エルダー2019年8月号
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2019.822こともあり、対応していました。現場の管理職が高齢者を説得できないときは、私が直接話しに行くこともありました。大木 それは管理職にとっても心強いですね。制度もさることながら、結局は人事や関係者が現場の管理職とコミュニケーションを取ることが大事です。小西 その一方で、管理職のなかには、高齢者の扱いに困っていても、人事に相談しない傾向もあります。会社に対しては、パフォーマンスを発揮してがんばっている姿をみせたいので、弱みはさらけ出さない人が多いですね。大木 人事に弱みをみせたがらない管理職も多いなか、直接、現場の管理職と話をして情報交換をする機会もあるのですか。小西 工場や支社などに行き、「〇〇さん、最近元気ないけどどうですか」などと話すようにしています。現状では、何か問題が起きたときなどにしか行けていませんが、本来は定期的に行くべきと考えています。大嶋 定期的に行っていないと、「人事が来た」、「何かトラブルか?」といううわさが社内に広がったりしますよね(笑)。大木 現場の管理職がいつでも相談できる体制を用意しておくのと同時に、インフォーマルな形でも情報交換をすることが大事だということがよくわかりました。仕事・成果・給料を一致させ人事が現場と協力して納得を得る大木 管理職が受入れを渋ったことに対し、人事がお願いして受け入れてもらった場合、その高齢者について管理職から不満などが出てきたらどうしますか。小西 仮に「パフォーマンスが悪い」、「こんな高い給料は払えない」といわれたとしたら、その人の能力が発揮できる仕事に就けさせて、その仕事に応じた等級に再格付けするようにアドバイスします。大木 日本水産さんでは、制度的にそれができますよね。仕事と成果と給料のバランスがとれていれば、会社としてはそれでよいわけです。そして、それに本人が納得していれば、管理職としても大きな問題はない。本人が納得できないときは、人事を含めてトータルで話して説得するのですね。小西 そうです。60歳で給料が大きく下がり、モチベーションが下がりますから、まずはそこを納得させることが大事です。事前にやっておけばすむ話であり、当社も、そのために55歳で研修をしているのですが……。大木 そこは手間をかけるべきところですが、なかには研修を受けても、60歳以降の準備ができない人もいる。再雇用者を抱える管理職への支援も欠かせませんね。小西 55歳の研修では、10人いたら7〜8人は気づいていない感じがします。だから、60歳になって給料が下がったときに「あれ?」となる。 余談ですが、私が立ち上げ時から参画しているNPО法人で、キャリアに関するセミナーなどを実施しています。女性は幅広い年齢層から危機感を持って参加されるのですが、男性は、60歳を過ぎて問題に気づき応募してくる人が大半を占めています。大木 もっと早めに気づいていれば、60代前半になって悩むことはないのですが、やはり、「60歳までは、余計なことを考えずに会社のいうことを聞いていればいい」という意識の人が多いのでしょう。社員に外部労働市場を意識させ視野を広げていく大木 最後に、今後の高齢者雇用についてうかがいます。いまの50代前半、いわゆる「バブル世代」は人数が多く、正社員も非正規社員もいてバラツキも大きい。この世代が高齢者になったとき、どんな問題が起こると思いますか。小西 バブル世代は日本水産でも人数が多いの鼎 談

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