エルダー2019年6月号
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2019.614ましょう。ただ、「よい状態を維持しましょう」という掛け声だけで、維持することは困難です。職場の全員で整理・整頓・清掃の責任範囲を分担し、チームごとに5Sリーダーなどを定めて、監督・指導、さらにはパトロールを行うことで、維持というより目標(テーマ)を定めたレベルアップを目ざします。「躾」のポイント⑤躾の活動が最も苦手と考えている人が多いと思います。リーダーも部下も、守るべきルールやマナーを理解・実践していないことが多いのです。「法律や会社のルール、職場のルール、マナーを守りましょう」というだけでは、全員が理解することはできません。例えば、「階段の昇降では手すりを持つべきだ」と頭では理解しても、日常生活や公共の場所で全員が手すりを持ちながら階段を昇降しているわけではありません。従業員の年齢や経験は十人十色です。作業はすべて作業手順書で明確にし、職場のルールやマナーも掲示してください。リーダーは順守状況を見て、テーマを決めて強化期間を設けたり、ミーティングの機会などに徹底しましょう。5Sを維持・継続するためには(1)報告・連絡・相談をあたり前に行う環境づくり職場で異常があれば上司に報告すること。例えば、通路に油がこぼれていた場合、「この程度なら問題ない」と勝手に判断してしまったり、「ふき取るのが面倒」と放置してしまうと、それが原因で労働災害につながるおそれもあります。(2)あいさつを元気に行う環境づくりコミュニケーションの最初は、あいさつです。あいさつができなければコミュニケーションが不十分になり、意思疎通の不足が災害の原因となることもあります。5S推進事例の紹介(1)「5S3定掲示板」の作成(図表4)「3定」とは、「定置・定品・定量」のことで、物の場所・表示・数量を定めることです。項目ごとに改善計画を立て、現状と改善後の写真を掲示することで5S意識を高めることができます。(2)「ビフォー・アフター」の写真の掲示(図表5)パトロールで指摘した内容と、改善後の望ましい状況の写真を掲示し、よい状態と悪い状態を周知することが、5S意識を高めることにつながります。(3)見えないところを可視化(図表6)キャビネットの中は閉ざされていて何が入っているかわかりません。そこで、キャビネットの中の状態を写真に撮り、扉に掲示することで、キャビネットを開けなくても収納されているものがわかります。それと同時に、どのように収納すればよいかがわかるようになっています。(4)「環境整備リセット」見本の掲示(図表7)作業によってはどうしても物品が散乱することもあるかもしれません。しかし、作業の最後にどういう状態にすればよいかを示しておくと、作業終了後の状態を毎日同じ状態に保つことにつながります。おわりに高年齢労働者に優しい5S活動をするには、高年齢労働者に意見を聞くことが重要です。5Sパトロール員に高年齢労働者を加えるなどして、高年齢労働者の目線で「読みにくい」、「見にくい」、「使いにくい」、「覚えにくい」、「間違えやすい」などを見つけて改善するようにしましょう。

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