エルダー2019年8月号
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2019.840を探っていたときに、カーリースメンテナンスの話が出てきたのです。カーリースメンテナンス業務の導入は社員の負担軽減だけでなく、定期的な売上げも見込めるという、一いっ挙きょ両りょう得とくの妙案でした」現在は、工場長の職を退き、お客さまサービス係のアドバイザーとして、営業を担当。お客さまに電話をかけ、次回の車検の案内やタイヤ販売などを行っています。「立ち合い車検1件あたりの所要時間は1時間ほどで、回転率がいいですね。タイヤは月間平均で240本ほど売れています」と、その営業感覚は衰えを知りません。加藤さんは原則週2〜3日の平日に出勤していますが、古くからつき合いのあるお客さまの対応もあり、土日に出勤することもあるそうです。「昔進んでいるにもかかわらず、規程の整備が追いついていない印象でした。まずは会社の求める人材像を明確にし、その条件に当てはまる従業員を、一部に限定せずに70歳まで継続雇用する制度を導入したらどうかとすすめました」。さらに、高齢社員のモチベーションの維持・向上という観点から、高齢社員の意欲を高めるための簡易な評価面談システムや第二退職金制度の導入、処遇改善などについても提案を行っているとのこと。「高齢社員の活躍のためにも、会社に負担がかからない範囲でできるよう提案中です」と話します。今回は、70歳を超えても同社で活躍するお二人にお話を聞きました。営業経験を活かす「お客さまサービス係」 加藤裕ゆたかさん(71歳)は、専門学校卒業後に松岡モータースに入社して勤続52年になります。整備士2級の免許を取得しており、整備士として入社しました。しばらくして営業職に転身。そこでメキメキと頭角をあらわし、定年のときには工場長を務めました。かつて会社が一般メンテナンス事業から法人向けカーリースメンテナンス事業に舵を切った経緯についても記憶が鮮明で、「一般の大型トラックのメンテナンスは時間もかかるため、残業せざるを得ない状況でした。その解決策す。定年後は、原則的に正社員はパート社員に切り替わり、時給制に移行。業務は定年前とは異なります。契約は半年更新とし、就労条件などの要望を確認し、それぞれの事情に応じた勤務形態で働きます。高齢社員が働きやすい職場環境整備として、駐車場のスロープに手すりを取りつけています。以前、このスロープで高齢社員がすべって転倒したことがあり、安全を確保するために設置したものです。ほかにも、段差のない自動ドアの設置など、社屋の改善を徐々に進めており、高齢者を含む、だれもが働きやすい職場づくりに努めています。福井プランナーは、2018年6月に初めて松岡モータースを訪問。その翌月に、継続雇用年齢の引上げを提案しました。「高齢者雇用の実態が素材がむき出しだったスロープに敷物を敷き、手すりを設置して転倒防止を図るお客さまに電話で車検の案内をする加藤裕さん

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