エルダー2019年6月号
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エルダー37の銀行やメーカーで経理を担当し、珠算2級、簿記2級の資格を持っています。「入社当初から事務の仕事をしていましたが、社長から『経理を任せる』といわれたころから、会社の一員としての自覚をさらに強く持つようになりました。つるさき食品はそれぞれの自主性を尊重し任せてくれる会社だと思います。勤められて幸せです」と感謝の気持ちを語ります。上西さんは定年後も変わらずフルタイムの勤務を続けています。宮本専務は「事務的業務のことを何でも知っていて、私も含めて従業員の相談にのってくれる頼もしい存在です。まわりからの信頼も厚く、会社に欠かせない存在です」と評していました。会社全体を見渡し、サポートする役割 社内全体の業務をフォローし、社長の相談相手として頼りにされている土居道雄さん(70歳)は、44歳で入社し、今年で勤続26年目になります。以前は紳士靴問屋の営業、物流業務を担当しており、同社でも長年営業マンとして会社を支えてきましたが、2年ほど前、奥さんが体調を崩したことをきっかけにパートタイマーに転向しました。それ以来、特定の部署には所属せず、各部署の指導のほか、魚などの原料の整理、浄化槽の清掃、冷蔵庫の入出庫、焙煎作業、人手が足りない部署のサポートなど、社内全体のフォローを行っています。「営業から現場のことまで熟知していて、社長も頼りにしています。手先も器用なので土居さんにしかできないことも多いんです」(宮本専務)。例えば焙煎機を使う焙煎作業はコツがあり、社内で焙煎ができるのは土居さんともう1人だけとのこと。そのため、焙煎作業があるときは、優先的にその業務に就いているそうです。土居さんは現在の仕事の魅力について、「納期に合わせて各部門がスムーズに製品づくりを行えるように、下準備や段取りをフォローできる点です」と語りました。創業から会社を支えてきた鶴崎社長の両親は80歳ころまで元気に働いていたといい、その姿を見てきた鶴崎社長は「元気な高齢者に、みんなと楽しく働ける職場を提供するのが時代のニーズ」という考えに至ったといいます。この考えが定年延長や、高齢者雇用の取組みのベースになりました。立場や年齢に関係なく、みんなが会社の一員として品質向上に貢献しているつるさき食品。一方で宮本専務は「退職時期の見極め」に悩んでいるそうです。「元気なうちはいつまでも働いてもらいたいですが、高齢になると家庭の事情や体調の問題も出てきます。長く会社に貢献してくれた高齢社員が気持ちよく引退できるよう、しっかりコミュニケーションを取っていきたいと思います」と話してくれました。 (取材・文 西村玲)先んじて下準備を行い現場をサポートする土居道雄さん商品に貼るラベル作製をする上西八重子さん

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