エルダー2019年7月号
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2019.744期退職した後、ホテルに勤務しながらお母さまの看病をしていましたが、「母を看取った後、元気をなくしてしまって」と振り返ります。そんなある日、娘さんから訪問介護員養成研修(当時)の受講をすすめられ、3カ月間学んで修了。打ち込めることを見つけたことで、少しずつ元気を取り戻していったといいます。その後、小谷設計に入社し、「有料老人ホーム野いちご みつばち」で働いています。「娘がここで働いているのですが、まさか65歳の私が雇ってもらえるとは思っていませんでした」と公文さん。ヘルパーの勉強はしたものの、仕事として行うのは初めてだったので慣れるまではたいへんだったようですが、ホームの利用者の方の生活を支える掃除や洗濯、おむつ交換、お茶出し、食事介助などを担当して活躍。以前はフル◉ 介護なし業務スタッフ/業務のあらい出しを行い、資格が必要な介助作業と、資格なしでも行うことのできる清掃、食事の配膳などの仕事に分けて、介護未経験でも就きやすく、体力的に負荷の少ない業務のみを行うスタッフ制度を構築。これにより、従来から多様な人材を採用することができている。また、介護職は専門業務に専念できるメリットもある。◉ 夜勤専従スタッフの配置/夜勤専従の正社員、夜勤のみのアルバイト従業員を雇用している。これらの取組みにより、定年後も身体が続くかぎり働けることや、何か事情があっても業務や勤務時間を見直して働き続けられるということが従業員に浸透し、結果として、従業員の意欲と安心感が増しているといいます。同時に、事業拡大とともに従業員数が増え、一人ひとりに合わせた柔軟な働き方への対応が行いやすくなっています。今回は、65歳で入社して介護の仕事に初めて就いた女性従業員と、体力に合わせて業務内容と勤務時間を変更して仕事を続けている男性従業員にお話をうかがいました。「勇気や元気がいただける仕事です」公く文もん三枝子さん(67歳)は、公務員を50歳で早年年齢の引上げや柔軟な働き方への対応に取り組んできたといいます。具体的には、2016年に定年年齢を60歳から65歳へ引き上げ、希望者全員を67歳まで継続して雇用する制度を整えました。さらに、次の内容にも取り組んできました。◉ 柔軟な働き方への対応/面接時に働く際に必要な配慮を聞くほか、従業員へのこまめな声かけを行い、体調を崩した従業員や、家族の介護を要する従業員に対し、業務の見直しや勤務時間の相談に応じ、無理なく続けられるよう一人ひとりに合わせた働き方となるよう対応している。◉ 正社員雇用転換制度を整備/6カ月以上の業務経験を有し、正社員への転換の希望があり、その所属長より推薦を受けた従業員は正社員に転換することができる。同制度により、5年前は正社員数22人だったが、現在は従業員177人のうち、100人が正社員。◉ 研修受講費用の負担/実務者研修の受講費用を全額負担。受講を促進し、研修を修了した従業員には正社員への転換をうながす。60歳を過ぎた従業員も受講し、正社員へ転換している。◉ 有給休暇取得率の向上/「働き続けるためには休むことも重要」と考え、「休みやすい職場づくり」を推進。「お互いさま」の風土を育み、有給休暇の取得率はほぼ100%になっている。テキパキとした動作で洗濯をする、公文三枝子さん。有料老人ホームの利用者の生活を支えている

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