エルダー2019年5月号
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特別企画1エルダー514月1日施行 改正労働基準法の要点2 年次有給休暇    (新労基法第39条および新労基則第24条の5等関係)(1)趣旨 年次有給休暇の取得率が低迷しており、いわゆる正社員の約16%が年次有給休暇を1日も取得しておらず、また、年次有給休暇をほとんど取得していない労働者については長時間労働者期間を加えたそれぞれの期間における時間外・休日労働時間数が1カ月あたりの平均で80時間を超えた場合、使用者に対しては、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金の罰則適用がある。施行期日 以上に述べた改正は、2019年4月1日から施行される。 ただし、中小事業主に対しては2020年4月1日から施行される。の比率が高い実態にあることをふまえ、年5日以上の年次有給休暇の取得が確実に進む仕組みを導入することとした※2。(2)年5日以上の年次有給休暇の確実な取得 (新労基法第39条第7項および第8項並びに新労基則第24条の5関係)① 使用者による時季指定 (新労基法第39条第7項および第8項関係) 使用者は、労働基準法第39条第1項から第3項までの規定により使用者が与えなければならない年次有給休暇(以下「年次有給休暇」)の日数が10労働日以上である労働者に係る年次有給休暇の日数のうち、5日については、基準日(継続勤務した期間を同条第2項に規定する6カ月経過日から1年ごとに区分した各期間〈最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間〉の初日をいう。以下同じ)から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない(図表2)。※2 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)図表2  使用者による年次有給休暇の時季指定◆年次有給休暇の時季指定義務 年5日の年次有給休暇を取得させることを企業に義務づけ年次有給休暇が年10日以上付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、そのうちの年5日について使用者が時季を指定して取得させることを義務づけ。労働者使用者労働者が使用者に取得時季を申出労働者の申出による取得(原則)労働者使用者使用者が労働者に取得時季の意見を聴取労働者の意見を尊重し使用者が取得時季を指定使用者の時季指定による取得(新設)(例)4/1入社の場合9/304/110/110日付与(基準日)10/1~翌9/30までの1年間に5日取得時季を指定しなければならない。4/1入社そもそも、①の希望申出がしにくいという状況がありました。我が国の年休取得率:49.4%(平成29年就労条件総合調査)「○月×日に休みます」「○月×日に休んでください」

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