エルダー2019年5月号
17/68

特集エルダー15年下管理職のための年上部下マネジメント術上司 新入社員の受入れのために、備品の発注マニュアルを、今月中につくっていただきたいのです。新人でも読めばできるようなものにしてください。作成にあたっては、図を多く使って、見てわかるものにしてください。それ以外のことは、すべてお任せします。部下 備品発注マニュアルなんて、ほかの人に頼んでよ。上司 新人に初めて任せる仕事になります。彼の人生の初仕事だからこそ、経験豊富な○○さん(年上部下)に作成をお願いしたいんです。部下 しょうがないなあ。年上部下がタメ口なのは、とりあえず置いておきましょう。この例で年下管理職は、原則に従って、ていねいな言葉遣いで、きっぱりとゴールを示しています。また、やり方については、「それ以外のことはすべてお任せします」と自由度を広くしています。そして「文字ばかりにせず」という否定的な表現ではなく、「図を多く使って」と肯定的な表現にしています。さらに、渋る年上部下に対し、相手を立てつつ、譲らず依頼をしています。指示を出す際は、このようにしましょう。日常コミュニケーションを改善年上部下が上からものをいってくるのは嫌ですが、がまんはできます。ただ、タメ口問題は、周囲への悪影響もあり、放置できません。これを改善していくには話合いが必要です。部下であっても年上は年上。人生の先輩であることに変わりはないため、敬意を持って対処します。会話例を見てみましょう。上司 今日は○○さん(年上部下)にお願いがあります。部下 なんだろう?上司 私は、人生の先輩として○○さんを尊敬しています。部下 へえーそうなの。上司 だから○○さんには敬語でお話ししています。部下 うん。上司 もし、○○さんが私を尊重してくださる気持ちを1%でも持っていただいているならば、敬語でなくてもよいので、もう少しだけていねいな言葉で話していただけないでしょうか。部下 うーん。この会話例のポイントは、「1%でも持っていただいているならば」というところです。これを、「ない」という相手はまずいません。たいていの場合、このような話合いをすれば改善できます。相手は威圧感がありますが、負けずにしっかりと向き合い、相手の目を見て話しましょう。管理者としてのスキルをアピールし本質的な課題解決を指示に従ってもらえるようになり、日常のコミュニケーションも改善すれば、状況はよくなります。ただ、このケースを根本的に解決するには、まだ足りないことがあります。それは、「年上部下が年下管理職を下に見ていること」を改めてもらうという課題です。この課題を解決するには管理職自身が仕事の力を示す必要があります。マネジメント力に加え、個々のタスクで力を見せることで、一目置かせます。このようにして関係を変えていくことが、根本的な解決につながります。上司 例えば、語尾を「です」、「ます」にしてくださるだけで十分です。部下 わかったよ。上司 ありがとうございます。

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る