エルダー2019年9月号
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2019.952ただし、労使協定で定めた事項を遵守していない場合にはこの方式は適用されず、派遣先均等・均衡方式となることとしている(改正労働者派遣法第30条の4第1項)。さらに、派遣元事業主に対し、当該協定を労働者に周知することを義務づける(同条第2項)とともに、労使協定を締結した事業主は毎年提出する事業報告書に労使協定を添付すること(改正労働者派遣法施行規則第17条第3項)および労使協定の対象となる派遣労働者の職種ごとの人数、職種ごとの賃金額の平均額を行政に報告しなければならないこととした(改正労働者派遣法施行規則様式第11号)。 ③派遣料金の配慮義務派遣元事業主が①、②の規定の履行に際し、派遣労働者の待遇改善を行うための原資を確保することが必要になることから、派遣先に対し、派遣料金に関する配慮義務を課すこととした(改正労働者派遣法第26条の11)。労働者に対する待遇に関する説明義務の強化2現行では、派遣元事業主は派遣労働者として雇用しようとするときに待遇に関する事項を、派遣労働者から求めがあったときに待遇決定に際し考慮した事項を説明しなければならないこととされている(労働者派遣法第31条の2)。今回の改正では、派遣労働者についても、雇入れ時の昇給の有無等の明示義務および待遇の内容に関する説明義務(改正労働者派遣法第31条の2第2項)、派遣労働者から求めがあった場合の待遇差の内容やその理由等についての説明義務(同条第4項)、派遣労働者が説明を求めたことによる不利益取扱いの禁止(同条第5項)を新たに規定した。さらに、派遣労働者については、派遣先の変更により待遇が変わりうるため、雇入れ時だけでなく派遣時にも労働条件の明示義務および待遇の内容等の説明義務を課すこととした(同条第3項)。また、待遇の内容・理由についての説明の詳細は、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」において以下のとおりとした。① 派遣労働者(協定対象派遣労働者を除く。以下この①・②において同じ)に対する説明の内容ア  派遣元事業主は、派遣先から提供を受けた待遇等に関する情報に基づき、派遣労働者と比較対象労働者との間の待遇の相違の内容・理由について説明すること。イ  派遣元事業主は、派遣労働者と比較対象労働者との間の待遇の相違の内容として、(ⅰ)労働者と比較対象労働者の待遇のそれぞれを決定するに当たり考慮した事項の相違の有無、(ⅱ)派遣労働者と比較対象労働者の待遇の個別具体的な内容又は待遇に関する基準を説明すること。ウ  派遣元事業主は、派遣労働者と比較対象労働者の(ⅰ)職務内容、(ⅱ)職務内容・配置の変更範囲、(ⅲ)その他の事情のうち、待遇の性質および待遇を行う目的に照らして適切と認められるものに基づき、待遇の相違の理由を説明すること。②協定対象派遣労働者に対する説明の内容ア  派遣元事業主は、協定対象派遣労働者の賃金が(ⅰ)派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額と同等以上であるものとして労使協定で定めたもの、(ⅱ)労使協定に定めた公正な評価に基づき決定されていることについて説明すること。イ  派遣元事業主は、協定対象派遣労働者の待遇(賃金、1①イの教育訓練と福利厚生施設を除く。)が派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く。)との間で不合理な相違がなく決定されていること等について、派遣労働者に対する説明の内容に準じて説明すること。③派遣労働者に対する説明の方法説明にあたっては、資料を活用し、口頭により説明することを基本としつつ、説明すべき事項をすべて記載した派遣労働者が容易に理解できる内容の資料を交付するなどの方法でも差し支えないこととした。

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