エルダー2019年5月号
58/68

2019.556※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します島 健二 著/論ろん創そう社しゃ/1800円+税『THE21』編集部 編/PHP研究所(PHPビジネス新書)/850円+税八十歳から拡ひろがる世界会社に頼れない時代の「資格」の教科書近い将来、人工知能(AI)やロボットが世の中のさまざまな仕事をになうようになる、との話をあちこちで聞く。自分の仕事はどうなるのかといった不安を、働く人の多くが抱いているのではないだろうか。本書は、そんな時代に自分で自分のキャリアを切り開くために役立つ、自分に合った資格を見つけたい人を応援するガイドブックである。本文には、資格の達人に聞く「今、取るべき資格とは?」から、キャリアのプロに聞く「人生100年時代の『資格の活かし方』」や「キャリアに活かせる資格とは?」、「最短で『合格』を勝ち取る勉強法」まで情報満載である。発刊のきっかけは、月刊ビジネス誌『THE21』のオンラインサイト「THE21オンライン」に掲載された記事「40代からでも取っておきたい『資格』」が、ネット上で大きな反響を呼んだことを受けて、同誌でも特集を組んだところ、これまた好評を博したからとのこと。そして、本書をまとめるにあたって追加取材を行い、大幅に内容を充実させたという。できるだけ長く、安定した職業人生を送るためには、新たな資格を取得するのも一つの方法。いまからでも遅くはないことが実感できる。著者は1934(昭和9)年生まれの現在85歳。大阪大学医学部卒業後、徳島大学医学部教授などを歴任し、定年退官後は医師の勤めと併行して、大学や大学院で考古学や英米文学などの研究に従事した。63歳でフルマラソンに挑み、80歳以降もフルマラソンを完走するなど、簡単にはまねできそうもないスーパー高齢者である。そんな著者が、80歳以降に人間の心身機能は急激に低下するという通説を検証するために取り組んだ実験的試みの一端をまとめたものが本書である。第1章「八十歳の身体」では、自身のマラソン歴と80歳から始めた新たな練習法、そして80歳以降の身体の変調として「こむら返り」や「夜間頻ひん尿にょう」などの分析と解決策が紹介されている。第2章「八十歳の頭」では、孫を相手にした家庭教師の経験が脳トレにもなった経験が描かれている。第3章「八十歳の心と精神」と第4章「八十歳からの生き方」にも高齢者が自律的に生活を送ることの大切さが述べられており、科学的な視点に加えて、高齢者ならではのユーモアも感じさせる好著である。生涯現役で働くための方策や課題が随所に感じられるので、企業の人事労務担当者や安全衛生担当者にとっても一読の価値があるだろう。80歳を超えてからもフルマラソンを完走する高齢者の生き方・考え方職業人生を安定して送りたい人が手にしたい資格とは?

元のページ  ../index.html#58

このブックを見る