エルダー2019年9月号
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2019.916を図ること、市内幼稚園や小学校とも連携して地産地消の食育などの取組みにも寄与すること。事業は、「地域農業活性化事業」として、犬山市SCと犬山市が連携して基本計画を取りまとめ、初期投資などに国の地方創生交付金と市の補助金を活用して展開している。栽培したトマトの販路の開拓や広報などには、市内の大学の学生をはじめ、商工会議所、市内飲食店など外部機関とも連携して取り組んでいる。2017年から具体的な施設整備などを行い、2018年2月より、新農法(アイメックⓇ農法)を採用したトマト栽培をスタートさせた。高齢者にも栽培できる農法を採用今シーズンは8tの収穫を目ざす犬山市SCの大嶋正まさ己き会長は、「農業への挑戦には不安もありましたが、アイメックⓇ農法に出会い、これなら高齢者にも栽培が可能と考えて採用しました。ぜひとも軌道にのせたい」と意気込みを語る。アイメックⓇ農法は、土を使わず、薄い特殊フィルムのうえで農作物を育てるもので、神奈川県のベンチャー企業が開発した。フィルムには微細な無数の穴が開いており、水と養分は通すものの、害虫・病原菌は通さない素材となっており、農作物の持つ力を最大限に発揮する仕組み。これにより、甘くて栄養価の高いトマトをつくることができるという。水や肥料の補給は機械で行うため、技術を習得すれば高齢者でも栽培が可能となる。この農法は、愛知県内外の農家で採用されており、犬山市SCでは事業の中心となる3人の会員がまず技術を学び、愛知県と三重県の農家の視察などを行い、導入準備を進めた。並行して、市所有の休耕地(約1300㎡)にトマト栽培用のビニールハウス3棟を設置。2018年1月、定植※を実施して試験栽培を開始し、同年5月、初の収穫に成功した。一方、販路開拓や広報の推進に向けてプロジェクトチームをつくり、販路開拓については犬山市内の名古屋経済大学経営学部の授業と連携し、犬山市SCの会員も授業に参加してトマト販売のビジネスモデルについて学んだ。また、栽培したトマトには、「おいしい花子」という商品名をつけた。命名とパッケージのデザイン、ロゴマークは、北名古屋市の名古屋芸術大学の学生とワークショップを開催し、「食べてもらいたい消費者像」を一緒に考えるなどして決定した。試験栽培として臨んだ2018年度の生産量は2・4t、犬山市SC直営の売店などで販売し、販売総額は約140万円であった。大嶋会長は、「台風によるアクシデントや、試行錯誤をくり返しながら、甘く、おいしいトマトが収穫できました。軌道にのるまで3、4年といわれていますが、まずまずの滑り出しといえるでしょう」と初年度を振り返った。試験栽培を終えた後、新たな定植を行い、いよいよ本格的な栽培を開始。2018年11月から収穫を開始し、路地物のトマトが出回る今年の夏前までに8tの生産を目ざしている(2019年6月27日、取材時点)。販路は、市内外のスーパーマーケット、JA、産直センター、レストランなどにも拡げた。センター会員は栽培、収穫、パック詰め、販売などに就業この事業の就業には、これまでに犬山市SC「おいしい花子」を持つ、犬山市シルバー人材センターの大嶋正己会長※ 定植……苗床で育てた苗を田や畑に移して、本式に植えること

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