エルダー2019年9月号
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特集地方・地域が発信する高齢者の働き方エルダー15会員数は全国に約71万4000人地域の課題解決をになう就業が増えるシルバー人材センターは、高齢者に就業の機会を提供するとともに、ボランティア活動などの社会参加を通じて、高齢者の健康増進と生きがいのある生活の実現、地域社会の活性化に貢献している。全国に1300を超えるセンターがあり、登録会員は約71万4000人に上る。会員には、ライフスタイルや体力に合わせ、無理のない範囲で働きたいと考える人が多く、全国平均で1人あたり月8〜10日の就業により、月額3〜5万円程度の収入を得ている。会員の就業は、「臨時的かつ短期的な就業、またはその他の軽易な業務」で、具体的には施設管理、庭木などの剪せん定てい、家事援助、育児支援、パソコン指導など多岐にわたる。就業先の形態には、自治体や地元企業、家庭から委託された仕事を提供する「受託事業」、センターで展開する「独自事業」、企業やスーパーマーケットなどに会員を派遣する「シルバー派遣事業」の三つがある。最近では、介護周辺業務や育児支援業務のほか、人手不足分野の仕事を支える就業が増えており、地域の課題を解決するにない手として、会員の活躍が目立っている。高齢者が主役となるまちづくり市、大学、企業と連携して推進愛知県犬山市の犬山市シルバー人材センター(以下、「犬山市SC」)は、1982(昭和57)年に設立され、同市の高齢者の就業支援の拠点として歩んできた。2018(平成30)年度の会員数は821人。年齢階層別割合をみると、最も多いのは70〜74歳(37・4%)、次いで、75〜79歳(31・9%)、65〜69歳(16・2%)、80歳以上(13・2%)となっている。犬山市は、江戸時代には城下町として栄え、国宝の犬山城とともに当時の町割りが残され、観光地として人気がある。また、住宅都市としても発展しているが、農地も点在する。しかし、高齢化が進行するなか、農業従事者の高齢化も進み、にない手不足や耕作放棄地が増加するという課題が生じている。一方で、雇用型農業経営などが全国で注目されるなか、犬山市SCでは、高齢者が主役となって「農を通じたまちづくり」をテーマに、地域活性化を目ざす事業にチャレンジして全国から注目を集めている。この事業の目的は、休耕地を活用してトマトを生産・販売し、高齢者の就業機会を確保するとともに、犬山市SCの経営基盤の強化を図ることと、取組みを通じて世代を超えた地域交流事 例2公益社団法人犬山市シルバー人材センター(愛知県犬山市)地域の活性化を目ざして高齢者がトマト栽培(新農法)にチャレンジ

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