エルダー2019年5月号
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エルダー57日経産業新聞 編/日本経済新聞出版社(日経ビジネス人文庫)/ 700円+税岩田 徹とおる 著/生産性出版/1800円+税清水正まさ道みち 編著/経団連出版/2000円+税グローバル化や情報通信技術の革新が進み、異なる文化や習慣を持つ人材が多く働く企業では「インターナル・コミュニケーション経営」(IC経営)という考え方が徐々に広がりを見せている。IC経営とは「経営トップが組織的なコミュニケーション活動を経営の中核的企業行動のひとつととらえ、経営戦略を効果的に実行していく」もの。組織内で経営理念を共有し、イノベーションへつなげる取組みとされており、従来からの社内広報活動の概念を広げ、現代の経営環境に合わせた深化が意図されている。それではIC経営にはどのような取組みが求められるのか。読者に向けた回答として、本書には、グローバル展開を進める大企業から社員30人の小規模企業まで日本企業12社、そして米国企業9社の事例が紹介されている。各事例に目を通すことで、IC経営の多様な側面を理解することができるだろう。第5章には、企業事例に登場するIC経営のツールが紹介されているので、ここから読み進めることも可能だ。また、高齢労働者の活躍によってもたらされる成果を社内共有する必要性が、実感できるだろう。本書を手がかりにIC経営の第一歩をふみ出すことをおすすめしたい。目まぐるしく変化するさまざまな環境に対応しようと、多くの企業が新規事業の開発を目ざしている。また、シニアや女性、企業から独立した人などが新たなビジネスを始める機会も増えた。遠目には楽しそうだが、企業の新規事業開発チームの一員になったりすると、「何から手をつけたらいいのかわからない」、「自信がない」と悩み、苦しむ状況も少なくないという。本書は、新規事業開発のコンサルタントとして、企業の新規事業開発の支援などを手がける著者が、新規事業を立ち上げるときに必要な知識や手順、知っておきたい対処法などを具体的に解説。フェーズ1「新規事業の『考え方』と『陥りやすい罠』」から、事業を起こすまでの順を追って、「アイデア出しの原則」、「ふわっとしたアイデアを事業コンセプトにする」、「事業計画を仕上げる」などのポイントを説いている。さらに、「事業を起こす」という経験が与えてくれる個人の成長について綴っているエピローグも読みごたえがある。社内で新規事業に取り組むことになった人や定年後を見据えて起業を考えている人など、多くの人におすすめしたい一冊である。働き方改革の一環として、多くの企業が生産性の向上に取り組んでいる。残業時間削減の目標が掲げられる一方で、以前より短時間で効率的に仕事をしなければならなくなり、「仕事中に休憩を取りにくくなった」といった声も聞こえてくる。そのような職場で、生産性を向上させることができるのだろうか。本書は、雇用と労働をめぐって大きな転換点を迎えている現代の日本で、人を大切にしながら、先進的な働き方を実践している職場の実例を紹介する、日経産業新聞に連載された長期企画「働き方探検隊」を文庫化した一冊だ。各企業では、働きやすい職場をつくるための多様な改革が行われている。「好きな日に出社し、好きな時間だけ働くことができる職場」、「残業ほぼゼロでも12年間増収を続ける会社」、「ゲレンデや温泉の近くにオフィス」、「約70人が副業を持つ会社」など、その創意工夫は十社十と色いろ。「プチ勤務」、「社員の治療を支える制度」など、高齢者雇用の参考になる事例もある。とはいえ、そうした枠にとらわれず、経営層、一般社員、ベテラン、若者、日本人、外国人、男性、女性などさまざまな立場の人の胸に響く、働き方・働かせ方のヒントが満載である。人を活かし組織を変えるインターナル・コミュニケーション経営―経営と広報の新潮流事業を起こす人になるための本―ふわっと考えていることをカタチにする5STEPあの会社のスゴい働き方経営理念を共有し、イノベーションへつなげる新しい仕事にチャレンジするのは楽しい人を大切にしながら、先進的な働き方を実践している職場を紹介

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