エルダー2019年8月号
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エルダー41からのお得意さまにも高齢者が増えてきて、廃車の相談をされることもあります。そうした相談に対応するのも大切で、今後、お子さんやお孫さんの世代までおつき合いをつなげていきたいと思っています」と語ります。加藤さんは運動神経抜群で、50歳で陸上を始め、70歳になった昨年まで100m競技でマスターズに出場していました。今年からスポーツはゴルフにしぼり、シングルスコアを目標にしているそうです。お客さまの声に応え定年退職から半年後に職場復帰松本勇いさむさん(71歳)は、実兄が経営していた自動車販売会社を15年ほど手伝った後、34歳で松岡モータースに入社しました。所長として定年を迎えるまで、福岡市内の赤坂営業所に勤務してきました。定年後は退職をして会社を離れましたが、お得意さまから「松本さんにお願いしたい」と携帯電話に連絡がくることが多く、求めてくれる声に応えたい気持ちから、半年後に職場復帰しました。現在は加藤さんと同様お客さまサービス係のアドバイザーとして、平日2〜3日、8時から17時30分まで働いています。午前中は外回りをし、午後は請求書のチェックなどの事務作業を行っています。松本さんが長年担当してきたお得意さまの一つに魚市場があります。魚市場では特殊な車両を扱い、早朝の時間帯に営業しているため、午前2時、3時に鳴る緊急の電話に長年対応してきました。こうしてつちかったお得意さまからの信頼が、松本さんのやりがいになっています。「いまも昔と変わらず一生懸命仕事をしています。これからも精一杯がんばっていきたい」と語る松本さん。73歳まで仕事を続けたいと考え、健康づくりのために週3回ゲートボールに参加し、自転車で坂道を登るなど足腰を鍛えています。総務部の松岡さんは、「近年は高齢の人ほど、所有する車を長く大事に乗り続けたいと考える人が多く、こうした高齢のお客さまに対し、ベテランのお二人がつちかってきた知識、対応力が役立っています。無理せず、できる範囲でいままでのお客さまを大事にしてもらいたいと思っています」とお二人への期待を話します。60歳以上の高年齢者を新規で採用同社は60歳以上の人が13人、65歳以上の人が7人働いており、お客さまサービス係だけではなく、整備の現場などで長年活躍している高齢社員もいます。「『先輩』の立ち位置で若年層の指導役になっています。安全第一で、集中力があり、仕事に対する真摯な姿勢はみんなのお手本です」(松岡さん)一方で、別会社を定年後、60歳以降に同社に再就職した人が10人在籍しています。そのほぼ全員がお客さまの自動車を引取り・納車をする「納のう引びき係」を担当。ベテランらしい慎重な運転が、納車という最後の重要な仕事に活かされています。今後は、高齢社員のための、負担の少ない新たな職域として、福岡市内を拠点に巡回サービスカーに乗り、車検日や定期点検日の案内、整備、調整といったバックアップを行う巡回サービスなどの充実に取り組んでいくとのこと。同社の取組みと、高齢社員のさらなる活躍に期待が高まります。 (取材・文 西村玲)電卓を叩いて請求書をていねいにチェックする松本勇さん

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