エルダー2019年8月号
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特集エルダー15高齢社員のモチベーションの維持・向上のツボ高齢法の改正で「いられるのが当然」という意識が蔓まん延えん大木 本日は、60代前半層、特にホワイトカラーの働く意欲、モチベーション維持の問題にスポットをあて、企業がどう対応してきたか、今後どう対応していくべきかを、人事・教育にご経験の深いお2人にうかがいたいと思います。 株式会社前川製作所は、「定年ゼロ」と呼ばれる継続雇用制度を採用し、古くから高齢者が活躍する企業として知られています。大嶋さんは、同社の人材育成に長くたずさわり、高齢社員の意欲向上にも取り組んできました。小西さんは、現在の所属企業の親会社である日本水産株式会社において、現役社員および再雇用者の人事制度設計などを担当し、世間に先駆けて導入した職務・仕事基準の人事制度の導入・定着に尽力してきました。 まずは、お2人の会社の高齢者雇用の枠組みについて、改めて簡単にご紹介いただけますか。大嶋 前川製作所は、1976(昭和51)年に、「定年は数字としてはあるが、定年以降も働き続けるのが自然な形であり、いろいろな職場にいろいろな世代の人がいて一緒に仕事をしていくのがあたり前」という趣旨の経営者の考え方を明文化し、世の中では「定年ゼロ」といわれています。実際は定年がないわけではなく、多くの企業と同様、60歳を定年としています。 ただ、再雇用の上限年齢は定めておらず、現在の最高齢者は今年80歳になる2名です。圧縮機の改善・改良や、国内外の小集団活動の指導者・事務局補佐として活躍してもらっています。小西 私はいま、日本水産株式会社の子会社である日本クッカリー株式会社という会社に出向していますが、今日は、私が主にたずさわってきた日本水産の取組みについてお話しさせていただきます。日本水産の定年年齢は60歳で、その後は65歳までの再雇用制度を設けています。取組みの特徴は、現役世代に役割等級制度を導鼎 談 企業の人事・教育担当者を招いた鼎談をお届けする。司会・進行は、総論に引き続き、企業の人的資源管理に詳しい玉川大学経営学部国際経営学科の大木栄一教授。ご参加いただいたのは、株式会社前川製作所コーポレート本部人財部門の大嶋江都子係長と、日本クッカリー株式会社総務人事部の小西敦美部長である。高齢者雇用の先進企業といえる両社が、高齢社員のモチベーションの問題にどのように取り組み、今後に向けてどのような課題意識を持っているのか、ざっくばらんに語っていただいた。高齢者の労働意欲の変化に人事はどのように対応すべきか小西 敦美氏小西小西小西敦美日本クッカリー株式会社 総務人事部 部長株式会社前川製作所 コーポレート本部人財部門 係長コーポレート本部人財部門コーポレート本部人財部門コーポレート本部人財部門係長大嶋江都子氏玉川大学 経営学部 教授大木 栄一氏

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