エルダー2019年8月号
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エルダー3です。65歳定年になったために、「次は私が部長になる時期だったのになれない」と思えばモチベーションも下がります。それは製造現場の「職長」も同じです。そこで60歳を超えてライン長を続ける者がいてもよいが、その役割にふさわしくない、世代交代をしたほうがベターであると判断すれば、65歳の定年前に交代させることを宣言しています。場合によっては50代での降職もありえますし、適材適所による運用を積極的に行っていくことにしています。―60歳以降も59歳以前の処遇体系と同じだと、社員の納得度は高いと思いますが、実際の社員の反応はいかがでしたか。玉置 去年の5月から労働組合と一緒に社員・組合員に説明してきましたが、処遇や役職も変わらないので、制度面への不満の声はありませんでした。現場の声で最も多かったのは、「いまの仕事を65歳まで続けられるのか」という体力面の不安です。製造現場は自動化されているわけではなく、交替勤務もあれば残業もあります。暑いなかでの作業もあります。スポットクーラーを取りつけるなど、昔に比べれば改善されているものの、社員のなかには、「本当に交替勤務を続けなければいけないのか」、「あと5年やれといわれても体力が持たないし、自信がない」という声があるのも事実です。 そういう意味では、今後は働き方をどうしていくかが一番の課題だと思っています。会社としては定年が65歳になった以上、従来と同じように100%の力を発揮してほしいと考えています。これまでも健康面や体力面で問題がある人には配慮をしており、その点は変わりませんが、「がんばれる力がある人はがんばっていただきたい」というメッセージを労使双方から発信しています。―働く環境を改善していくには、働き方改革も重要です。2018年からは「働き方改革アクションプラン」を策定し、長時間労働長待遇」などと呼ばれる待遇職の管理職が一定数いました。お客さまからは、「名刺交換をしても、だれがライン長なのかわからない」という声もあり、今回の改定では、ライン長と区別するために待遇職の管理職は「担当」を頭につける呼称で統一しました。同時に、ライン長と待遇職で同じ額だった役職手当を見直し、ライン長の手当を高く設定し、役職賞与でも明確に差を設けました。 ただし、ライン長になる人のモチベーションを上げる一方で、世代交代ももちろん必要60歳以降も役職定年を設けず現役世代同様の活躍を期待

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