エルダー2019年5月号
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特集エルダー19年下管理職のための年上部下マネジメント術いきます。このように、マンツーマンのコミュニケーションラインができたら、第2段階はグループのコミュニケーションの場をつくることです。それは、ミーティングの場がよいでしょう。単純なテーマでアイデア出しをしてもらうような場を設けます。例えば、「来期入ってくる新人にやってもらうとよさそうなこと」を挙げてもらいます。このときポイントになるのは、アイデアは一人一つずつ話してもらうということです。そうすると、口の重い年上部下にも必ず発言の機会がまわります。そして、もう一つのポイントが「アイデアは評価しない」ということです。たとえそれが、現実的に無理そうでも、評価せずに「なるほど」と肯定的にあいづちを打ち、ホワイトボードやノートに書いていきます。一通り意見が出たら、「おかげで発想が広がりました。参考にします」と終えます。こういう機会を重ねることで、無口な年上部下も発言するように仕向けていきます。このように、仕事上のコミュニケーションをある程度できるようにしてから、雑談にも混ざってもらうようにチャレンジしていきましょう。雑談を振るポイントは質問をすることです。相手の趣味に関して、「これから釣りをはじめるとしたら、何からやるとよいでしょうか」というように、教えてもらいます。教えることは、自尊心を満たすもの。乗ってくる可能性は大きいです。報・連・相を引き出すマネジメント前出の個別面談で進捗を確認すれば、ある程度状況が把握できるようになります。ただ、報・連・相は自主的にしてくれることが理想です。そのためのポイントは二つあります。一つは、やらざるを得ないようにすること、もう一つは「報・連・相をしてよかった」と思ってもらうことです。やらざるを得ないようにするには、仕事を依頼する際に、中間報告をするように求めるのがよい方法です。例えば次のようにします。設定は、週の始まり、月曜日の夕方だと思ってください。上司 ○○さん(年上部下)金曜日までに、顧客アンケートのとりまとめをお願いできますか。部下 ……むずかしいですね上司 概要で構いませんので。部下 ……それなら。上司 お願いします。水曜日の夕方に一度、こうしておけば、水曜日の夕方に中間報告をせざるを得なくなります。そして、中間報告をしてくれたら、必ずお礼をいいましょう。あまり進んでいなくても、「進捗を知らせてくださり、ありがとうございます」というように。そのひとことで、本人は「報告をしたことはよいことだった」と認識できます。また、ささいなことでも相談してくれたら、「打診してくださってありがとうございます」といいましょう。これらをくり返すことで、報告や相談をうながすのがよい方法です。持っている能力を発揮してもらうためにこのタイプの年上部下は、じっくりと取り組める仕事が向いています。また、仕事の精度は高い傾向があり、チェックや品質管理などの仕事に力を発揮することが多いもの。定期的な報告の場をつくりながら、一定の期間を与え、じっくりと取り組ませることが活用のポイントです。どんな状況か教えてください。部下 わかりました。上司 では、水曜日の夕方、お待ちしていますので、○○さんの都合のよいタイミングで声をかけてください。

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