エルダー2019年9月号
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特集地方・地域が発信する高齢者の働き方エルダー11生涯現役社会の構築に向けた生涯現役促進地域連携事業2016(平成28)年4月、厚生労働省は、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて労働力不足が課題となることに鑑かんがみ、働く意欲のある高齢者が、能力や経験を活かし、生きがいを持って働くことができる"生涯現役社会"を構築するためのモデル事業として「生涯現役促進地域連携事業」(以下、「連携事業」)を開始した。同事業では、地方自治体が中心となり、労使関係者や金融機関などと連携する「協議会」から、高齢者の雇用創出や情報提供など、高齢者雇用に寄与する事業構想を幅広く募集、初年度の第一次実施団体には7団体が採択された。岡山県総社市生涯現役促進協議会(以下、「促進協議会」)は7団体の一つに選ばれ、2017年度から2019年度の事業について事業提案を行い、再び採択を受けた。促進協議会が提案した事業構想「いつまでも働けるそうじゃ! 人生の匠たくみが産業と観光のマンパワーを担う」に基づいた、ユニークで画期的な高齢者就労支援の取組みを紹介する。「全国屈指の福祉文化先せん駆く都市」を目ざして総社市は岡山県中南部に位置し、かつての吉き備びの国くにの中心地域であったことから、由緒ある史跡がいまも市内に点在している。2005年に3市村が合併し現在の人口は約7万人。65歳以上が約3割を占め、高齢化は進行しつつあるが、2018年の転入超過数※は中国地方最多で、ここ数年、総人口が継続して増加している。その背景には総社市の手厚い福祉施策がある。連携事業の事務局を務める、総社市保健福祉部長寿介護課の林直なお方まさ課長は、「総社市は2016年度から10年間のまちづくり指針となる第2次市総合計画で掲げた都市像『岡山・倉敷に並ぶ新都心 総社~全国屈指の福祉文化先駆都市~』の実現に向け、2015年に市幹部と有識者による『全国屈指福祉会議』を設置しています。2007年10月、片岡聡一市長の就任以来、福祉政策に軸足を置き、弱い立場にある市民へきめ細やかな施策を徹底的に行ってきました。『連携事業』に提案を行う以前から、弱者支援の自治体を目ざす風土が醸成されています。『全国屈指の福祉文化先駆都市』を目ざすなかで、高齢者の方が豊かな人生経験を活かし、年齢に関係なく活き活き活躍できるまちづくりを進めるため、高齢者の就労対策へ大きく一歩ふみ出すことにしました」と話す。事 例1※ 転入超過数…… 転入者が転出者を上回った人数総そう社じゃ市生涯現役促進協議会(岡山県総社市)﹁そうじゃ₆₀歳からの人生設計所﹂を窓口に高齢者の活躍の場を創出

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