エルダー2019年9月号
48/68

は通常の労働時間としてカウントして、法定労働時間の総枠を超過した場合には時間外割増賃金を支払うことになります。なお、これらの時間外労働や休日労働に関しては、通常の労働者と同様に36協定の締結も必要になります。フレックスタイム制の導入方法5フレックスタイム制の導入には、「就業規則への記載」と「労使協定の締結」が必要です。いずれか一方のみでは足りません。また、1カ月を超える期間で労働時間を清算する場合には、労使協定を労働基準監督署に届け出る必要があり、届出がない場合は、罰則として30万円以下の罰金が科されることがあります。就業規則についてですが、以下の事項を定める必要があります。①対象とする労働者の範囲②労働時間を清算する期間と起算日③標準となる労働時間④ 始業終業時刻とコアタイム又はフレキシブルタイム次に、労使協定には以下の事項を定める必要があります。① 対象とする労働者の範囲(就業規則と重複することもありますが記載が必要です)②労働時間を清算する期間と起算日③ 清算期間における総労働時間(計算方法を出張中の移動時間と労働時間の関係について1出張における移動時間については、労働基準法などにおいてもその取扱いが明確にされ記載する方法でも可能)④ 1日の標準労働時間(欠勤や有給休暇時の時間計算の基準となります)⑤ 始業終業時刻とコアタイム又はフレキシブルタイム就業規則の記載例および労使協定の記載例については、厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」※1においても示されていますので、参考になるとているわけではありません。いわゆる、労働時間か否かの判断基準である「指揮命令下」にあったか否かによって判断されるということはできますが、ケースバイケースの判断になるというだけでは日々の思います。フレックスタイム制の運用にあたっては、就業規則の記載とフレックスタイム制の労使協定締結に加えて、休憩の一斉付与の例外に関する労使協定および時間外労働が発生することに備えてフレックスタイム制の対象労働者用の36協定を締結しておくことが実務上は必要でしょう。移動時間は、原則として労働時間には該当しないが、具体的な業務や指揮命令がおよんでいる場合には、労働時間となることがあります。就業規則には事業場外労働の規定を設けておくことや、出張日当に固定時間外手当としての性質も及ぼしておくことも検討しておくべきです。A※1 https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf2019.946出張にともなう移動は労働時間に含まれるのか従業員から、労働時間中に遠方への出張がともなったため、残業代を支給するように求められています。出張時間中には、業務をしていたのか否かは不明であり、特段、出張の移動中に行うべき業務を指示したわけでもありません。出張中の移動時間については、どのように労働時間を計算すればよいのでしょうか。Q2

元のページ  ../index.html#48

このブックを見る