇心」です。独創性とは、既存の枠にとらわれずアイデアを生み出す力、挑戦力とは困難な事柄に立ち向かいやり遂げる力、好奇心は、あらゆることに関心を持ち未知の事柄に取り組む力でシニア期に活躍するためには「変化対応行動」を磨くことがカギ聞き手●独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用推進・研究部 部長  浅野浩美特 別インタビュー中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授佐藤 博樹氏※所属・役職はインタビュー時のものです

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