エルダー2019年6月号
19/68

特集エルダー17高齢社員が働く「現場の安全」を考えるは危険要因がひそんでおり、「不安全行動」や「不安全状態」などが発生すると、大きな労働災害につながるかもしれません。労働災害防止には、職場の危険を見つけることがとても重要です。「KYT」は住友金属工業株式会社が開発して広めたもので、多くの事業所によって発展し、「KYT基礎4ラウンド法」が一般的です。「KYT基礎4ラウンド法」の進め方は図表2の通りです。結び・KYT基礎4ラウンド法の進め方KYTの題材は市販のイラストや、職場の写真などを使いますが、できるだけ職場の実作業に近いものを選びましょう。このKYT基礎4ラウンド法を効果的に進めるためには、リーダーの役割が重要です。危険を見つける力〝危険感受性〞を育てるトレーニングですから、リーダーが危険のポイントを自分で発言すると教育効果がありません。リーダーは「この作業にはどんな不安全行動が考えられますか?」、「作業者が高年齢労働者だったらどうなりますか?」、「部品の持ち方はこれでよいですか?」、「明るさは問題ないですか?」など、質問をくり返して参加者に危険を気づかせるように進めてください。また、言葉だけでなく、作業を仮想した作業姿勢をすることによって、危険を感じることもあります。腰痛など身体的負荷の可能性もわかりやすくなりますので、実施する際は全員が作業時と同じ姿勢になって行えるとより望ましいです。KYT基礎4ラウンド法のトレーニングの人数は、リーダー、書記・記録係を含めて5〜6人ほどが適しています。少ないとすべての危険を見つけ出せないこともあります。また、多いと発言しない人が出てくることもあります。●第1ラウンド 〔どんな危険がひそんでいるか〕の進め方第1ラウンドではイラストから想像(予知)できる危険を見つけ出します(図表3)。このときに、「高い場所での作業だから落ちる」のような抽象的な表現ではなく、「○○なので、××して、△△になる」など、災害の要因を具体的に表現することで、対策に結びつけやすくなります。また第1ラウンドでは高年齢労働者の体力、行動などをふまえながら、勘違い・思い違いなどのミスを考慮することも重要です。図表3 イラストシートを参加者で確認図表2 KYT基礎4ラウンド法出典: 筆者作成ラウンド危険予知トレーニングの段階危険予知トレーニングの進め方1Rどんな危険がひそんでいるかイラストシートの状況のなかにひそむ危険を発見し、危険要因とその要因がひきおこす現象を想定して出し合い、チームのみんなで共有する。2Rこれが危険のポイント発見した危険のうち、これが重要だと思われる危険を把握して○印、さらにみんなの合意でしぼりこみ、◎印とアンダーラインをつけ「危険のポイント」とし、指差し唱和で確認する。3Rあなたならどうする◎印をつけた危険のポイントを解決するにはどうしたらよいかを考え、具体的な対策案を出し合う。4R私たちはこうする対策のなかからみんなの合意でしぼりこみ、※印をつけ「重点実施項目」とし、それを実践するための「チーム行動目標」を設定し、指差し唱和で確認する。

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る