エルダー2019年7月号
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特集エルダー19あなたの会社は大丈夫? トラブルから学ぶ高齢者雇用入門キャリア教育を通して、役職定年後のキャリアの確認、一般社員等として仕事に取り組むことへの心構えや意識づけ、ライン業務の遂行に必要な知識や能力などの習得・更新などを行い、役職定年後も引き続き一般社員等として活躍してもらうための準備を段階的に実施しておくことが求められます。このようなキャリア教育を通して、役職定年後の一般社員等としてのキャリアだけではなく、今後のキャリアについても考えてもらうことが必要です。定年後も継続して働くことが一般的になっている現在、その先にある定年後の働き方や生活を意識してもらう機会になり、定年後の継続雇用にもスムーズにつながります。左記に、管理職に対しキャリア教育を実施した事例を紹介します。これら事例の特徴は、もともと40代まで実施していたキャリア教育の対象範囲を50代にも拡げた点です。食品製造業のF社は、入社時から社員の自律的なキャリア形成を継続的に支援しています。節目ごとの自分自身のキャリアを考えるための気づきの場として、参加メンバーによる「自己理解」、「環境理解」、「行動計画立案」の3ステップのプログラムを実施するキャリア・ワークショップを入社4年目、10年目、40代のミドルマネージャー層に実施していましたが、65歳への定年延長を機に、50代にも拡大して2回(53歳時、58歳時)実施し、シニア期のキャリアを考える機会を提供しています。総合化学メーカーのG社は、人材開発の観点から30代、40代の総合職社員を対象としたキャリア研修を実施していました。最近になり、さらに50代以上の管理職層に対象を拡大。50歳時には経営管理職の希望者を対象に、外部講師によるキャリアの棚卸しと今後のキャリアプランの作成を1日かけて実施し、その後、上長による個別面談を行っています。また、55歳時には、課長と部長・事業部長(全員必須)とに分けて、50歳時と同じキャリア研修を行い、その後、人事責任者、キャリアアドバイザーとそれぞれ1回ずつ今後のキャリアに関する個別面談を実施しています。出典: 高齢・障害・求職者雇用支援機構『エルダー』2017年8月号を一部修正出典: 高齢・障害・求職者雇用支援機構『エルダー』2017年7月号を一部修正65歳定年制実施により50代へのキャリア支援の拡大50代の管理職層のキャリア支援の強化事 例2事 例3図表  F社におけるキャリア・ワークショップ体系対象入社4年目入社10年目40代53歳時58歳時方式必須必須応募型必須必須レベルキャリアを考える姿勢づくり自己のキャリアデザイン後半キャリアの自律確立シニアへの準備周囲の期待との統合わかる描ける(惑わず)開ける広げる活かすキーワード自己責任可能性の欲求第一人者・プロフェッショナル成長の再認識リバイタル図表  G社におけるキャリア研修の概要30代40代50歳時55歳時対象者主任クラス昇進者総合職経営管理職課長部長・事業部長方式必須希望者必須必須必須期間2日2日1日1日1日研修後のキャリア面談希望者希望者希望者希望者全員

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