エルダー2019年9月号
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特集地方・地域が発信する高齢者の働き方エルダー17の会員の40人ほどがたずさわっている。現在の就業者数は、栽培業務5人(1日4時間・交替就業で2人ずつ)、収穫・パック詰め業務十数人(週4日・1日3時間・同3、4人ずつ)、納品業務3人(週2回程度)、販売業務十数人(犬山市SC直売店など)となっている。栽培業務をになう小川正まさ博ひろさん(69歳)は、市役所を定年退職後、3年前に会員となりこの仕事に就いた。「栽培もアイメックⓇ農法も初めての経験です。ハウスの湿度管理や作業しやすいように道具を工夫するなどの苦労がありましたが、甘いトマトを生産することができ、『おいしい』と、いっていただきました。今度、地元の小学生と一緒に収穫作業をするので、それも楽しみです」とにこやかに話す。小川さんに誘われてこの仕事を始めたという高木義よし秋あきさん(69歳)も、「以前は食品会社に勤務していました。農業は初めてで、管理業務には気を遣いますが、みなさんと収穫の喜びが味わえること、家族からおいしいといってもらえることがやりがいになっています。週2回の就業なので、自分の時間を持ちながらこのような仕事ができるところが、シルバー人材センターのよさだと思います」と話す。また、収穫したトマトのパック詰めをしている女性会員たちからは、「立ったままの作業で足がだるくなることもありますが、終わった後、みんなでお弁当を食べてお茶を飲みながらおしゃべりできるのが楽しい」、「トマト栽培がセンターの事業として続いていくように力になりたい」、「『おいしい』といっていただけることが力になっています」、「スーパーで売られているのを見るとうれしくなる」などの声が聞かれた。高齢者の持つ力を地域を支える就業に活かす犬山市SCでは、「おいしい花子」が犬山市の地場野菜となり、親しんでもらうことを目ざしている。大嶋会長は、「品質向上に努め、生産量を伸ばして事業を成功させたい。センター一丸となって、地域のみなさんに喜んでいただけるトマトづくりに挑み続けます」と力強く語った。今後は、規格外のトマトを加工してスムージーにして売り出せるよう、名古屋経済大学管理栄養部の学生と研究開発中だという。犬山市SCの山口正まさ巳み事務局次長は、「おいしいトマトができたことが会員の自信になり、新聞にも掲載され、みんなが誇りに思える事業に成長しつつあります。今後も、働くことで社会参加し、生きがいや仲間が得られる場であるよう、また、地域に役立つセンターを目ざします」と意欲的に話した。犬山市SCではほかにも、シルバーショップ「ワン丸」や、地域住民や観光客が集う「シルバー城下町プラザ」を運営し、新鮮野菜や会員の手作り製品の販売、高齢者対象サロン、小学生対象カルチャークラブなどを開催している。また、要介護認定を受け、生活ゴミを出すことが困難な人を手伝う支援サービスを独自事業で展開し、多くの会員がたずさわっている。今後も、こうした就業の機会と会員の拡大を推進し、高齢者の持つ力を地域貢献につながる就業に活かしていきたいと考えている。栽培業務を担当する小川正博さん(手前)と高木義秋さん(奥)

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