エルダー2019年6月号
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2019.662必要に応じて補正用具などを使用することもある。着物を着る本人が苦しくなく、着崩れもしないように工夫しながら美しく着付けるで着物の着付を担当。現在も町田美容専門学校で若い人たちの着付指導にたずさわり、4年前から着付のボランティアも始めた。「児童養護施設で暮らす子どもたちの七五三のお支度に行かせていただいています。みんな本当に喜んでくれます。お祝いをした思い出や写真も残るので、一生懸命やらせていただいております」幅広い技能や業界の発展、人材育成などの功績により、2017(平成29)年、鈴木さんは厚生労働省が選定する「卓越した技能者(現代の名工)」に選ばれた。「感激しました。みんなも『おめでとう。名工ってすごいね』と褒めてくれました」と鈴木さん。その後も仕事に取り組む姿勢に変わりはないという。「名工であろうとなかろうと、お客さまが気に入って満足してくれなければだめです。お客さまが『ありがとう!』と笑顔を見せてくれると本当に幸せです」華文庫、胡こ蝶ちょう文庫など新しい帯結びを考案鈴木さんは、技能の習得には「まねをする」姿勢が大切だという。「いまの時代と私が学んだ時代とは違いますが、昔は先生のそばで、先生の仕事を見て自分で覚えろという教え方でした。先生がこっちへ手を動かしたら、自分もそういうふうに手を動かしてみる。まず目で見て頭で理解して、まねをすることが重要です。そうすると技能は身についていきます」若くして開業したので、当初は技術的な疑問や迷いもあった。「『これでいいのかしら』という感じだったので、開業してからもさらに勉強でした。本当に寝る間も惜しんで勉強しました」お店を開けてからお客さまがいなくなるまでが、営業時間だったこともあった。「朝7時に起きると、お店の前「子どものときの着付で、『着物はきれいだし、着るのも楽ちん』と覚えてもらえると、着物が好きになります」

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