エルダー2019年5月号
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2019.54ミサワホーム株式会社 常務執行役員堤内真一さんす。そこで、昨年度から試験的にフレックスタイム制を導入しました。今後、全社への展開を視野に検証を進めます。 長時間労働となる最も大きな原因は、仕事のプロセスで無駄なことをしているからです。横の連携がないために、同じ仕事を複数の部署で行っていたり、部署間のコミュニケーションが正確さや迅速さを欠いているために、手戻りや手待ちが増えてしまう。長時間労働対策は、労働基準法に違反しないことはもちろんですが、それ以上に、仕事のプロセスを見直して、より生産性の高い働き方に変えるという、本質的なところに手をつけないと意味がありません。当社の働き方改革に「BR(Business Revolution)」という接頭語をつけているのは、業務プロセスの抜本的改革を目ざしているからです。―働き方改革には、社員が抱えているさまざまな制約と両立可能な働き方を目ざす取組みも含まれていますね。これらの取組みと高齢者雇用との関係についてお聞かせください。堤内 中高年齢世代の社員について重視しているのが、介護離職ゼロの取組みです。とくに親が遠隔地で暮らしていると、仕事と介護の両立が困難で、退職を選択せざるを得ないこともあります。介護は「いつまで」と期間を区切ることもできません。それだけに長期にわたる場合には、経済的にも精神的にも、介護者の負担が大きくなり、退職して収入が途絶えると、持ちこたえられません。そこで、本人の希望があれば、全国のミサワホームグループ(MG)の事業所に転勤できる「MGファミリー全国転勤制度」を導入しました。介護が終われば、元の職場に戻れる仕組みです。―そして70歳まで元気に働くには、健康管理・健康増進の取組みも重要になります。堤内 そうですね。若いときからスキルを磨き続けるとともに、健康管理・健康増進の意識や生活習慣を身につけておくことが必要です。歳を取って健康を損なってからでは間にあわないからです。 例えば、この業界は喫煙率が高い傾向があり、禁煙対策は急務です。全社的に所定時間内は禁煙としてきましたが、その取組みをさらに進め、就業時間中は禁煙とします。つまり、残業時間中も禁煙ということです。禁煙外来の費用補助も行っています。 また、運動習慣を身につけるために、専用アプリをスマートフォンに入れて、毎日の歩数を記録し、会社でそれらのデータを収集するシステムを導入しました。今年2月には、1カ月間の一人あたり平均歩数を、社内の部署ごとに競う「ウォーキング・キャンペーン」を実施しました。任意参加としましたが、社内対抗というゲーム要素を取り入れたので、大いに盛り上がりました。各部署を担当する役員が一番燃えていたと思います。私もその一人です(笑)。 働き方改革や健康経営への取組みを通じて、シニアはもちろんですが、若手や中堅、そして女性がさらに活躍の場を広げる会社をつくっていきたいと思います。働き方改革の本質は業務プロセス改革健康管理・増進施策も重要に(聞き手・文/労働ジャーナリスト鍋田周一撮影/福田栄夫)

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