エルダー2019年5月号
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2019.540生涯現役時代における高齢者雇用課題は高齢者のスキル習得 生産年齢人口が総人口の6割を切るなかで、高齢者の活用と戦力化が急務の課題になっている。実際に高齢者の就労意欲も高い。総務省の調査(2018〈平成30〉年9月16日発表)によると、2017年の60〜64歳の男性の就業率は79・1%、65〜69歳は54・8%となっている。65歳以上の人口に占める就業率は男性が31・8%、女性は16・3%と、いずれも6年連続で上昇し、就業者数も807万人と過去最多になった。 人生100年時代が叫ばれるなかで、長期就労は結構なことではあるが、企業にとって戦力化の最大の課題は「仕事に対するモチベーショ人はもちろん会社も予測できない。 ICT(情報通信技術)の進化やデジタル化の進展によって時間と距離が短縮され、市場の拡大と消費者ニーズの多様化を生みだし、ビジネスモデルが激しく変化する時代に直面している。少なくとも50代のシニアの段階からビジネスの動きを見据えて、新しいことを学ぶ習慣を身につけることにより、本人自身が技能を磨きつつ、ときおり軌道修正しながらスキル習得に向けて能動的に行動することが必要になる。 中・長期的に目ざすべきビジネスの方向性やビジョンを示しつつ、あくまでも自主性、能動性を尊重しながら、シニア層を含む高齢社員に対しては学ぶ機会や場の提供を含めて能力開発の支援を積極的に行い、スキル習得意欲の醸成ンの向上」と「必要なスキルの習得」の二つである。働く意欲が希薄でビジネスに必要なスキルを持ち合わせていなければ生産性の向上に結びつかない。 だが、現状では高齢社員のモチベーションの低下に頭を悩ませている企業も少なくない。定年後再雇用され、報酬は現役時代の半額程度という一律の処遇に加えて、仕事も現役社員の補助的作業という働き方がその背景にある。モチベーションを向上させるには基本給水準の引き上げや仕事の成果の処遇への反映、本人へのフィードバックによるメリハリのある人事評価制度の構築なども必要だ。また、スキルを習得するにはモチベーションを有していることが前提となるが、どんなスキルが必要となるのか本 生涯現役時代を迎え、就業期間の長期化が進むなか、60歳以降も意欲的に働いていくためには、高齢者自身のスキルアップ・能力開発が重要になるといわれています。つまり、生涯現役時代は「生涯能力開発時代」。 本企画では、高齢者のスキルアップ・能力開発の支援に取り組む企業の施策を、人事ジャーナリストの溝上憲文氏が解説します。高齢社員の磨き方―生涯能力開発時代へ向けて―高齢社員の高齢社員の―生涯能力開発時代へ向けて高齢社員の―第1回株式会社忠ちゅう武ぶ建けん基き(東京都杉並区)人事ジャーナリスト 溝みぞ上うえ憲のり文ふみ新連載

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