エルダー2019年9月号
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2019.922福岡県地域婦人会連絡協議会や、えふネット福岡などのNPO団体、大学教員などの学識経験者、総計19名で研究会を立ち上げ、検討が始まりました。麻生氏は、「こういう事業に福岡県が取り組んでいることを中央政界の人たちにも知ってもらうことが重要だ」と考え、2010年11月に「東京会議」を開催し、政党関係者などを含め、約120人の参加者を集めました。この会議によって、「70歳現役応援センター」の取組みが広く知られるようになりました。麻生氏は、2011年4月に福岡県知事を退任しましたが、後任の小川洋ひろし知事もこの取組みの重要性を強く意識し、県政の中心政策に位置づけました。その結果、2012年4月に「70歳現役応援センター」が正式に発足することになりました。この流れはその後も途切れることなく、3期目に入った小川県政でも重要政策の一つになっています。高齢期の活躍の仕方は多様福岡県の取組みは、高齢期になって雇用され続けることだけを目的としているのではありません。図表にあるように、ソーシャルビジネス※1やコミュニティビジネス※2、ボランティア活動など、広い意味での社会参加を支援しようとしています。起業も一つの社会参加の方法です。人間は、社会的な動物だといわれています。他人との関係のなかで、自分の存在を確認することができ、生きていることを実感できるといわれます。自分の持っている力をだれかのために使い、「ありがとう」といってもらえたとき、生きていてよかったと思い、生きるハリにつながります。これが、健康にもよい影響を与えるのです。医師たちが「元気だから働いているのではないのです。働いているから元気でいられるのです」と異口同音にいうのは、このことと関係していると思います。雇われて働くことも、一つの社会参加の方法です。人を探している企業があり、働きたいという人がいて、両者の要求が一致したとき雇用が生まれます。企業のなかには、ある種の有資格者を必要としている場合があります。例えば、※1 ソーシャルビジネス…… 自然環境、貧困、高齢化社会、子育て支援など、さまざまな社会的課題を市場としてとらえ、持続可能な経済活動を通して問題解決に取り組む事業※2 コミュニティビジネス……市民が主体となって、地域がかかえる課題をビジネスの手法により解決する事業図表 「70歳現役社会」づくりの概要出典:福岡県「70歳現役社会施策概要リーフレット2018年3月」いきいきと働くことができる仕組みづくり共助社会づくりへの参加促進■継続雇用支援■転職・再就職支援■多様な就労への支援■起業等支援■ 高齢者を活用したビジネスモデルの普及・拡大個人による取組み健康づくりへの支援、職業能力開発支援 等社会における意識改革高齢者自身、企業、県民の意識改革 社会における環境整備高齢者が働きやすい法制度の整備、交通環境の整備 等■ NPO・ボランティア活動や地域活動への参加支援■ ソーシャルビジネス、  コミュニティビジネスへの 参加支援「70歳現役社会」の実現年齢にかかわりなく、それぞれの意思と能力に応じて、働いたり、NPO・ボランティア活動等に参加し、活躍し続けることができる選択肢の多い社会経済団体、労働者団体、高齢者関係団体、NPO・ボランティア団体、行政などで組織福岡県70歳現役社会推進協議会高齢者のための総合支援拠点福岡県70歳現役応援センター施策の2つの柱施策の推進体制

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