エルダー2019年8月号
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特集エルダー13高齢社員のモチベーションの維持・向上のツボ分制度」を導入している)企業は少なく、特に、「雇用確保措置企業」ではグループ分けを行っている企業であっても現役正社員制度とは異なる基準でグループ分けを行っている。同様に、「社員格付け制度」を整備して、「仕事」や「能力」などに対応して高齢社員を複数のランクに格付けるという企業は、定年制の状況にかかわらず、多くない。「社員格付け制度」を導入している企業であっても、導入されている制度は、現役正社員制度に主に導入されている「能力」(「職務遂行能力」)ではなく、「仕事」に対応して高齢社員を複数のランクに格付ける仕組みであり、現役正社員に適用されている「社員格付け制度」の設計思想(外部労働市場の動向よりも、現役正社員の能力開発を意識した等級やランクが上がることを基準に制度が設計されていること)とは異なる思想で、高齢社員の格付け制度が設計されている(詳しくは、高齢・障害・求職者雇用支援機構(2010)『人事制度と雇用慣行の現状と変化に関する調査研究―60歳代前半層の人事管理の現状と課題』を参照)。さらに、報酬管理のうち最も重要な基本給についてみると、「社員格付け制度」が導入されていないことからも明らかなように、定年制の状況にかかわらず、報酬の基本を形成する基本出典:高齢・障害・求職者雇用支援機構(2018)『継続雇用制度の現状と制度進化―「60歳以降の社員に関する人事管理に関するアンケート調査」結果より―』(注1)表は60歳代前半層社員に適用される人事管理が59歳以下の正社員に適用される人事管理との類似度を測定している。(注2)得点の計算方法については、現役正社員と高齢社員全員が同じ仕組みであれば「4点」、一部の高齢社員が同じ仕組みであれば「3点」、現役正社員と高齢社員が異なる仕組みの場合は「2点」、高齢社員が対象でない場合は「1点」としている。なお、該当する施策を現役正社員に実施していない場合は、集計から除外している。2.5点よりも大きい場合、60歳代前半層社員の人事管理が現役正社員と類似する傾向(継続性が高い)にあり、2.5点よりも小さい場合には、異なる(継続性が低い)と判断できる。(注3)役職の継続状況及び仕事内容の継続性の得点化については「高齢社員の8割程度~ほぼ全員が役職継続者・仕事内容継続者」であれば「4点」、「高齢社員の半数程度が役職継続者・仕事内容継続者」であれば「3点」、「高齢社員の1割~2割程度が役職継続者・仕事内容継続者」であれば「2点」、「高齢社員の役職継続者・仕事内容継続者は少数~1人もいない」であれば「1点」として計算している。(注4)所定内労働時間及び所定外労働時間の得点化については「高齢社員の8割程度~ほぼ全員が現役正社員と同じ所定内労働時間・所定外労働時間」であれば「4点」、「高齢社員の半数程度が現役正社員と同じ所定内労働時間・所定外労働時間」であれば「3点」、「高齢社員の1割~2割程度が現役正社員と同じ所定内労働時間・所定外労働時間」であれば「2点」、「高齢社員と同じ所定内労働時間・所定外労働時間は少数~1人もいない」であれば「1点」として計算している。図表8 定年制の状況別にみた高齢社員の人事管理(現役正社員の人事管理との継続度)雇用確保措置企業継続雇用66歳以上企業65歳以上の定年企業人事制度(基盤システム)社員格付け制度1.37 1.36 1.73 社員区分制度1.52 1.55 1.93 配置・異動役職の継続状況1.72 1.82 2.39 仕事内容の継続性3.23 3.33 3.65 就労条件(労働時間)所定内労働時間3.66 3.59 3.75 所定外労働時間2.38 2.67 3.40 評価人事評価2.15 2.33 3.03 報酬制度基本給の決め方2.31 2.56 3.49 昇給1.63 1.88 2.71 賞与・一時金2.18 2.39 3.32 昇格1.75 1.84 2.68 退職金・慰労金の決め方1.35 1.59 3.40 (単位:点)

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