エルダー2019年6月号
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エルダー35「珍味屋」が地場産業の街で創業つるさき食品は1978(昭和53)年に、鶴つる崎さき宗むね正まさ代表取締役社長が両親と社員2名で立ち上げた海産物加工の食品メーカーです。愛媛県伊予郡松まさき前町で創業しました。松前町はかつて、魚や煮干、珍味などを木製の桶やザルに入れて頭に乗せて松山市近辺を中心に行商していた「おたたさん」という女性たちの拠点として知られた地域です。いまも地場産業として小魚珍味の加工が盛んで、地元で「珍味屋」と呼ばれる製造業者が20軒あまり操業しています。つるさき食品では創業時からいりこなどの定番珍味を製造するかたわら、品質向上や新製品の開発を重ねてきました。そのかいあって、現在も主力商品になっている「ししゃもの浜焼き」、「はたはたの浜焼き」を開発。この「浜焼きシリーズ」は、おやつやおつまみとして手軽に食べられると評判を呼び、売上げは順調に推移。1982年7月には株式会社として新たなスタートを切りました。つるさき食品は創業時から、従業員のざっくばらんな意見や声を大切にし「『何でも聞けて何でも話せる』社内の雰囲気づくり」を心がけており、風通しのよい社風があります。2015(平成27)年に初めて同社を訪問した江戸プランナーは、「私が訪問することを事務所の社員全員が知っていて、気持ちのよい挨拶で迎えてくれました。社長を中心に、商品の品質向上に真しん摯しに取り組んでおり、高齢者雇用についても制度向上のため積極的かつ一歩進んだ取組みを行っています。他社の参考になる会社だと思います」と話します。高齢者雇用のさまざまな取組み同社は1985年時点で、すでに定年を65歳に制定しています。世の中に先駆けて行った定年延長について、宮本敬子専務取締役は「1980年代から若年者が製造業を敬遠する傾向があり、当時から若い人の採用は多くはありませんでした。将来、従業員の高齢化が進むことは必至で、会社の維持発展と、従業員が長く安心して勤められるようにするためにも、定年制度の改定は必要でし[江戸プランナーから]「企業に寄り添い、企業本位をモットーに活動しています。私自身も生涯現役を目ざして、社会の変化に対応すべく日々新たな挑戦に取り組み、スキルアップに努めています。『訪問先において十分に話を聴く→課題を見つける→提案→フォロー→生産性アップ→適正利益確保』というフローでプランニングを行い、特にフォローに重点を置くようにして、企業の存続・発展の力添えをしています」高齢者雇用の相談・助言活動を行っています◆同課の芦澤課長は、「江戸プランナーは15年目のベテランプランナーです。県内企業に顔が広く、おだやかな口調ながらも伝えるべきことははっきり進言するため、企業からの信頼も厚い方です。自身の豊富な経験と、退職後65歳で挑戦し取得した、ファイナンシャルプランナー2級の知識を活かし、的確な相談・援助活動を展開します。趣味のゴルフも楽しみ、生涯現役を体現した人生を送っています」と話します。◆愛媛支部は松山市中心部から車で約20分、松山空港の南側に位置します。近隣は工業地帯と住宅地が広がっています。◆愛媛支部高齢・障害者業務課では、6名の65歳超雇用推進プランナーなどを地域ごとに配置し、それぞれの専門性を活かした相談・助言活動を行っています。年間で約430件の相談・助言活動を展開し、平成30年度は企画立案を3件、就業意識向上研修を2件実施しました。相談・助言を無料で実施しています。お気軽にお問い合わせください。●愛媛支部高齢・障害者業務課住所:愛媛県松山市西垣生町2184 ポリテクセンター愛媛内電話:089(905)6780江戸幸男 プランナー (76歳)アドバイザー・プランナー歴:15年

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