エルダー2019年5月号
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2019.552 この場合の使用者による時季指定の方法としては、例えば、年度当初に労働者の意見を聴いた上で年次有給休暇取得計画表を作成し、これに基づき年次有給休暇を付与すること等が考えられる。 ただし、労働基準法第39条第5項または第6項の規定により年次有給休暇を与えた場合においては、当該与えた年次有給休暇の日数(当該日数が5日を超える場合には、5日とする)分については、時季を定めることにより与えることを要しない。すなわち、労働者が自ら時季指定して5日以上の年次有給休暇を取得した場合や、労働基準法第39条第6項に基づく計画的付与により5日以上の年次有給休暇を取得した場合には、使用者による時季指定は不要である。②労働者からの意見聴取 (新労基則第24条の6関係) 使用者は、新労基法第39条第7項の規定により、労働者に年次有給休暇を時季を定めることにより与えるにあたっては、あらかじめ、当該年次有給休暇を与えることを当該労働者に明らかにしたうえで、その時季について当該労働者の意見を聴かなければならない。 また、使用者は、年次有給休暇の時季を定めるにあたっては、できる限り労働者の希望に沿った時季指定となるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければならない。③年次有給休暇管理簿 (新労基則第24条の7および第55条の2関係) 使用者は、新労基法第39条第5項から第7項までの規定により年次有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日(第一基準日及び第二基準日を含む)を労働者ごとに明らかにした書類(以下「年次有給休暇管理簿」)を作成し、当該年次有給休暇を与えた期間中および当該期間の満了後3年間保存しなければならない。 また、年次有給休暇管理簿については、労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製することができる。 なお、年次有給休暇管理簿については、労働基準法第109条に規定する重要な書類には該当しない。罰則(新労基法第120条第1号関係) 労働基準法第39条第1項から第3項までの規定により使用者が与えなければならない年次有給休暇の日数が10労働日以上である労働者に係る年次有給休暇の日数のうち5日について、基準日から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えな よくあるQ&A等については、厚生労働省ホームページに掲載しているパンフレット「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」を参照ください※3。かった場合、使用者に対しては、30万円以下の罰金の罰則適用がある。施行期日 2019年4月1日から施行される。※3 https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf図表3 働き方改革関連法の主な施行日時間外労働の上限規制大企業中小企業年次有給休暇の確実な取得同一労働同一賃金大企業中小企業2019年4月1日~2020年4月1日~2021年4月1日~

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