エルダー2019年6月号
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2019.640クトは参加する社員が所属する組織のアウトプットとは異なる目的で行われることが多く、モチベーションの維持がむずかしいときもあるが、キャリアプラスで募集すると、本当にやりたい人だけが集められるという効果もある。先に紹介したフォローアップを担当するメンターもキャリアプラスで募集した。シニアソフトエンジニアの岡島寛ひろ明あき氏もメンターの一人だ。岡島氏は職場を活性化するために何かできないかと思い、キャリアコンサルタントの養成講座を受講した。「自分が学んだことを会社のなかで活かしてみたいと思ったのです。いざやるとなると、本業と兼務の仕事を主体的に自分自身で調整する能力が必要になってきます。もともと技術屋ですが、実際に違う業務に取り組んだことで、以前に比べて仕事に対する考え方がおおらかになりましたし、仕事のメリハリがつくようになりました」(岡島氏)大塚統括部長も「兼務先でも活躍する人は、いまの仕事もしっかりとやりながら新しい仕事に挑戦する。ということは効率よく仕事をこなし、その分生産性も上がっているのではないか」と評価する。「歴史が好きだから勉強したいということではなく、この資格を自分のキャリアのなかで活かしたいというように、何のためにその勉強をしたいのか、理由が明確であれば認めている」(大塚統括部長)もちろん仕事と関係するスキルアップのために制度を利用する人も多い。EC人事部キャリアサポート課の山下弘晃キャリアサポートマネジャーはこう語る。「中国語会話を勉強している社員は、自分が「Re︱Creationファンド」で多様なスキルの習得を支援キャリアプラスが現在の仕事の幅や能力を広げる場であるとすれば、将来のキャリアを見据えてスキル習得を後押しするのが「Re-Creationファンド」だ。キャリアプラスは若手も応募できるが、こちらは50歳以上に限定しており、保有スキルの向上や新たなスキルの獲得のための学びに自己投資をした場合、10万円を上限に補助する。しかも、いまの業務に関連するものだけではなく、新しいスキルやまったく異なる分野のスキルも対象とするなど幅広い。実際に社員のファンド申請例(図表)を見ても多様なスキルや資格の取得を認めている。「将来目ざしたいキャリアを広くとらえて、いまの仕事以外でのスキルアップを目的としてもよいことにしています。ベテラン社員も今後の長い職業人生での活躍を自ら考え、過去の仕事や実績にとらわれず勉強してほしいというメッセージです」(大塚統括部長)例えば、「歴史遺産検定」もその一つ。海外駐在経験のある社員が「定年後に自宅を改装して民泊を経営し、訪日外国人観光客のためのインバウンドビジネスを展開したいので、日本の歴史を学びたい」との趣旨で申請し、認められた。図表 多様なキャリアの実現に向けたRe-Creationファンド申請例◦ISO国際標準化人材育成◦中国語会話◦ホームページ/ Webデザイン講座◦キャリア支援 ファシリテーター養成講座◦ITパスポート◦ソフト(アプリ)技術習得◦3D CAD講座◦電気回路技術講座◦組織・人材プロフェッショナル 養成講座◦「家具の学校」授業料◦国家資格「全国通訳案内士」◦歴史遺産検定◦登録販売者合格指導講座◦MSオフィススキル向上  (MOS取得)◦英会話◦キャリアカウンセラー◦セミナー講師養成研修現在いまと同じ仕事新しいことへのチャレンジ保有スキルのメンテナンスこれまでと違う仕事

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