エルダー2019年6月号
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2019.638ベテラン社員のキャリア形成をサポートするCareer Canvas Programシニア層を含む高齢社員の長期就労を見据えた能力開発をうながすには、あくまでも自主性や能動性を尊重した自律的なキャリア形成が前提となる。ソニーはもともと「自分のキャリアは自分で築く」という文化があり、自律的なキャリア形成を積極的に支援してきた。それをベースに、新たに50歳以降のベテラン社員のキャリア形成をサポートする「Career Canvas Program」を2017(平成29)年5月にスタートさせた。その背景について、人事センターEC人事部の大塚康統括部長はこう語る。キャリア研修は50~53歳と57歳時点の2回実施されるが、同社の最大の特徴は、研修後一人ひとりにメンター※1をつけて定期的に面談などでフォローアップを行っている点だ。「せっかく研修で将来のキャリアを考える気づきを得ても、職場に帰ると日常に戻ってしまう人もいます。そうならないようにマネジメント経験者がメンターとなって研修後も定期的にフォローアップします。メンターにはキャリアカウンセリングの国家資格を取得してもらい、メンティ※1が先々のキャリアを主体的に考えることができるようにフォローしています」50歳時点の研修受講者は約1000人。メンターは約30人。本業との兼任で全受講者にメンターがつくが、同じ部署の社員がつくことはな「ソニーの社員の平均年齢は約43歳ですが、年々上昇しています。バブル期入社組も50代に突入し、ベテラン社員の比率が増えていく流れは避けられません。これまで20年、30年と経験を長く積んだ社員に戦力としてどのように活躍してもらうのか、人事上の重要な課題の一つとして、50歳を超えたベテラン社員自らが、今後のキャリアを築くための施策について2015年から検討を始めました」プログラムは大きく分けて、新たなスキル習得を含む経験や知見の広がりを支援する制度と、それらを下支えする研修などの意識改革の二つから構成されている。下支えの部分が、50歳以降のキャリアを自ら考えるワークショップ型研修とメンタリング※1だ。ワークショップ型※1 メンタリング…… 人材育成手法の一つ。経験豊かな年長者(メンター)が、組織内の若手や未熟練者(メンティ)に対し、対話や助言により、自発的な成長を支援するもの 生涯現役時代を迎え、就業期間の長期化が進むなか、60歳以降も意欲的に働いていくためには、高齢者自身のスキルアップ・能力開発が重要になるといわれています。つまり、生涯現役時代は「生涯能力開発時代」といえます。本企画では、高齢者のスキルアップ・能力開発の支援に取り組む企業の施策を、人事ジャーナリストの溝上憲文氏が解説します。高齢社員の磨き方―生涯能力開発時代へ向けて―高齢社員の高齢社員の―生涯能力開発時代へ向けて高齢社員の―人事ジャーナリスト 溝みぞ上うえ憲のり文ふみ第2回ソニー株式会社(東京都港区)

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