エルダー2019年7月号
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エルダー63調整すると、道具としてぐんと格が上がる。目覚めるときがあるのです」沖田さんは近年、念願のオリジナルギターの製作に力を注いでいる。製作には、名器を修理してきた経験が役立っている。「修理の際は、憧れの製作家の名器を、一定期間預かります。詳しく見られるので、すごく勉強になりました。お師匠さんが何十人もいるという感じです」沖田ギターの最新作は「ドム」(DOM=ドレッドノート沖田正和の略)。大きくて厚みがあるボディー形状「ドレッドノート」の沖田バージョンである。「演奏家が『すげえなあ』と思ってくれるものを、体が動くかぎりつくり続けたいですね」沖田ギター工房http://okita-g.com本店:043(241)4855渋谷店:03(6805)1877(撮影・福田栄夫/取材・細井武)るのに最も合理的な方法を、いろいろ模索して編み出しました。精密な木工技術と高い塗装技術が前提です。使用できても、以前と雰囲気が違ってしまってはだめ。修理を意識させない仕上がりにこだわっています」名器を修理してきた経験を沖田ギターの製作に活かす修理には、ピッチが狂う、和音がしっくり合わないといったときの調整も含まれる。有名な楽器でも、演奏の道具としてよりよく使いたい場合、調整が必要だという。「プロの演奏家でも、細かいところを気にしながらそのまま使っている人もいるし、何とかしたいという人もいます。楽器に何を求めるかで調整方法は変わります。演奏家が気に入らないところを調整するのはとてもむずかしいのですが、どこまで要求に応えられるかが、腕の見せどころ。きちんと工房内の様子。割れ、剥がれ、反りの修理や塗装などを、それぞれの担当スタッフが綿密に進めているカンナ、ノミ、ヤスリなどのお気に入りの道具工場生産の名品を超えられるよう細心の注意を払って製作沖田正和さんとスタッフのみなさん製品が演奏家の良い相棒になれるようパーツも念入りにチェック沖田ギターのロゴは沖田さんが保護した黒猫がモチーフ

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