エルダー2019年9月号
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2019.940生涯現役時代だからこそ重要な「学び直し」とは人生100年時代のなかで、長い職業生活や地域での生活を充実させるための「人生の再設計」の契機となる「学び直し」が注目されている。具体的な学び直しの機会として、大学や専門学校に通う、通信教育やオンライン講座の受講、各種セミナーへの参加、独学など、さまざまな方法がある。そのなかでリベラルアーツ(教養教育)を基礎に「学び直し」、「再チャレンジ」、「異世代共学」を目的としてシニア世代を対象に開学したのが、立教セカンドステージ大学だ。創設は2008(平成20)年。満50歳以上を入学要件とし、本科(1年)と本科修了後の専ります。本学では1年間を通じて体系的に学び、市民としての教養を高めてセカンドステージに向けた〝考え方〞を身につけることを目的にしています。大学を出て就職すると、二度と大学に戻ってこないまま引退するのが一般的ですが、いまでは就業環境も変わり、終身雇用も崩れつつあります。リカレント教育※1の意義は二つあり、一つは大学を出た後のある段階でもう一度大学で学び直すことで職業のスキルアップを図ること。もう一つは人生100年時代になり、60歳、65歳の節目で今後どのように生きていくかという自分の基軸を見つけるための学び直しです。本学では後者に重点を置いています。さらにファーストステージでつちかった経験やノウハウを、どのようにして社会に還元してい攻科(1年)にわかれ、本科で約100人、専攻科で約50人が学んでいる。本科入学者は50歳から上は80歳すぎまでと幅広く、平均年齢は62〜63歳。就業している人が約30%、残りは定年を迎えた人や主婦などである。男女比は約半々の構成だ。創設以来、今年で12期目を迎え、修了生も約1000人を数える。入学の目的は「教養・生涯教育」、「これからの生き方探し」、「人との出会い・ネットワークづくり」などさまざまだ。立教セカンドステージ大学の特徴と学び直しの意義について、同大学の野澤正まさ充みち副学長(立教大学副総長)はこう語る。「生涯学習講座はさまざまなところで開催されていますが、ほとんどが一過性の学びで終わ※1 リカレント教育…… 義務教育の終了後、生涯にわたって教育とほかの諸活動を交互に行う教育システム 生涯現役時代を迎え、就業期間の長期化が進むなか、60歳以降も意欲的に働いていくためには、高齢者自身のスキルアップ・能力開発が重要になるといわれています。つまり、生涯現役時代は「生涯能力開発時代」といえます。本企画では、高齢者のスキルアップや能力開発などの取組み事例を、人事ジャーナリストの溝上憲文氏が解説します。高齢社員の磨き方―生涯能力開発時代へ向けて―高齢社員の高齢社員の―生涯能力開発時代へ向けて高齢社員の―人事ジャーナリスト 溝みぞ上うえ憲のり文ふみ第5回立教セカンドステージ大学(東京都)

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