エルダー2019年5月号
24/68

2019.522齢従業員や職場の活性化を支援するために、当機構が行っている研修(詳細は24頁参照)である。職場管理者に対しては中高年齢従業員の特性、活用方法などを、中高年齢従業員に対しては自己の職業能力特性を再認識させる。高齢期の職業生活に向けて意欲を高めることなどを目的に行っており、65歳超雇用推進プランナーまたは高年齢者雇用アドバイザーが講師を担当する。この研修は、当機構が経費の2分の1を負担するが、会社としてもコストがかかるほか、部署の中心をになう管理職12〜13人を丸1日仕事から外すので、生産力にも影響をおよぼす。しかし、齋藤プランナーからこの研修を提案されたとき、望月社長と野尻部長は、迷うことなく実施を決めた。「私どもの仕事は人によるものです。だれがやっても同じというものではありませんので、教育が何より大事だと考えています。研修で人が抜ける影響はありますが、働く人にとってプラスになりますし、長い目で見れば会社にもプラスです。いま、世の中では、70歳くらいまで働く流れがありますので、定年後も働き続けるために自分はどうすればよいのかという意識づけをしたいと考え、研修の実施を決めました」(野尻部長)と説明する。こうした考えから、研修では、「エンプロイアビリティー(雇用される能力)」についての解説に力点が置かれた。高齢者を取り巻く環境などを理解したうえで、定年までを漫まん然ぜんと過ごすのではなく、会社に必要とされる人材となるためには自分が何をすべきかを考えた。また、管理者としての基本的なマネジメントについても教わり、そのなかで、年上部下との接し方も学んだ。例えば、高齢の社員とのコミュニケーションについて自己チェックリストによって気づきをうながしたり、声かけを忘れない、要望や指示ははっきりと伝え、人生の先輩としての礼節を忘れない、といった関係づくりの基本も伝えられた。現在、同社における中間管理職は30代後半〜40代が中心。従業員は原則として同じ部署でキャリアを積んでいくため、定年前に立場が逆転することは起こりにくいが、定年後再雇用者の場合は部下という位置づけとなり、主に後進の指導を中心に担当する。「今後は部署間の異動についても考えていきたい」(野尻部長)とのこともあり、同研修の持つ意味は大きい。研修により、意識変革の必要性やコミュニケーションの重要性を理解研修後のアンケートでは、受講者全員が「よく理解できた」または「理解できた」、これからの就業生活に「かなり役に立つと思う」または「役に立つと思う」と回答した。野尻部長は、「みんな、講師の先生の話を真剣に聞いていました。『長く勤めるつもりではいたが、自分はどうしていきたいのかについて考えたことはなかった』という人が多く、さまざまな気づきが得られたようです。受講者は30代〜40代前半が中心ですので、定年後のことを考えたことがないのも当然といえば当然ですが、定年、さらには『70歳』という具体的な数字を示して解説していただいたことで、『この仕事を長く続けていくためには、なんとなく過同社のクリスタルガラス製品

元のページ  ../index.html#24

このブックを見る