エルダー2019年6月号
5/68

エルダー3いことは何か、家族にどんな人がいるのか、あるいは会社の未来について語るとか、目の前の仕事ではない大きなことを話してもよい。親の介護が不安だといえば「よし、いざとなったら私が手伝ってやろう」と助け合える関係を育むことにつながります。効率化やムダの排除一辺倒ではなく、むしろムダな時間をつくることが感謝や信頼関係につながります。実際に幸せな社員は不幸な社員より創造性が3倍、生産性が1・3倍になることがわかっています。―第三因子の「前向きと楽観」、「なんとかなる!」という状態を会社がつくりだすことはできるでしょうか。前野 「なんとかなる!」と思えるようにするには、チャレンジできる環境があることが必要です。例えば新規事業で働くことを推奨するとか、やりたいことができる時間や仕事を制度化するなどの工夫です。周りが「なんともならないぞ」という雰囲気では、自分一人だけで「なんとかなるぞ」という気持ちにはなれません。結局、幸せは雰囲気で移るのです。これは不幸せも同様で、一人だけ幸せになることはありませんし、特に管理職が辛い思いをしていると、その職場は余計に不幸せになるものです。―職場の高齢化も進行しています。増え続ける高齢労働者が幸せを感じながら働き続けていくにはどうすればよいでしょうか。前野 実は幸福度の年齢別平均値は若いときから徐々に下がり、40代が底になって再び上がり、高齢になるほど高まっていきます。高齢になっても幸せに過ごすには、「やってみよう!」、「ありがとう!」、「なんとかなる!」、「あなたらしく!」という幸せ因子を意識することです。高齢になると「どうせ私なんか何もできない」と頭が固くなっていく傾向があります。そうならないためには新しいチャレンジが必要です。小さなことでもよいのです。60歳になっても本を読む、新しい学びをない仕事に思えますが、このネジが自動車に使われ世界中の物流に貢献していることを理解し、企業の理念レベルの高い視点を持つと、実は幸せになれるのです。 また、働き方改革を実現するために効率を重視するあまり、「ムダな会話や私語はやめよう」といっている企業もありますが、第二因子の「つながりと感謝」にとっては逆効果です。個人の信頼関係も薄くなりますし、むしろムダ話を推奨すべきです。午後の一ひと時とき、お菓子でも食べながら、自分が本当にやりた仕事の合間にムダな時間をつくることが社員の幸せと職場の活性化につながる

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る