エルダー2019年8月号
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582019.8※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します等身大の事例を通じて、これからの時代の働き方を紹介日本でいちばん女性がいきいきする会社プレップ労働法 第6版森もり戸と英ひで幸ゆき 著/弘こう文ぶん堂どう/2000円+税坂本光こう司じ、藤井正隆、坂本洋介 著/潮うしお出版社/1500円+税働く場における女性の活躍を推進することが、いま、なぜ求められているのか。よくいわれるように、労働力人口の減少の問題が理由の一つとしてあげられる。本書の著者は、このことのみならず、従来の工業化社会、ハード優先型社会、成長優先社会においては女性の活躍の場がかぎられていたが、これからさらに進んでいくソフト・サービス化社会、人間最優先社会においては女性が活躍することが新たな前提になっていくこと、また、企業経営の面からみても、生活者の感性や感覚がより求められるようになり、女性の視点がさらに重要となって活躍できる場面が増えていくという見解を示し、女性の活躍推進の重要性を説いている。そして、女性が実際に活躍している10社の事例と、女性の働きやすさ指標(50項目)などを通じて、女性がいきいきと働くための取組みを紹介。また、女性活躍推進に求められる八つの要素をあげて解説している。事例は、多様な業種の中小企業のもので、取組みを独自に工夫したり、失敗を教訓にしたりして歩みを進めてきた等身大の内容だ。これからの時代のワーク・ライフ・バランスを考えるうえでも、いろいろなヒントを与えてくれる。「働き方改革関連法」が順次施行され、定評のある労働法の解説書も改訂版が出そろってきた。本書もそのうちの一つで、2006(平成18)年に初版を刊行してから順調に版を重ね、このほど今回の法改正と注目すべき最高裁判例を反映した最新版が刊行された。本書は、法学部の学生が法律の専門教育を受けるまでの「橋渡し」の役割を果たすシリーズとして刊行され、わかりやすさに工夫が凝らされている。随所に職場で実際に交わされているような会話(セリフ)が挿入されていて、「実際にどのような場面で、何が問題となるのか」をストレートに理解することができる。人事異動などによって、新たに人事労務担当者となった人にとってもハードルが低く、労働法の全体像を短時間で把握する際の「最初の一冊」として最適だろう。加えて、「事項索引」と「判例索引」が充実しているので、経験のある担当者が直面している課題の解決策を検討する際にも、十分役に立つと思われる。300頁を超える分量がありながら、重量感を感じさせないのは、使用した用紙に工夫があるからだという。内容面に加えて、体裁面での工夫も光るおすすめの一冊だ。労働法の全体像を把握したい人のための「最初の一冊」

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