エルダー2019年5月号
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特集エルダー11年下管理職のための年上部下マネジメント術④豊富な社外人脈⑤着実な計画遂行組織全体の強化のために、これらの強みを持った年上部下に対してどのような役割を付与していけばよいかを解説します。①高い技能・専門性専門性の高い職人タイプの技術は、さまざまな知識やスキルを統合して個人技になっています。それらをわかりやすく分解して、後輩に伝承していくことをになってもらいます。そのときに大切なのは「どの技術を」、「いつまでに」、「どうやって伝承していくのか」、「そのためには、どういうやり方で学ばせるのか」を明確にお願いすることです。具体的なアクションに落とし込み、実行を支援していきます。②円滑な対人対応対人対応力が高い人は、人をよく観察し、相手との適切な距離の取り方や反発を招かない接し方などを心得ています。また、だれとだれをつなげば双方にとってWin︲Winの関係になるのかも把握しており、利他の精神にあふれている人も少なくありません。したがって、顧客への提案や折衝、そしてクレーム対応といった役割をになってもらうとよいでしょう。③社内人脈(優れた社内調整)社内調整力が高い人は、社内に知り合いが多く、また調整をお願いしたい人にどのように依頼すればよいのか、だれに依頼することでだれがどのように動いて調整が進むのかを心得ています。ビリヤードのようにボールをどういう角度で打って違うボールに当ててポケットに落とせばよいのかをわかっていて、それが感覚的にできる人です。このような能力を活かすためには、他部署との窓口的な役割をになってもらうとよいでしょう。④豊富な社外人脈業務外で幅広い趣味を持って、社外のさまざまな人たちと交流するのが好きな人は少なくありません。同窓会の幹事を引き受けたり、地域活動など社外のイベントに顔を出したり、多くの人脈を持つ人です。そういう人には人脈の棚卸しをしてもらうなかで、営業ルートの新規開拓や新しいビジネスの協力先の紹介などの役割をになってもらいましょう。このことは本人のやる気を引き出すことにもつながります。⑤着実な計画遂行環境が悪くてもコンスタントに一定レベルの成果を出したり、どんな業務を任せても安定したアウトプットが出せるベテラン社員には、確実に仕事を進めるやり方を後輩に教える役割をになってもらいましょう。特に最近は、働き方改革によって生産性の高い仕事が求められていられます。また、会社としてもビジョンの実現に向けて付加価値を創出し、組織力も向上させるWin︲Winの関係を築くことが重要です。しかし、年上部下に対しては、上記のことが一筋縄ではいきません。年上部下に対しては「将来のキャリア」をテーマとした会話(キャリア言語)が有効に働かず、逆効果になることさえあるのです。例えば、役職定年となった50代半ばの部下に対して、年下上司が「将来のキャリア」について熱く語ったとしても、説得力、納得感に欠け、逆にしらけてしまいます。年上部下を動機づけるには、「将来のキャリア」よりも、「組織のなかで期待する役割」を認識・意識させ、「組織に対する貢献」によって動機づけることが有効です。(2)年上部下の強みを活用する年上部下であるシニア社員をうまく活用し、「組織全体の強化を視野に入れた対応」という観点でマネジメントを考えることが重要となります。そのために「年上部下の強み」に着目すべきで、主なものとして、次の五つが考えられます。①高い技能・専門性②円滑な対人対応③社内人脈(優れた社内調整)

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