エルダー2019年5月号
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エルダー3定の分野のむずかしい仕事に高度なスキルを発揮するとか、後進の育成指導、プロジェクトに参加して専門家としてチームに貢献する。そんな役割を期待しています。 そうした人材を長期的に育成するため、この4月からは現役の社員にも、組織長のポストを目ざすキャリアだけでなく、専門職(エキスパート)を目ざすキャリアコースを明示し、組織長と同等に処遇する複線型人事制度※1を導入しました。―定年延長ではなく、再雇用で70歳までとしたのはなぜですか。堤内 現在は、定年後の再雇用を望まず、退職してセカンドライフを選択する人が2割ほどいます。60歳で退職金を受給する前提でライフプランを立てている人も少なくありませんし、持病があって働けない人もいます。現在当社では、65歳以上の人が30人近く働いています。社員の年齢構成から単純に計算すると、3年後にはこれが約90人、5年後には170人ほどになります。こうした状況も含め、定年延長するか否かを考えるためには、もう少し様子を見る必要があると思います。―貴社では2017年8月に「BR働き方改革推進室」※2を設置し、堤内さんはその室長を兼任されています。また、2018年4月には「ミサワホーム健康宣言」※3を制定し、健康経営にも取り組んでいますね。堤内 「働き方改革」というと、長時間労働対策が真っ先にあげられます。私たち建設業も、長時間労働の業界だと指摘されます。お客さまとの打合せなどのために、業務が夜間や休日におよぶ場合もあり、そうした指摘が当たっている面もあります。 しかし最近は、お客さまも夜間や休日の訪問を敬遠する傾向が強まってきました。また、夕方以降に業務が発生する場合でも、昼間は仕事が少ないこともあります。要は、業務量の多た寡かに合わせて、働く時間帯を柔軟にシフトすれば、より効率よく働けることになりま勢がなければ、パフォーマンスを上げ続けることはできません。「お客さまや会社から求められるような働き方を70歳まで続けるには、いま何をしたらよいか」という意識を、40代・50代のうちからしっかり持ってもらいたい。そのようなメッセージを込めて、70歳としました。―60歳以降のマイスター社員には、どのような役割を期待していますか。堤内 それまでの業務経験でつちかった知識やスキルが活かせる仕事ですね。例えば、特70歳まで活躍できる状態をイメージして若いうちからスキルに磨きをかける意識を※1 複線型人事制度…… 単一の昇進コースしかない画一的な人事制度に対し、働き方や昇進、昇給などキャリアの選択肢が複数ある人事制度※2 BR働き方改革推進室…… (BRはBusiness Revolutionの略)働き方改革の本格的な着手に向け2017年8月に設置された同社社長直轄の組織。働きやすい職場環境の整備を通して、従業員満足度と生産性の向上を目ざす取組みを推進している※3 ミサワホーム健康宣言…… 2018年4月に制定。従業員の健康管理の徹底や生活習慣病対策、メンタルヘルス対策などに取り組んでいる

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