エルダー2019年8月号
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2019.812高齢社員を賞与・一時金の「支給対象としている」(「全員を対象にしている」+「一部を対象にしている」)企業は「65歳以上の定年企業」では84・5%、「雇用確保措置企業」では75・3%、「対象にしていない」企業は、12・7%と23・3%である(図表6)。支給対象としている企業における賞与・一時金の決め方について、現役正社員の決め方をすべての高齢社員に適用している企業は「65歳以上の定年企業」では80・5%、「雇用確保措置企業」では22・5%、一部の高齢社員に適用している企業が5・6%と8・4%、現役正社員と異なる制度を適用している企業が13・5%と67・9%である。継続性からみた60歳代前半層の人事管理の現状と課題3高齢社員の人事管理を設計するうえで最も重要な点は、高齢社員を「どのような仕事に配置して」(「配置の管理」)、「どのような就業形態のもとで」(「労働時間の管理」)活用するのか、また、働きぶりに対応して高齢社員に対して「どのような報酬を与えるのか」(「賃金等の報酬管理」)の三つである。この3点について、現役正社員の人事管理との継続性の観点︻ 14頁注︼から整理すると図表8のようになる。継続性の尺度は、得点が高いと人事管理の継続性が高く、得点が低いと継続性が低くなるように設計している。同表から明らかなように、「配置の管理」の面では、定年制の状況にかかわらず、役職者を除き現職継続が原則である。さらに「労働時間の管理」の面では、「65歳以上の定年企業」では現役正社員継続型が、他方、「雇用確保措置企業」では、所定内労働時間では現役正社員継続型が、残業手当がともなう所定外労働時間(残業時間)では現役正社員非継続型がとられている。このように労働給付にかかわる配置管理と労働時間管理では現役正社員と同じ、あるいはそれに近い雇用管理がとられているにもかかわらず、報酬管理では現役正社員とは異なる扱いをする傾向が強い。さらに、そのなかにあって全体的にみると、「65歳以上の定年企業」は現役正社員制度に近く(「統合型の人事管理」)、「雇用確保措置企業」は現役正社員制度から遠い(「分離型の人事管理」)存在にある。それでは高齢社員の報酬管理は現役社員と「何」が異なるのか。基盤システムと基本給に着目して整理してみよう。最初に、報酬管理の基盤となっている「社員(雇用)区分制度」および「社員格付け制度」についてみてみよう。定年制の状況にかかわらず、高齢社員を複数にグループ分けして管理する(「社員(雇用)区(注)高齢社員に社員格付け制度を導入している企業の回答出典:高齢・障害・求職者雇用支援機構(2018)『継続雇用制度の現状と制度進化―「60歳以降の社員に関する人事管理に関するアンケート調査」結果より―』図表7 60歳代前半層の昇格の状況格付け制度「あり」のうち、昇格の対象なしあり全部にある一部にある全員にない無回答雇用確保措置企業(N=2434)76.4 23.1 (N=563, 100%)9.9 17.8 59.5 12.8 継続雇用66歳以上企業(N=533)77.9 22.0 (N=117, 100%)8.5 22.2 53.0 16.2 65歳以上の定年企業(N=316)70.9 28.5 (N=90,100%)26.7 13.3 23.3 36.7 (単位:%)

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