エルダー2019年7月号
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の懲戒処分の種類などは明示されておらず、ただ、同法第89条において「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」を就業規則において定めることができると触れられているにとどまります。現行法の下では、就業規則上に制裁の根拠を定めることにより、使用者が懲戒権を行使することが可能となると考えられており、①懲戒事由(懲戒処分の対象となる行為や禁止事項)および②懲戒の種類(戒告、譴けん責せき、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇など)を定めておくことが必要と考えられています。懲戒処分について1労働契約法第15条は、「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」と定めていますが、懲戒処分の根拠や種類については触れられていません。また、労働基準法においても、減給処分の限界などは定められているものの、それ以外懲戒処分を行うためには、就業規則上に懲戒の種類と懲戒の根拠となる懲戒事由の規定が必要です。また、懲戒権の濫らん用ように該当する場合は無効となるため、合理的な理由および相当性が必要とされています。これらの要素の判断にあたっては、不ふ遡そ及きゅうの原則、二重処分の禁止、平等原則などの要素が考慮されています。そのほか、懲戒処分の手続きに関して、弁明の機会を与えておくことや、懲戒理由を後日追加しないことなどについても留意が必要です。A※ 非違行為……違法行為のこと第15回 懲戒処分、業務請負と労働者性弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。2019.750知っておきたい労働法 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA& 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は&Q懲戒処分を行ううえでの留意事項について知りたい社内において従業員の重大な非ひ違い行為※が発覚し、懲戒処分を実施しなければならないと考えています。これまで、懲戒処分を実施したことがほとんどないため、懲戒処分を行うにあたって留意すべき事項を教えてください。Q1

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