エルダー2019年9月号
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特集地方・地域が発信する高齢者の働き方エルダー13「連携事業」に採択されたことから、「促進協議会」では3年間で高齢者の雇用1000人を目標とすることを掲げた。かつて総社市は5年間で1000人の障がい者雇用の実現を目ざす取組みを行っており、障がい者が笑顔で働ける職場の創出は町全体の活性化につながった。この成功事例に学び、「人生設計所」の開設は働く意欲にあふれる高齢者の掘り起こしに一定の役割を果たしたが、さらに安定した求人・求職のマッチングを実現するため、以下の通り働き手の意識改革に重きを置き、多彩なセミナーやシンポジウムなどを開催している。①スキルアップセミナー開催就労を希望する高齢者が、必要な知識や技術などを習得するためのセミナー。社会保険労務士による就職サポートセミナーや、観光産業の活性化と総社市の魅力を全国に発信する「おもてなしシニア隊」隊員による講演を行っている。そのほか、さまざまな分野で活躍する方を講師に招き、多岐にわたるセミナーを実施している。②シニア向け企業説明会未経験の業種で働くための能力を身につけることを目的としたもの。シルバー人材センターの入会案内ブースなども設置している。また、ハローワーク総社とともに企業訪問を実施し、高齢者雇用の周知啓発を図っている。③農業者育成研修JA岡山、一般財団法人そうじゃ地ち食たべ公社と提携し、座学と実習によるセミナーを開催。農作物の栽培から収穫について基礎的知識を身につけるなかで、兼業農家の補助員として活躍している事例もある。④女性限定就業・創業サロン女性の目から見た観光や食をテーマに就業・創業への意識づけサロンを開催(55歳以上対象)し、これまでに6人が創業。女性の新しい働き方をデザインすると同時に、地域づくり活動を行う力を身につけることを目標とする。「私たちの連携事業は、人生設計所と各種セミナーの開催が核となっています。セミナーは市の広報紙やホームページなどでお知らせしていますが、人生設計所を通してアナウンスされることもあります。また、セミナーで学んだ人が人生設計所の扉をたたくこともあり、いわば人生設計所とセミナーは車の両輪のような関係です。高齢者の雇用1000人という大きな目標に向かって、これからもみんなで知恵を出し合っていきたいですね」と林課長は力を込める。組織間の連携を強化し高齢者が安心して暮らせる社会の実現を2018年3月には、総社市と株式会社セブン︲イレブン・ジャパンとの間で「高齢者雇用、並びに見守り活動に関する協定」が締結された。協定の具体的な取組みの第一弾として同年4月24日、自治体主催としては県内初の、コンビニエンスストアによる「シニア向けお仕事説明会」を開催、参加者23人のうち4人の就職が決まった。シニア向け企業説明会の様子

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